Photo by Maria Lupan on Unsplash
ジェルネイルの多くに使われる成分、TPO(トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)の使用が、EUで禁止された。生殖能力への潜在的なリスクがあることが理由だ。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
欧州連合(EU)の規制当局は、TPOと呼ばれる化学物質が人体に有害であるとし、9月1日より化粧品への使用を禁止した。
TPOは「トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド」のこと。紫外線下でジェルネイルを硬化させ、鮮やかな色を長持ちさせる効果があり、多くのジェルネイルに使用されている成分だ。
だが、動物実験を通して、TPOが長期的に生殖能力に関連していることが示唆され、今回の使用禁止に至った。
この措置によって、EUに加盟する27か国と、EUの規則に則るスイスやノルウェーでは、化粧品メーカーがTPOを含むネイルの販売を中止し、ネイルサロンなども含め、TPOを含むネイルの在庫を処分しなければならなくなる。
そのため、とくに中小のネイル事業者などは甚大な経済的ダメージを受けると主張。ベルギーの業者が「人体への影響は確認されていない」とし、抗議サイトを立ち上げるなど、反対の声も生まれている。
人体への影響が懸念されるとして、さまざまな製品への使用について規制されるケースが増えているものに「PFAS(ピーファス)」がある。これは、炭素とフッ素の原子を持つ化学物質の総称で、化粧品のほか、フライパンのフッ素加工剤、自動車のコーティング剤、カーペットや衣類の防水・耐水加工など、さまざまな分野で幅広く使用されている。
熱や紫外線に強く、液体をはじくといった性質があることから重宝されてきたPFASだが、免疫系への影響や脂質異常症などとの関連性が指摘され、世界ではPFASの使用を規制する動きが近年生まれている。
今回のジェルネイルのTPOについては、今後どうなるか。例えば、米国ではTPOの使用は禁止していないが、EUの禁止を受けて、EUで製品生産を行っている米国企業やEUからの輸入品など、少なからず影響を受けることは確かだろう。
同様に、日本でもTPOのリスクに注目が集まり、TPOが含まれる製品をメーカーや消費者が避けるといった動きも出てくる可能性がある。
ELEMINIST Recommends