マイクロプラスチックによる人体への影響 心臓・肺・血液から検出される

海岸

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微細なプラスチックであるマイクロプラスチックが、環境負荷をかけていることは広く知られている。しかし人体への影響について理解している人はどのくらいいるだろうか?この記事ではマイクロプラスチックがもたらす人体への影響を解説し、改めて環境に与える影響も紹介する。

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2024.04.10
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そもそも「マイクロプラスチック」とは

ペットボトルの水

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マイクロプラスチックは、直径5mm以下の小さなプラスチック粒子のことを指す。元々の大きさが小さなものや、大きなプラスチック製品が自然界で破砕されてできたものなどがあり、環境汚染や生態系を乱す可能性が示されている。

マイクロプラスチックの種類

マイクロプラスチックには、一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチックの2種類がある。

一次マイクロプラスチック
工業的に生産された小さなプラスチック粒子や断片のことを指す。例えば、洗顔料や化粧品などのスクラブ剤に含まれるマイクロビーズ、樹脂ペレットなどが一次マイクロプラスチックに該当する。これらの微小なプラスチックは下水処理場を通過して環境中に放出され、海洋生物や生態系に影響を与える可能性が高い。

二次マイクロプラスチック
大きなプラスチック製品が自然界で風化や摩耗により小さくなったものを指す。例えば、海岸に漂着したプラスチックごみが波や紫外線の影響を受けて劣化し、微小なプラスチック片へと破砕される。他にもポイ捨てされたプラスチック製品や、太陽の紫外線によって劣化したプラスチックが主な二次マイクロプラスチックの発生源となる。

マイクロプラスチックが流出する要因

マイクロプラスチックは、化粧品や衣類などの製品からの微細な粒子の放出、プラスチック製品の破砕や廃棄物の不適切な処理によって流出する。我々が日常で使う化粧品や洗剤、衣類などの製品に含まれるマイクロビーズやマイクロファイバーなども、マイクロプラスチックとして流出する。

また、大きなプラスチック製品が摩耗や風化によって細かく砕けることでも発生する。プラスチック製品の不適切な廃棄やポイ捨てなどの行為が、マイクロプラスチックを流出させる要因となっている。

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マイクロプラスチックが与える人体への影響

プラスチックのカトラリーなど

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マイクロプラスチックは、非常に小さな粒子であるため、容易に我々の体に入り込む。ここでは、マイクロプラスチックがどのように人体に影響を及ぼすか考えていきたい。

マイクロプラスチックを含んだ海洋生物を食べる可能性

まず食物連鎖を通じて人体にも影響を及ぼす可能性がある。魚がエサと一緒にマイクロプラスチックを摂食し、それを人間が食材として口にすることで、結果として人間の体内にマイクロプラスチックが取り込まれる可能性がある。

体内に入り込んだマイクロプラスチックは血液に吸収されて全身にまわり、体内に蓄積されたりすることで、健康へ悪影響をもたらす可能性が指摘されている。

心臓・肺・血液からマイクロプラスチックが検出される

2022年に発表されたオランダの研究で、健康な成人22人のうち17人の血液からマイクロプラスチックが検出された。またイギリスの研究では、肺手術を受けた11人の患者から採取された13の肺のサンプルのうち、11のサンプルからマイクロプラスチックが検出されたこともある。これらは、人間の血液や肺にもマイクロプラスチックが取り込まれることを表している。

マイクロプラスチックが体内に取り込まれ、心臓や肺に影響を与えるかどうかは現時点では不明だ。しかし肺に関する研究では、これらの微小なプラスチックが肺炎症、めまい、頭痛、ぜん息、がんなどの症状を引き起こす可能性があることが示唆されており、現在もマイクロプラスチックが人体に与える影響の研究が続けられている。

