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英国の女子プロサッカーリーグである「WSLフットボール」が、女性アスリートと女性サポーターのニーズに応えるための世界初となるスタジアム設計ガイドラインを発表。性別に関係なく誰もが快適に利用できる空間にする。

岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・キュレーター
ドイツ在住。フリーランスの編集者・キュレーター。変わりゆく都市ライプツィヒとそこに生きる人々の物語を記録するニュースレター「KOKO」(https://koko-de.beehiiv.c…
英国における女子サッカーの最上位リーグ「WSLフットボール」が、女子サッカースタジアムの建設に関する設計ガイドラインを発表した。クラブ、地方自治体、建築家が女子チーム専用の会場を建設または改修する際の、世界初のフレームワークだ。
これまでサッカー会場は男性選手と男性ファンを主体に建設、設計されてきた。しかし、女子サッカーの急速な成長により、女性アスリートとサポーター特有のニーズに対応できる設備の必要性が明らかになったため、今回のガイドラインが策定されたという。
未来の女子サッカースタジアムの姿を探るため、WSLフットボールはAFLアーキテクツ、モット・マクドナルド、フォワード・アソシエイツとともに包括的な協議プロセスを主導。ほかにもサポーター、クラブ、現役および元選手、監督、医療専門家、審判、メディア、エンジニア、スポーツ建築家、持続可能性の専門家など、多岐にわたる関係者が参加した。
ガイドラインでは5つの分野で主要設計原則を提示している。
・トイレ(男性80%:女性20%から、男性45%:女性45%に変更し、ジェンダーニュートラルトイレを10%にする)
・ベビーチェンジングルーム(オムツ交換)とファミリートイレの設置
・選手、スタッフ、メディア、放送タレントのための授乳・育児専用ルームの設置
・瞑想、信仰スペースの提供
・チーム規模を考慮した適切な更衣施設
・18歳未満の選手用の別の更衣エリア
・トイレ、鏡、電源、照明の数の増加
・更衣エリアにおける生理用品の提供
・女性および男性の監督、バックルームスタッフ用の別々の更衣施設
・障がいのあるサポーターのためのバリアフリー設備(更衣場所、音声解説、感覚室)
・サポーターのニーズに合わせたスタンドの座席サイズと間隔
・アルコール提供のないエリアの設定(希望があった場合)
・各スタジアムに指定されたファンゾーンエリア
・安全で明るいアクセス経路(案内表示も含む)
・交通の利便性や環境への負荷を最小限におさえるロケーション
・ピッチ上外での環境・気候変動への将来的な対応
・給水所と日陰エリア
・インターネットアクセスなどの良好な接続環境
・ピッチサイドでのインタビュースペースの設置
・放送局専用のプレゼンテーションエリア、テレビスタジオスペースの設置
・メディア専用の記者会見スペースとミックスゾーンエリアの設置
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WSLフットボール安全・持続可能性・インフラ担当責任者のハンナ・バックリー氏は、女性専用スタジアムは業界における盲点だったと指摘。WSLフットボールには10年間のスタジアム戦略があり、このガイダンスはその一環であると説明した。
AFLアーキテクツの建築家キャスリーン・カーシー氏は、「WSLスタジアムガイドラインは、女子サッカーの設計における大胆で必要な進化」だと評価。ファン、選手、コミュニティが真の帰属意識を感じられる環境を創造することの重要性を強調した。
これまでサッカー場をはじめとするスポーツインフラは男性の視点から設計されてきたが、今回のガイドライン策定を通して、女性アスリートとファンのニーズを中心に据えた安全で包括的な空間づくりがさらに推進されるだろう。将来的にはこれが業界のスタンダードになり、競技の持続的な成長を支える基盤になることが期待される。
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