未来の化粧品原料になると期待される微細藻類由来のオイルを配合した、「circuRE act(サキュレアクト)」の新しいナイトケアクリーム。3月24日の発売に先駆けて、先日都内でELEMINISTと協同でイベントを開催した。商品に込められた想いや開発ストーリー、イベントの様子、参加者の感想などをお届けする。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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イベントでは、サキュレアクト代表・塩原祥子氏による、自社ブランド「530(FIVETHIRTY)」のブランドストーリーや新商品の開発に至った背景、530が考えるスキンケアメソッドなどについて紹介。さらに、実際の開発を行った研究者の鈴木龍介氏から、キー成分となる微細藻類由来の「ソラルナ®︎オイル」の説明や、厳格なクリーンビューティーポリシーを踏まえて商品開発を行う難しさなど、開発ストーリーが語られた。
少人数ならではのアットホームな空間で、参加者は実際に商品を手に取りながら話を聞き、ナイトケアクリームに込められた想いやこだわり、さらには商品開発の背景にある環境問題について理解を深める学び多き時間となった。
サキュレアクトの塩原祥子代表。
最初に説明があったのは、今回のナイトケアクリームに配合された成分のなかで特筆したい、微細藻類由来のソラルナ®︎オイルについて。
地球温暖化をはじめとする環境問題の一因であるCO2は、さまざまな産業から排出されているが、世界全体の約1.8%を占めているのが航空分野だ(※1)。そこで、現在世界中で石油にかわるサステナブルな航空燃料になるものを求めて各地で研究が行われており、そのひとつが「ソラリス」と「ルナリス」と名付けられた微細藻類の存在だ。
サキュレアクトでは、この微細藻類から抽出されるソラルナ®︎オイルが、多くの化粧品に使用されているパーム油と組成が似ていることに着目。原材料を輸入に頼るケースが多い化粧品業界のなかで、ソラルナ®︎オイルをCO2排出削減に貢献できる国産原料にすることを目指して研究・開発を続けている。
今回のイベントは、小規模なスペースでアットホームな雰囲気のなかで開かれた。
「ソラルナ®︎オイルは、人間の肌から出る皮脂にも組成がよく似ているため、肌なじみがとてもいい」と研究者の鈴木氏が説明。そのほか、ビタミンAと呼ばれる油溶性の油(一般的にはレチノールとして知られている)も含まれており、美容成分としても優秀だという。
今回発売となるのが、このソラルナ®︎オイルを配合した「FIVE THIRTY Night-care cream」。40歳からの肌悩みに着目したエイジングケア*クリームで、“深(しん)の潤い”を追及することでラメラ構造の密度を整えて、若々しいハリのある肌を保つ設計だ。
*年齢に応じたお手入れ
今回のナイトケアクリームの開発を担当した研究者の鈴木龍介氏。
「“環境にやさしい化粧品”と聞くと、肌実感は穏やかなイメージがあるけれど、やっぱり消費者は何かしらの効果を得たいと思って使っていると思います。だから、ちゃんと期待を超えるものをつくることを目指して、今回のナイトケアクリームを開発しました」と塩原氏。
サキュレアクトの自社ブランド「530(FIVE THIRTY)」では今回、肌年齢を決めるのはラメラ構造(肌の一番外側にあるわずか0.02mmの角質層)の密度だと考えている。
ミルフィーユのように水分層と油分層が積み重なっているラメラ構造のそれぞれの層に、4つのキー成分「ソラルナ®︎オイル」「ディクティオプテリスオイル」「アカモクエキス」「エラピラー」がアプローチ。水分と油分のバランスをとって保湿することで、角質層にうるおいを与えてハリのある肌を保つことを目指している。
また、530では地球環境に配慮してプロダクトポリシーを掲げているが、今回のナイトケアクリームの開発にあたって、石油由来原料不使用、石油系防腐剤不使用など、以下の「13のCLEAN BEAUTY POLICY」を設けた。
・パーム油(RSPO認証を受けたものは使用可能)
・動物由来原料(クルエルティフリー含む)
・合成界面活性剤
・炭素原子含むシリコーン
・石油由来原料
・鉱物油
・石油系防腐剤
