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私たちの身の回りに忍び寄るマイクロプラスチック。これまでに、人間の内臓(脳、心臓、血液など)から検出されてきたが、最新の研究で大気中にも含まれており、とくに車はマイクロプラスチックの大きな発生源のひとつであることもわかった。
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小さなプラスチック粒子であるマイクロプラスチック。これまで、人間の脳、腎臓、肺、肝臓、血液などから見つかってきた。
そして、フランス国立科学研究センターやトゥールーズ大学の研究者による最新の発表で、肺の奥深くまで入り込むほど小さなマイクロプラスチックが家庭や車内の大気中に存在することが明らかになった。
その内容によると、成人は1~10マイクロメートルのマイクロプラスチック粒子を1日あたり約6万8000個、室内の空気から吸入しているという。これは、研究チームの当初の予想の100倍にあたる。
多くの人は、1日の大半を自宅やオフィス、店舗、交通機関など、屋外で過ごす。「その間ずっと、無意識のうちに吸入することでマイクロプラスチック汚染にさらされている」と、今回の研究結果について発表した研究者は語っている。
また、マイクロプラスチックの発生源のひとつとなるのが、車の中だという。ハンドル、ドアのノブ、シート、カーペットなど、車にはプラスチックベースの素材が多く使われており、さらに狭い密閉空間となることから、マイクロプラスチック粒子が空気中に蓄積して濃縮されるという。
今回の研究では、家庭内の空気1立方メートルあたり528個のマイクロプラスチック粒子が検出されたのに対し、車内の空気では1立方メートルあたり約2,238個が検出された。
また、グリーンピース・インターナショナルでは、スイスのジュネーブの都市部における大気中のマイクロプラスチックについて調査。1.7立法メートルのサンプルに、94個のマイクロプラスチックの破片とマイクロプラスチック粒子12個、繊維状のもの71本が確認された。
私たちはこのサンプルよりも大量の空気を日々の生活で吸い込んでおり、膨大なマイクロプラスチックを知らないうちに体内に取り入れていることが示唆されたということだ。
なお、上述のフランスの調査もジュネーブの調査も、一定以上の大きさがある粒子しか検出できないため、実際には分析対象よりも小さな目に見えないようなマイクロプラスチックまでも吸入している可能性が高い。
私たちはいまや、どこで生活していても、マイクロプラスチックの危険にさらされていると言える。では、それを最小限にするためには何ができるだろう?
グローバル公衆衛生と公益プログラムなどを専門とする米ボストン大学のランドリガン教授によると、「身の回りにあるもので避けられるプラスチック製品、とくに使い捨てのプラスチック製品の使用を控えること」がいいという。
スマートフォンやパソコンなど、回避が難しいプラスチック製品はあるが、それ以外で使用を控えられるものは使用を止めるのがおすすめだ。
プラスチックは、食品の包装や容器にもよく使われている。だが加熱によって、そのプラスチックが食品に移りやすくなるため、電子レンジや調理の前に、包装や容器から取り出すことがいいという。
これまでの複数の研究で、ペットボトルには数多くのプラスチックが含まれていて、その大半がマイクロプラスチックであることが知られている。そのため、ペットボトルのほか、プラスチック製容器で飲み物を飲まず、金属やガラス製の容器を使うようにしよう。
2025年8月、スイスのジュネーブで、国際的なプラスチック規制の枠組みをつくる「国際プラスチック条約」交渉が行われた。だが、プラスチックの生産や規制に関して条約交渉の合意には至らなかった。
グリーンピース・インターナショナルによると、2060年までに世界のプラスチック生産量は3倍まで増加する可能性があるといい、人間も含め、多くの生態系や自然がますますマイクロプラスチックの脅威にさらされる可能性が高い。
多くの国や地域で、プラスチック製レジ袋の使用禁止などが行われているが、さらに一歩踏み込んだ世界規模の取り組みが求められている。
※参考
Indoor air contains thousands of microplastics small enough to penetrate deep into our lungs, study finds|CNN
Greenpeace air sampling in Geneva finds microplastics in urban air|Greenpeace International
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