PFAS(ピーファス)とは? 健康への影響と世界の規制状況を解説

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PFASは多くの化学的性質を持つことから、あらゆる製品の高性能化・高機能化に役立てられてきた。その一方で、人体や環境への影響が指摘されており、世界的な環境問題として注目を集めている。本記事では、PFASが健康に及ぼす影響やそれに対する世界の規制状況を解説する。

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2024.03.04
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PFASとは

「PFAS(ピーファス)」とは、炭素とフッ素の原子を持つ化学物質(ペルフルオロアルキル化合物またはポリフルオロアルキル化合物)の総称で、1万種類以上の物質があるとされている。

有機フッ素化合物の総称

PFASとは、有機フッ素化合物の総称だ。その代表的なものとして、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)がある。これらは耐熱性や耐薬品性に優れ、1950年代頃からフライパンなどの表面加工から、大きな火事に使う泡消火剤まで幅広く使われてきたが、とくにこの2つの物質は、健康に影響を与えやすい性質が確認され、現在は国内で製造や使用が禁止されている。

4700種類以上存在する

PFASは、4700種類以上存在するとされており、その種類によって性質が違う。PFASのなかでも、PFOS・PFOA・PFHxSの3種類はとくに、自然や人体の中で分解されにくい、体外に排出されにくい、健康に悪影響を与えやすいといった性質が指摘されている。

PFASの特徴・用途(含まれるもの)

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PFASの特徴

炭素原子とフッ素原子の結びつきを持つPFASは、以下のようなさまざまな性質をあわせ持つ。

・熱・薬品・紫外線に強い
・水や油などの液体を弾く
・燃えにくい
・汚れを防止する
・粘着力が小さい
・電気を通しにくい
・光の屈折が少ない など

主な用途(含まれるもの)

PFASは、私たちの身近なところで幅広く使用されてきた。例えば、以下のようなものに含まれている。

・フライパンのフッ素加工剤
・自動車のコーティング剤
・靴や衣類の撥水加工剤
・消火器に含まれる消火剤
・食品の包み紙や容器のコーティング剤
・カーペットや衣類の防水・耐水加工
・ファンデーションやマスカラ、リップ製品などの化粧品の成分
・半導体や液晶ディスプレイのフォトマスク など

「永遠の化学物質」と呼ばれる理由と健康への懸念

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PFASは自然界でほぼ分解されず、人や動物、環境に蓄積していくことから「フォーエバー・ケミカル(永遠の化学物質)」と呼ばれている。

日本各地で高濃度のPFASを検出

国内各地でも、国が設けた「暫定目標値(水1リットルあたり計50ナノグラム)」を超える濃度のPFASが相次いで検出されている。実際に、東京の多摩地域や沖縄県内、岐阜県各務原市などで、水道水に使用している水源地から基準以上のPFASが検出された事例もある。このように、PFASの影響は私たちの飲み水にまでおよんでいる。

人の健康への影響

アメリカの学術機関・全米アカデミーズの委員会によると、PFASは、免疫系、脂質異常症や腎臓がん、乳児・胎児 の成長・発達低下、抗体反応の低下などへの影響が指摘されている。しかし、どの程度の量や濃度でどのような影響をおよぼすかについては、明らかになっていない。

PFASを規制する世界・日本の動き

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PFASは水や動植物の摂取を通じて人体にも影響を与えることから、近年では、欧米を中心にその使用や製造への規制が積極的に進められている。

国際条約:PFOS・PFOA・PFH×Sの規制

現在、PFASのうち、PFOS・PFOA・PFHxSの3種類は、国際条約で製造・使用・輸入が禁止されている。この条約には、日本やEUを含む180ほどの国と地域が批准している。アメリカはこれに批准していないが、米環境保護庁は法律によるPFAsの規制強化に取り組んでいる。

米NY州:衣類のPFAS規制

アメリカ ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は、2022年12月末、衣類へのPFAsの使用を禁止する法案に署名した。この法律は、アメリカではカリフォルニア州に続く2例目となり、2023年12月31日から施行された。州内で販売される下着やシャツ、パンツなどの衣類全般において、撥水加工など「意図的に添加された化学物質」を禁止している。

米コロラド州:PFASを使用した家具の小売り・卸禁止

アメリカ コロラド州は、24年1月1日にカーペットやラグ、布の加工などにPFASが使われた場合、小売り・卸を禁止することを発表した。さらに、25年1月からは、規制の対象をカーテンや家具、ベッドリネン、タオル、テーブルクロス、布で覆った家具などに広げる予定だ。

ニュージーランド:化粧品のPFAS規制

ニュージーランドでは、世界で初めて化粧品へのPFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物質)の使用を禁止した。これは2026年頃から実施される予定だ。PFASは化粧品の伸びをよくしたり、耐水性を高めたりするために化粧品に使用されるが、人の免疫系への影響が指摘されており、この規制が設けられた。

ニュージーランド、化粧品の「永遠の化学物質(PFAS)」禁止 世界で初

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日本:PFOSとPFOAの製造・輸入禁止

現在、日本では、PFASのうちPFOSやPFOAへの規制が行われている。2010年には、「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)」により、PFOSの製造や輸入、製品への使用が禁止された。また、PFOAは2019年にPOPs条約で「原則禁止」とされ、国内では2021年から製造や輸入、製品への使用が禁止された。

PFASが環境や健康にもたらす影響

これまで解説してきた通り、PFASは分解されずに体内や環境に蓄積し続けるといった性質から、健康への影響が指摘されている。国内では各地で高濃度のPFASが検出されるなど、PFASの影響は私たちの身近なところにもおよんでいる。現在は国際的な規制が進められているが、さらに規制が進み、PFASによる環境問題や人間への影響が解消されていくことを期待したい。

※掲載している情報は、2024年3月4日時点のものです。

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