ジェルネイル業界に激震 EUで化学物質TPOの使用を禁止

ネイル

Photo by Maria Lupan on Unsplash

ジェルネイルの多くに使われる成分、TPO(トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)の使用が、EUで禁止された。生殖能力への潜在的なリスクがあることが理由だ。

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2025.09.16

TPOによる生殖能力への潜在的なリスクを指摘

欧州連合(EU)の規制当局は、TPOと呼ばれる化学物質が人体に有害であるとし、9月1日より化粧品への使用を禁止した。

TPOは「トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド」のこと。紫外線下でジェルネイルを硬化させ、鮮やかな色を長持ちさせる効果があり、多くのジェルネイルに使用されている成分だ。

だが、動物実験を通して、TPOが長期的に生殖能力に関連していることが示唆され、今回の使用禁止に至った。

この措置によって、EUに加盟する27か国と、EUの規則に則るスイスやノルウェーでは、化粧品メーカーがTPOを含むネイルの販売を中止し、ネイルサロンなども含め、TPOを含むネイルの在庫を処分しなければならなくなる。

そのため、とくに中小のネイル事業者などは甚大な経済的ダメージを受けると主張。ベルギーの業者が「人体への影響は確認されていない」とし、抗議サイトを立ち上げるなど、反対の声も生まれている。

TPO規制の動きが世界で生まれるか

人体への影響が懸念されるとして、さまざまな製品への使用について規制されるケースが増えているものに「PFAS(ピーファス)」がある。これは、炭素とフッ素の原子を持つ化学物質の総称で、化粧品のほか、フライパンのフッ素加工剤、自動車のコーティング剤、カーペットや衣類の防水・耐水加工など、さまざまな分野で幅広く使用されている。

PFASを規制する世界の動き

熱や紫外線に強く、液体をはじくといった性質があることから重宝されてきたPFASだが、免疫系への影響や脂質異常症などとの関連性が指摘され、世界ではPFASの使用を規制する動きが近年生まれている。

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今回のジェルネイルのTPOについては、今後どうなるか。例えば、米国ではTPOの使用は禁止していないが、EUの禁止を受けて、EUで製品生産を行っている米国企業やEUからの輸入品など、少なからず影響を受けることは確かだろう。

同様に、日本でもTPOのリスクに注目が集まり、TPOが含まれる製品をメーカーや消費者が避けるといった動きも出てくる可能性がある。

※掲載している情報は、2025年9月16日時点のものです。

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