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中国の都市・杭州(こうしゅう)が、国連による「ゼロ・ウェイスト都市」トップ20の一つに選ばれた。人口1,260万人を抱える大都市でありながら、デジタル技術と市民参加を組み合わせたごみ削減の取り組みにより、埋立ゼロを達成している。

Ouchi_Seiko
ライター
フランス在住。美容職を経て2019年よりライターに。居住地フランスのサステナブルな暮らしを手本に、地球と人にやさしい読みものを発信。
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中国東部、浙江省の省都である杭州市が、国連の「世界のゼロ・ウェイスト都市」トップ20の一つに選出された。選定を行ったのは、国連事務総長のゼロ・ウェイスト諮問委員会。
急速な経済成長を続けながらも、環境対策を着実にすすめてきた点が評価されたという。そんな杭州の取り組みは、3月30日の国際ゼロ・ウェイスト・デーに合わせて、国際的な事例として正式に発表される予定だ。
廃棄物は、気候変動のほか、生物多様性の喪失などをもたらすもの。しかし、再利用や再設計などの取り組みで廃棄物を減らし、サーキュラーエコノミーの導入をすすめることで、廃棄物のゼロを目指す。そのような取り組みを推進している都市を、国連ではゼロ・ウェイスト都市と認定している。
人口1,260万人、GDP2兆元(約45兆円)を超える杭州にとって、その実現は簡単なことではない。それでも同市では、2021年から2024年にかけて、1人当たりの1日平均ごみ排出量を1.06kgから0.99kgへと減らす成果を上げてきた。
杭州のゼロ・ウェイスト化は、デジタル技術を活用した廃棄物管理によって支えられている。市が整備したのは、「デジタルの頭脳」と呼ばれるスマート廃棄物管理プラットフォーム。これは、全7,361か所のごみ収集拠点、1,780台の収集車、9つの焼却施設、11の生ごみ処理施設をリアルタイムで接続するものだ。
このシステムにより、ごみの収集から処理までの流れを常に把握でき、効率的な運用が可能となった。結果として、2020年末までに都市ごみの埋立ゼロを達成し、一般産業廃棄物の再資源化率は98%以上を維持している。
市民参加の仕組みも充実しており、リサイクルアプリ「Huge Recycle」では、リサイクル品を出したい際は回収担当が自宅まで引き取りに行き、買い物に使えたり現金化できたりするエコクレジットが付与される。さらに、キッチン類またはトイレ・バス類だけ分別すれば、残りは1つの袋にまとめるだけと、分別の手間を最小限に抑え、参加のハードルを下げた。これらの工夫によって、2022年のサービス開始から約40万トンの資源回収に成功している。
加えて、杭州は2025年末までに、学校、住宅地、商業施設など3,200以上の「ゼロ・ウェイスト・セル」(地域や施設単位でゼロ・ウェイストを実践するモデル区)を整備。西湖区では回収されにくい紙コップなどを集めるリサイクルバスが巡回し、富陽区では生物の力を利用した生ごみ処理も導入されている。
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杭州の成功は、中国全体ですすむゼロ・ウェイスト都市政策の先行例でもある。2021~2025年の計画では、全国で3,000件以上の廃棄物処理プロジェクトが実施され、投資総額は5,600億元(約12兆6,000億円)にのぼった。
中国政府は、廃棄物管理を強化する国家戦略として、2026~2030年にゼロ・ウェイスト都市の数を約200都市に拡大し、2035年までには全国展開を目指す計画だ。国家が掲げる「美しい中国」建設の指針では、2027年までに国内の約6割の都市がゼロウェイスト都市づくりに参加することを目標としている。そのために、主要経済圏では都市同士の連携をすすめ、政策の成果を広く共有していくという。
こうした全国的な政策のなかで、モデルケースとして注目されているのが杭州の取り組みだ。デジタル技術を活用した都市ごみ削減の成功例として国際的に紹介されるとともに、今後は廃棄物管理の課題を把握しながら、より具体的な成果の達成を目指す。
日本でもゼロ・ウェイストの取り組みが行われている。ゼロ・ウェイストで有名なのは、徳島県上勝町だ。こちらの取り組みの詳細は下記記事を参照してほしい。
※参考
UN names Hangzhou leader in 'zero waste'|People's Daily Online
China steps up efforts to build zero-waste cities|China.org.cn
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