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約45億円以上の資産を持つ超富裕層は、世界に48万5000人。これらの超富裕層が暮らす世界の都市をランキング形式でまとめた。2年前の報告では9位だった東京は、上位20都市のランキングから外れる結果となった。
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「富裕層」よりもさらに裕福な「超富裕層」。厳密な言葉の定義はないが、米国の調査会社のアルトラータ(Altrata)が行う報告書では、以下のように定義している。
超富裕層(UHNW:ultra high net worth)
純資産が3000万ドル(約45億円)以上の層
富裕層(VHNW:very high net worth)
純資産が500万~3000万ドル(約7.4億円~45億円)の層
個人(Individuals)
純資産が100万~500万ドル(約1.5億円~7.4億円)の層
2025年に発表された報告書によると、2024年の世界における超富裕層と富裕層、個人の人数は以下のとおりだ。
2024年 | 2030年(予測) | |
超富裕層 UHNW | 48万3500人 | 65万4900人 |
---|---|---|
富裕層 VNHW | 450万人 | 620万人 |
個人 Individuals | 3890万人 | 5340万人 |
世界の超富裕層は、48万3500人。裕福な人々は、デジタル化やAIの導入などによってさらに富を増やし、富裕層は今後増加するものとみられ、2030年までに65万人を超えると予測されている。
順位 | 都市 | 人数 |
---|---|---|
1位 | ニューヨーク | 33,222人 |
2位 | ロサンゼルス | 19,781人 |
3位 | 香港 | 19,439人 |
4位 | マイアミ | 17,457人 |
5位 | ロンドン | 15,695人 |
6位 | サンフランシスコ | 14,341人 |
7位 | シカゴ | 9,463人 |
8位 | シンガポール | 9,061人 |
9位 | ワシントンDC | 8,872人 |
10位 | ボストン | 8,633人 |
11位 | ダラス | 7,958人 |
12位 | 北京 | 7,794人 |
13位 | サンノゼ | 7,469人 |
14位 | ヒューストン | 7,258人 |
15位 | パリ | 7,159人 |
16位 | シアトル | 6,836人 |
17位 | アトランタ | 5,786人 |
18位 | フィラデルフィア | 5,261人 |
19位 | フェニックス | 4,900人 |
20位 | デンバー | 4,678人 |
超富裕層が世界のどの都市に住んでいるかまとめたものが、上記のランキングだ。報告書では、超富裕層はかつてないほど移動性が高く、グローバルに活動の拠点を移動しているという。上記のランキングは、主要な住居、またはセカンドハウスがある都市をベースにまとめたものだ。
その結果、超富裕層が圧倒的に多い都市が、アメリカのニューヨーク。2位のロサンゼルスや3位の香港に大きな差をつけた。また上位20都市のうち、15都市がアメリカで占められ、アメリカ以外でTOP20に入ったのは、香港(3位)、ロンドン(5位)、シンガポール(8位)、北京(12位)、パリ(15位)だ。
ニューヨークは、金利の上昇や住宅不足などの影響で、不動産市場としての勢いは薄れ気味ではあるが、それでも依然として超富裕層を惹きつける都市のようだ。
パンデミックから富裕層の流入が続くマイアミは、本ランキングで4位にランクインした。ただマイアミの超高級住宅地のおよそ4分の3はセカンドハウスといわれるほど、別荘地などの利用として支持されているようだ。
アジアでランキング上位に入ったのは、香港、シンガポール、香港の3都市だ。とくに香港は、税率が低く、さらに中国や世界経済との金融の流れで優位的な地理にあることから、アジアの超富裕層に人気を呼んでいる。
ちなみに、2023年に発表された報告書では、東京が「超富裕層が多い都市」ランキングの9位に入っていたが、2025年の報告書では上位20以内に東京が入ることはなかった。
超富裕層が主要な居住地またはセカンドハウスを有する都市で、その都市の人口が少ない都市をまとめた結果が以下のとおりだ。
都市 | 超富裕層1人に対する人口 | |
---|---|---|
1位 | モナコ | 22人 |
2位 | アスペン(米国) | 77人 |
3位 | ネイプルズ(米国) | 93人 |
4位 | ジュネーブ(スイス) | 225人 |
5位 | グリニッジ(米国) | 259人 |
6位 | サンノゼ(米国) | 262人 |
7位 | サンフランシスコ(米国) | 321人 |
8位 | マイアミ(米国) | 358人 |
9位 | 香港 | 388人 |
10位 | ソルトレイクシティ(米国) | 408人 |
超富裕層の割合が高い都市で1位は、モナコ。住民22人に対して、1人が超富裕層だ。アメリカを除くと、それ以外では、スイスのジュネーブや香港が挙がった。米国内では、山岳リゾートとして知られるコロラド州アスペンが有名。都市の人口に対する超富裕層の割合は、ニューヨークの8倍に相当する。
国連によると、過去30年で貧困から抜け出した人は10億人以上いるという。しかし、世界的にみて貧しい層の下から半数の人々の所得は、1990年以降ほとんど増えていないという(※2)。毎年のように著しい経済成長を見せる国が多いなかで、依然として貧しい環境下にある人は少なくないのだ。
その一方で、今回の報告書からわかるように、超富裕層や富裕層と呼ばれる豊かな人々は増加傾向にある。つまり、世界では貧富の差が広がる傾向にあるのではないだろうか。
また超富裕層や富裕層のような人々は、プライベートジェットやメガヨットの利用、さらに宇宙旅行などの「裕福な楽しみ」があることから、二酸化炭素排出量が多いことが指摘されている。そのため、パリ協定達成の鍵は、上位10%の富裕層がにぎっていると言われるほどだ。
気候変動をいま以上に進行させないためにも、このような富裕層向けの二酸化炭素排出量削減の対策が必要と言う声もある。
日々のくらしさえも不安定な人々がいるのに、他方では裕福な生活をおくる人々がいる。SDGsのゴール1「貧困をなくそう」を見つめる必要があるのかもしれない。
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