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マイクロプラスチックの影響は人体以外にも

人体への影響だけではなく、マイクロプラスチックが自然界に与える影響について改めて振り返ってみたい。

生態系へ与える影響

海に流出したマイクロプラスチックは、海洋生物を通じてさまざまな生態系に影響を与える可能性がある。ウミガメなどの海洋生物がマイクロプラスチックを誤って摂取すると、大きな健康被害を受けることも考えられる。

また、マイクロプラスチックを誤って食べた小魚がより大きな魚に捕食されることで、魚には大量のマイクロプラスチックが蓄積されることになる。さらに、その魚を餌にするそのほかの動物も影響を受けることが考えられる。マイクロプラスチックは、地球上のあらゆる生態系のバランスを乱す可能性が示唆されている。

環境へ与える影響

マイクロプラスチックは、環境に長期的な影響を与える可能性がある。海洋や淡水域に流入したマイクロプラスチックは、生態系の健全性を脅かすだけではなく、土壌や水中にも蓄積される。マイクロチップが蓄積することで、土壌の肥沃性が失われたり、海水汚染を引き起こしたりする可能性もある。さらに、マイクロプラスチックは環境中で分解されずに長期間残存するため、時代を経て生態系や環境に持続的なダメージを与えることが考えられる。

マイクロプラスチックを減らすためにわたしたちができること

ペットボトル

Photo by Jonathan Chng on Unsplash

環境に負荷を与えるマイクロプラスチックを削減するために、我々一人ひとりにできることをみていこう。

使い捨てプラスチック製品の利用を減らす

使い捨てプラスチック製品は、環境に多大な影響を与える主要な要因の一つだ。現在日本では、940万トンものプラスチックが廃棄されており(※1)、これらのプラスチックはマイクロプラスチックが発生する原因にもなる。我々ができることは、使い捨てプラスチック製品の使用を減らし、洗って使える製品やリサイクル可能な製品を選択することだ。最近では、使い捨てのプラスチックストローを再利用可能な金属や竹のストローに置き換える人も増えてきている。

プラスチック流出を防ぐ洗濯ネットを使う

洗濯中の衣類から、マイクロプラスチックが流出することがある。洗濯によるマイクロプラスチックの流出を防ぐためには、マイクロチップ流出対応の洗濯ネットを使用することが効果的である。

洗濯ネットは、洗濯中にマイクロプラスチックなどの微細な繊維を捕捉するフィルター機能を持っており、洗濯後にまとめて除去できる。ちょっとした工夫を洗濯に取り入れることで、海中へのマイクロプラスチックの流出を減らすことにつながる。

プラスチックごみを適切に処理する

環境負荷を抑えるための基本だが、日頃捨てているプラスチックごみを適切に処理することも大切だ。ごみを出す我々が適切にプラスチックを処理することで、より持続可能な社会を目指せる。自治体の指定する日にごみを出し、他のごみと混ぜて捨てないようにすることはもちろん、街のリサイクル施設やごみ処理施設にプラスチックを持ち込み、適切に分別して処理することで、マイクロプラスチックが環境に流出するリスクを減らせる。

ごみのポイ捨てをしない

最後に、ポイ捨てをしないことが重要だ。道や公園などにごみを捨てることで、それが雨や風によって水路や海に流れ込み生態系に影響を与え、さらには破砕されることでマイクロプラスチックが発生する原因となる。外出先で発生したごみは公共のごみ箱に捨てるか、家に持ち帰って適切に処分しよう。また自然環境を保護するために、周囲の人々にもポイ捨てをしないよう呼びかけることも大切だ。

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マイクロプラスチックの削減は一人ひとりの心がけから

マイクロプラスチックの人体への影響は、現在研究段階であるものの、体へ悪い影響が出てくることは可能性として高いのではないだろうか。また、マイクロプラスチックは分解されずに長期間残るため、自然界への影響も長期的なものとなる。日々の生活に注意して、我々一人ひとりがプラスチックの排出を減らすことで、マイクロプラスチックの発生を削減できる。

※掲載している情報は、2024年4月10日時点のものです。

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