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アメリカ・ニューヨーク州は、衣料品の製造において、人体に有毒とされる化学物質PFASの使用を禁止する。2023年末日に発効される予定。
岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・ライター・キュレーター
ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。編集者・ライター・キュレーターとして活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRE…
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PFASとは、パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物のこと。数千種類も存在する、炭素やフッ素などが結合した化学物質の総称で、「PFAS(ピーファス)」と呼ばれる。
水や油をはじき、熱や薬品にも強いことから、食品パッケージをはじめ、鍋やフライパンの焦付き防止、カーペットや衣類の防水・耐水加工、シャンプーや化粧品、電子機器や工業製品などに幅広く用いられてきた。
一方で、PFASは自然界や体内で分解されにくく、人や動物、環境に蓄積していくことから「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」と表現される。
製造過程や日常的な使用によってPFASが大気に放出され、水や動植物の摂取を通じて人体にも影響を与えることから、近年では、欧米を中心にその使用や製造への規制が進められている。
そんなPFASの規制に、アメリカが動き出している。ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は2022年12月末、衣料品の製造におけるPFASの使用を禁止する法律に署名した。この法律は、2023年12月31日に発効となる。
ニューヨーク州ではすでに紙製の食品包装にPFASを用いることが法律で禁止されており、今回の衣料品でのPFAS規制はさらなる進展となった。
自然資源防衛協議会(NRDC)のシニア弁護士兼健康・食品担当シニアディレクターのアビ・カール氏はこの決定に対し、次のように話している。
「これはニューヨーク州で通過した最初のPFAS法でもなく、最後のものでもない。ニューヨーク州は、紙製の食品包装などに含まれるPFASを禁止するこれまでの法律に加え、この法律を制定することで、PFAS規制のリーダーシップを発揮し続けている」
現在、欧米諸国をはじめ国際的にPFASの規制が強まっている。今回のニューヨーク州での衣料品へのPFAS規制は、アメリカではカリフォルニア州に続く二例目。今後、日本をはじめ他国でのPFAS規制をめぐる議論にも影響を与えることが期待されるだろう。
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