民間旅客機メーカー「エアバス」が、2035年までに実用化を公約したゼロエミッションフライトを可能にする旅客機の製造を発表した。液体水素は後部に設置されたタンクに貯蔵され、改良をほどこされたガスタービンエンジンによって動力を得る仕組みだという。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
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空の旅がゼロエミッションになる──。
にわかに信じがたい内容ではあるが、民間旅客機メーカー「エアバス」の発表を踏まえたうえで表現するなら間違っていない。
いったい、エアバスはどのように地球に害を与えないフライトを実現するのだろうか?
まずはエアバスのCEOであるGuillaume Fauryさんのコメントの紹介。ゼロエミッションのフライトについて、こう説明している。
「これは民間旅客機業界で歴史的な瞬間であり、私たちはもっとも重要な転換期において他者をリードする存在になります。世界に披露するコンセプトにより、ゼロエミッションフライトを実現するという野心的な計画を感じることができるでしょう。合成燃料として、旅客機の動力源として、水素の使用は気候変動の影響を削減する可能性を秘めていると信じています」
そう、彼らがゼロエミッションを実現するにあたり注目したのは水素。まだまだ自動車でさえも普及していないが、2035年までに水素燃料で飛行する旅客機製造の実現を公約したのだ。
そして、その仕組みを搭載するであろう3種の機体「ZEROe」シリーズを発表。
まずは上の画像にのっている「ターボファン」の説明から。これは120〜200人を収容可能で、航続距離は2000海里以上。大陸間の移動もできるということだ。液体水素は後部に設置されたタンクで貯蔵し、改良をほどこされたガスタービンエンジンによって、動力を得る。
次は「ターボプロップ」だ。
これは先ほどの「ターボファン」と比べると小さく、最大収容人数は100人程度。航続距離は1000海里だ。
そのフォルムから多くの人の興味を引くだろう「ブレンデッド・ウィング・ボディ」は、見ての通り、主翼と機体が一緒になっているのが特徴だ。航続距離は最初の「ターボファン」と同じ。場合によっては、座席のレイアウトを変更できるという。
「主要動力源に水素燃料を切り替え、使用することは、航空業界全体で断固たる行動が必要とされます。政府や他の業界の協力を得ながら、持続可能な未来を実現する再生エネルギーと水素の利用を拡大し、促進していきます」とGuillaume Fauryさんは述べている。
2035年は少し先だけど、もしゼロエミッションフライトが実現したら、乗ってみたいと思う人は少なくないだろう。
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