バナナペーパーとは? 雇用・社会問題の解決に貢献するエシカルアイテム

バナナの木

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バナナペーパーとは、オーガニックバナナの茎からとった繊維でできた紙のこと。森林を守るだけでなく、発展途上国の社会問題解決にも貢献できる、エシカルな商品として注目を集めている。そんなバナナペーパーのメリットやデメリット、製造方法、使い道について紹介しよう。

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2024.04.02
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バナナペーパーとは

バナナの木

Photo by Monika Guzikowska on Unsplash

バナナペーパーとは、オーガニックバナナの茎からとった繊維に、古紙やパルプを混ぜてつくった紙のこと。バナナの茎はこれまで廃棄されるだけだったもの。大量にでるそれらの茎をアップサイクルして、日本の和紙や手すきの技術などが融合して生まれたものだ。

それまで廃棄されていたバナナの茎を再利用することで、森林を守るだけでなく現地の雇用や社会問題の解決に貢献する、エシカルな製品として注目を集めている。

バナナペーパーの製造方法

バナナの木

Photo by Agnieszka Stankiewicz on Unsplash

バナナペーパーはおおまかに、次のような手順でつくられる。

1.バナナの茎を買い付ける
発展途上国のバナナ農家から、バナナの茎を買い付ける。

2.茎から繊維を取り出す
買付けたバナナの茎を長さをそろえ、余分な水分や皮等を取り除き、バナナペーパーの原料となるオーガニックバナナ繊維を取り出す。

3.繊維の天日干し
余分な水分や皮等を取り除いたオーガニックバナナ繊維をグリーン工場の敷地内にて天日干しする。

4.古紙やパルプを混ぜる
バナナの繊維に古紙やパルプを混ぜ合わせ、紙に仕上げる。

パイナップルやバナナの葉や茎など“未利用農作物”から天然繊維製品を製造

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バナナペーパーのメリット

熱帯雨林

Photo by Chris Abney on Unsplash

ザンビアの貧困や環境を改善するために始まったバナナペーパープロジェクト。ここではバナナペーパーのメリットについて、より詳しく解説していく。

森林や生物多様性の保護

アフリカでは1990年以降の30年間ごとに森林の純損失率が増加しており、2010年~2020年にかけては年間純森林消失率が390万ヘクタールと世界でもっとも大きかった。(※1)バナナペーパーは、原料に木材ではなく廃棄されるバナナの茎(仮茎)を使用している。木は苗木から育てるには長い年月を要するが、バナナは成長がはやい。そのためバナナペーパーは、森林から木を伐採することなく、紙をつくれる。それまでは廃棄されていたバナナの茎を再利用することで森林を守り、生態系の保護にも貢献している。

廃棄物の削減

バナナは1本の茎(仮茎)からは一度しか実を収穫することができないため、収穫した後には茎を刈り取る。そのため収穫後には、不要となった茎が川へ廃棄されたり、地面に放置されたりすることもある。バナナの実を食べる以外に、バナナペーパーの原料として茎も売り物として再利用できるようになったことで、不当に廃棄される茎が減り、環境汚染を防ぐことにつながる。

雇用機会の創出

バナナペーパーは、ザンビアなどの発展途上国の貧困層の女性・男性とともに行われている。バナナペーパーのプロジェクトに関わる前は長期的な仕事に就いていなかった人が多く、生活費を得るために違法な森林伐採や密猟を行うケースもあった。バナナペーパー事業は、そんな現地の人々に対してフェアトレードの仕事を提供するために始まった。

SDGsへの貢献

バナナペーパーは、SDGs(持続可能な開発目標)の貢献にもつながる。例えば、バナナペーパーの仕事によって、目標1「貧困をなくそう」という貧困問題解決につながる。安定的な仕事を現地の人々に供給することは、目標8「働きがいも経済成長も」になるだろう。

