バナナの茎から服をつくる 台湾発のアップサイクルプロジェクト

アップサイクルに活用するバナナの木と茎

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ファストファッションのような大量生産・大量消費のスタイルをはじめ、アパレル業界の環境負荷が問題視されている。そのようななか、台湾のある企業は、廃棄されるバナナの茎を繊維にアップサイクルしている。

聖京香/Kyoka Hijiri

ライター

イギリス在住25年のフリーランスWebライター。好きなものに囲まれながらも無駄を失くし、丁寧かつサステナブルな暮らしを目指して精進中。好きなものは猫と本と森林浴。

2025.10.20

廃棄されていた農業副産物を活用

バナナの木

Photo by Jametlene Reskp on Unsplash

これまで廃棄されていたバナナの茎は、パルプなどと混ぜて紙にする「バナナペーパー」に利用されてきたが、台湾ではその活用が衣料分野へと広がり始めている。

彰化(しょうか)県に本社を構える、ネルソン・ヤン氏の「ヤンズ・ファーム・トゥ・マテリアル(Yang’s Farm to Material)」では、収穫後に廃棄されるバナナの茎から繊維を抽出し、衣料品の原料となる繊維を生産している。

農業副産物を資源へと転換するこの試みは、サステナブルファッションにおける革新的なアプローチとして注目を集めている。

同社では、バナナの茎の中央部分を採取し、粉砕・乾燥させて、繊維を生産。これを糸に加工し、綿と混紡し、靴下などをつくるという。ヴィーガンレザーへの活用も可能だという。

バナナは世界でもっとも消費されている果物のひとつだ。とくに、後発開発途上国、低所得国、食料不足国などで栽培されており、そのような国々の人々の暮らしを支える存在でもある。バナナの栽培でどうしても生まれる農業副産物である茎を利用したこの取り組みは、安定的に供給できて将来の用途への期待も高いという。

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ヤンズ・ファーム・トゥ・マテリアルの挑戦はまだ始まったばかりで、アパレル企業との取り引きはいまのところはない。しかし、この革新的な試みは循環型経済と環境保全に貢献し、持続可能なファッションの未来を切り開く可能性を秘めている。

もともと、ヨーロッパのスニーカーブランドから「食料と素材を同時に生産する方法を見つけたい」という依頼が同社の事業のきっかけだったという、ヤン氏。将来的には、このバナナからできた繊維を世界のスニーカーブランドに供給したいと考えているそうだ。

※掲載している情報は、2025年10月20日時点のものです。

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