Photo by 観光客が集まるパリの街
数多くの観光客が訪れる欧州では、オーバーツーリズムの問題が悪化。スペイン、ギリシャなどで、地元住民の間からは観光業に反対する声が高まっている。
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観光業によって恩恵を受けている観光地は、訪れる観光客の数が多いほど喜ぶもの……。そんな固定概念は変わってきているのかもしれない。欧州の人気観光地の各地で、2024年夏、観光業に反対する声が高まってきている。
例えば、スペインのバルセロナでは7月上旬、観光業に反対する住民数千人によるデモが行われ、7月下旬にも「ヨーロッパのハワイ」と呼ばれるマヨルカ島で大規模デモが行われた。人々は街を行進しながら「観光客は帰れ!」と叫び、観光客を見つけると水鉄砲で水をかけた。
スペインでは2023年に、海外から訪れる観光客の数が過去最高を記録。2024年第1四半期は前年同期比で2400万人も増加している。
ギリシャの首都アテネでも、観光業に対する激しい抗議活動が勃発。人々からオーバーツーリズムに対する怒りが高まっていることを受けて、4月にはギリシャが「ノーモア・ツーリズム(もう観光はやめよう)」と宣言した。
観光業が大きな収入源のひとつであるこれらの観光地で、観光業に対する反発が起きている大きな理由は、物価の高騰だ。大勢の観光客が押し寄せることで、インフラや医療サービスを含め、さまざまな物価が上昇。住居費も上がり、地元住民たちがその影響をダイレクトに受けているのだ。
スペインのある住民は「暮らすには耐えられない場所」と表現し、ギリシャのある住民からは「観光客が私たちの家を奪っている」という声があったという。
また、道路は観光客のレンタカーで渋滞し、公共交通機関も観光客であふれかえり、酔っぱらった観光客による迷惑行為なども問題視されている。
2023年の夏シーズンは、アフターコロナの反動によって、世界各地がオーバーツーリズムに直面した。これを受けて、観光客に対して「観光税」を導入する国や地域が増えている。
だが、2024年夏に各地で観光業反対運動が起きていることを見ると、観光税だけの対策では不十分であるようだ。スペイン・バルセロナでは、2028年末までに観光客へのアパートの賃貸を禁止。ポルトガルでも、観光客向けのバケーション用賃貸物件の取り締まりを強化するなどしている。
今回、反対運動が起きた場所は観光業によって大きな収入を得ていることは事実だ。だが、それ以上に地元住民の暮らしが脅かされていては意味がない。今後も、観光業と地域の人々の暮らしと、いかにバランスを取っていくかが重要になるだろう。
※参考
‘Tourists, go home!’: Mass tourism exasperates locals in Europe and beyond|France24
Greece demands 'no more tourism' and issues warning to UK tourists|Yahoo!news
Drunk visitors, rocketing rents and homogenised cafes: living in Europe’s tourist hotspots|The Gurdian
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