伝統の継承

バナナペーパーは、日本の伝統的な和紙文化の継承にもつながっている。原料のバナナ繊維だけでは高品質な印刷用紙をつくれないため、生産工程に日本の伝統技術である和紙の技術を取り入れているのだ。

バナナペーパーのデメリット

複数枚の紙

Photo by Kate Macate on Unsplash

環境にやさしく貧困問題の解決にも貢献するバナナペーパーだが、これから解決するべき課題も残されている。ここではバナナペーパーのデメリットについて詳しく解説していく。

価格が高い

バナナペーパーのデメリットのひとつは、通常の紙と比べて価格が高くなってしまうことだ。バナナペーパーはもともと、ザンビアの貧困がもたらす環境や社会の問題を解決したいという理念の上に始まった事業である。原料や製品を適正な価格で取り引きすることで現地の経済や環境保全を支援するという目的でフェアトレードに則って生産されるため、必然的に価格が高くなってしまう。

安定供給が難しい

安定供給が難しいというのもデメリットのひとつである。バナナペーパーの原料となるバナナの茎(仮茎)はザンビアのバナナ農家から調達しているが、現地のバナナ農家の多くは路上販売などの直売を行う程度にしかバナナを育てていないため、農家1軒あたりの栽培規模が小さい。(※2)安定的な生産量を確保するためにはより多くの原料が必要なことから、バナナ農家との契約を増やすことや、バナナの栽培規模を大きくすることなどが検討されている。

印刷時に問題が起こる場合がある

バナナペーパーは天然のバナナ繊維を原料としてつくられているため、印刷した際に裏面にインクがうつる、またはインクがのりづらいといった問題が起こる場合がある。また、通常の紙を使用する場合と比べて使用できる印刷機が限られるため、バナナペーパーを使って印刷物をつくりたいときには注意が必要だ。

新素材「亜紙」を使用したバナナペーパーブランド「Ashi」がリリース

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バナナペーパーの活用事例

カードを持つ手

Photo by lexie janney on Unsplash

触れると少しザラっとした感触があり、独特の味のある雰囲気を持つバナナペーパー。ここでは実際にバナナペーパーを活用した製品を紹介していく。

名刺

バナナペーパーを使用した名刺は、バナナ繊維と古紙のざらつきのある独特な触り心地で温かみのある印象を与える。エシカルな名刺は取引先との話題のきっかけにもなるだろう。

メモ帳

メモ帳や付箋など、日常に取り入れやすいアイテムのバナナペーパー製品も人気が高い。毎日何気なく使用することで、環境問題改善に貢献することができる。

カレンダー

年末などに挨拶の品として配られることも多い、カレンダーや卓上カレンダー。バナナペーパーを使用したカレンダーで、SDGsや環境に配慮した企業姿勢を示すことができる。

証書入れ

バナナペーパーで賞状や証書を作成するケースが増えているが、証書を入れるケースなど、より強度の強いバナナペーパー製品も人気が高まっている。

ハンガー

バナナペーパーを使用したハンガーが、ホテルや旅館で活用されるケースも増えている。ハンガーを紙製にすることで、プラスチック削減にも貢献することができる。

バナナペーパーを使って環境問題を考えてみよう

手紙

Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplash

ザンビアの貧困や環境問題に貢献し、SDGsの目標達成を目指すバナナペーパーは、手軽に日常に取り入れることができるエシカルな紙製品である。日本の伝統文化である和紙の製造技術が使われているため、バナナペーパーは実は日本人にとっても身近な存在なのだ。

安定供給や価格面など解決するべき課題は残っているものの、バナナペーパーを使用する人が増えれば、より開発が進んでそれらの課題をクリアする可能性も高まる。

バナナペーパーを活用した、さまざまな製品が販売されている。ふだん使用している紙製品をバナナペーパー製品に置き変えて、フェアトレードや環境問題に寄り添ってみてはいかがだろうか。

※掲載している情報は、2024年4月2日時点のものです。

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