37か国で展開「代替プラスチックのデータベース」無料公開に切り替え

プラスチックの袋

Photo by Yosafat Herdian on Unsplash

プラスチックフリー素材のデータベース「PlasticFree」は、サブスクリプション型で37か国で展開してきた。だが、プラスチック汚染を食い止めるための「世界プラスチック条約」の決裂を受け、プラスチック脱却を目指すブランドやデザイナーに向けて無料公開へ踏み切った。

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2025.10.14

科学的に検証済みの信頼できる素材のみを紹介

「PlasticFree」は、世界中のプラスチック代替素材・プラスチックフリー素材を科学的に検証し、蓄積・公開しているデータベースだ。

メーカーやブランド、企業、デザイナーがプラスチックに頼らない素材選びを行えるよう、信頼できる情報を提供することを目的に、イギリスの団体、A Plastic Planetによって設立された。

これまで37か国で、サブスクリプション型でサービスを展開してきたが、このたびデータベースを完全に無料公開に切り替えた。

「PlasticFree」は、単に代替プラスチックを紹介するだけではない。誤った情報が広がりやすい分野であるため、グリーンウォッシュを削減するためにも、「科学的に裏付けられ、人間が検証したデータを提供する必要がある」と、共同創設者であるシアン・サザーランドは述べている。

そのため、このデータベースではAIシステムを活用して、材料を包括的に評価。科学的根拠にもとづいて検証が行われたもののみを紹介している。

さらに、単なる素材紹介にとどまらず、設計支援ツールやガイド、AI連携などの機能を備え、代替プラスチックでの生産設計をサポートする。

「世界プラスチック条約」決裂の結果を受けて

無料公開に踏み切った背景に、世界プラスチック条約交渉の決裂がある。

世界プラスチック条約とは、世界のプラスチック汚染を食い止めるために規制を設ける国際的な取り決め。2025年8月には世界各国の政府代表がスイスのジュネーブに集まり協議が行われた。

多くの国がとくに海洋プラスチック汚染の影響が深刻であり、世界的な条約の必要性について同意しており、2024年の協議に引きつづき、多くの国がプラスチックの段階的禁止を強く求めた。だが、その一方で産油国側は反発し、その溝は埋まることがなかった。

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さらに、近年はマイクロプラスチックの生態系や人体への影響も明らかになりつつあり、プラスチック汚染は喫緊の問題だ。

このような状況を受けて、A Plastic Planetでは多くの企業へ代替プラスチックの情報を提供することが必要であると考え、今回の無料公開を決断した。

世界的な規制の制定には至らなかったが、国や地域レベルでのプラスチックの規制は今後増えていくことも考えられる。「プラスチックを使わない素材」への大きな転換がいま始まっている。

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※掲載している情報は、2025年10月14日時点のものです。

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