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サステナブルツーリズム推進国として、トルコが注目されている。ユネスコ世界遺産の保護やゼロウェイスト運動など、環境配慮と文化保護を両立した持続可能な観光政策が行われている。
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英国の権威ある旅行誌「Wanderlust(ワンダーラスト)」が毎年発表する、「トラベル・グリーン・リスト(Travel Green List)」。世界規模での気候変動やその影響が表れ、オーバーツーリズムに直面している旅行先もある。そのようななか、ますます求められているのが環境に配慮したサステナブルツーリズムだ。
そんなサステナブルツーリズムの旅行先を紹介するのが、ワンダーラストの「トラベル・グリーン・リスト」。3回目となる2025年版では、トルコが選出された。
トルコが評価されたのは、世界遺産の保全と同時に、ゼロ・ウェイスト運動などの環境活動も推進している点だ。具体的な取り組みをいくつか紹介する。
トルコは21のユネスコ世界遺産を有し、ネムルト山、ギョベクリ・テペ、トロイ遺跡、カッパドキアなどがある。これらの観光地では、オーバーツーリズムによる損傷などを防ぐため、訪問者数の制限等の厳格な規制を設け、地域コミュニティと連携した保全活動の仕組みが構築されているという。
トルコは2022年、グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC)と政府間協定を締結。世界で初めて、サステナブルな観光と旅行の世界基準を確立した。ホテルなどの宿泊施設から、ツアーオペレーター、観光地全体で、サステナビリティの原則を取り入れることを目指す内容だ。2024年3月時点で871軒の宿泊施設が認証を取得し、2030年までに全ての宿泊施設でサステナブル観光認証の取得を目標としている。
トルコ料理の伝統的な調理法は、野菜の皮はサラダや副菜に、果物の皮はジャムに加工、硬くなったパンはスープやデザートの材料として使用するなど、まさにゼロウェイストの理念を体現している。このような食習慣のあるトルコでは、国連総会でゼロ・ウェイストの決議を提案。3月30日を「国際ゼロ・ウェイスト・デー」として制定することが決まった。
海に囲まれたトルコでは、海洋環境保護の取り組みも積極的に行われている。環境認証制度「ブルーフラッグ」の認定を受けたビーチが、551カ所にも及ぶ(2024年時点)のがその証拠だ。
気候変動や環境問題が深刻化する中、観光業界では大量消費型からの転換が求められている。トルコの事例は、経済成長と環境保護の両立、文化遺産保護と観光開発の調和が可能であることを示していると言えるだろう。持続可能な観光地としてのトルコの取り組みは、世界の観光業界にとって重要な先行事例になるかもしれない。
※参考
Türkiye Gains Global Recognition for Sustainable Tourism Leadership in 2025|Travel Tour and World
The Travel Green List 2025|Wanderlust
トルコ発の廃棄物ゼロの未来への提案|トルコ共和国大使館 文化観光局
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