・合成着色料
・合成香料/精油(アップサイクル精油は使用可能)
・プラスチック資材
・原料産地不明確
・100%天然由来成分
・ヴィーガン処方
パン屋がパンをつくるときに小麦粉を仕入れるように、化粧品メーカーは化粧品をつくるために、原料を原料メーカーから仕入れている。サステナブルなものをつくりたいと考えても、仕入れるそもそもの原料に石油由来成分が使われていたり、動物実験が行われていたりと、クリーンビューティーポリシーをクリアしている原料を探すことはとても困難だそう。
これだけの厳格なポリシーをすべてクリアしたうえ、世界中から輸入したすべての原料の産地や由来を確認しヴィーガン認証まで取得したことを聞いて、参加者から驚きの声が上がっていた。
ナイトケアクリームには、愛媛県の無茶々園の「柚子のアップサイクル精油」を使用している。
鈴木氏も、これだけのポリシーを守りながら商品開発を行うことは、本当に大変だったと話す。当時を振り返り、「使ってはいけない原料が多すぎて、最初から行き詰まっていました」と笑った。化粧品原料開発者として、世界中の原料データを持ち、なおかつ工場を持っている鈴木氏と、強い想いを持った塩原氏のタッグだからこそ開発が可能となった、“奇跡”と呼びたくなるようなナイトケアクリームだ。
実際にナイトケアクリームを手元で試した参加者からは、「水分がたっぷり含まれている感じがする」「潤うのにサラッとしていて気持ちいい」「柚子の香りが心地いい」などの反応があった。
さらに、環境負荷をできる限り少なくするために、製造時のごみを最小限にすることや、過剰包装しないことをポリシーとしており、大量生産による廃棄を避けるため小ロットでの製造を実施。
これらの取り組みに加えて、ゼロウェイストを目指して、業界の慣習にこだわらず、バルク(中身)よりも容器から決めたという徹底ぶり。ナイトケアクリームの容器は国内で製造されたガラスとアルミを採用。FSC認証紙の外箱は雑紙として出せるため、基本的にすべてリサイクルできるように考えられている。
「自然に寄り添って、妥協せずにものづくりをおこなっていることに加えて、航空燃料開発のような未来への想いもしっかり伝わってきました。
ナイトケアクリームを使ってみると、肌がもっちり吸い付く感覚があってビックリ。絶妙なテクスチャーでのびの良さも気持ちよく、肌が変化していくのを実感できて毎日幸せな気持ちで使えました。ナチュラルにこだわってつくられたこのナイトケアクリームは、ぜひ友だちにもすすめたいですね」(早紀さん/@sata.872_bi)
「将来的に航空燃料にするためにソラルナ®︎オイルを研究されている、というお話が印象的でした。実際に航空燃料として使われる日が待ち遠しいです。また、現在の流通では費用の面でむずかしいと思っていた小ロットでの化粧品製造を、日本の自社工場で行うことで実現していることにも驚きました。
ナイトケアクリームを使ったところ、翌朝までしっかり保湿されていることを実感できました。保湿できているからか、毛穴が少し気にならなくなったようです。伸びがよくなじみやすいので、使っていて気持ちがいいです。なんとなくハリが出ている気がするので、母にもすすめたいなと思います」(Lenaさん/@_lena0310_)
「ふだん使用しているナイトクリームは、ベタっとして塗布した後にティッシュでオフするのですが、このナイトケアクリームは浸透もいいし、塗った後にサラッとしながらも保湿もされるのがいいですね。男性はベタつくものを嫌がる人が多いと思うので、男女でシェアしてマルチな使い方ができそうです。
それに、塗った次の日の洗顔できちんと肌へ浸透していることを感じました。さらに使い始めて2週間くらいで、目の周りがなんとなくピンとしてハリが出てきた感じがします。
化粧品を製造する際に出る不要なものを極力なくし、使われている成分も環境に対して考えてつくられているところに共感しました。使う側も購入する際に、ものづくりの背景を考えるような世の中になっていく先駆けとして、頑張っていただきたいです」(河西さん/@9.11.21)
イベントを終えて、塩原氏と鈴木氏はこれからの化粧品業界と、私たちがどんなことをしていくべきか話してくれた。
「化粧品は、使い終わった容器をリサイクルできず捨てるしかないものが多いですよね。でも、つくる側が意図してリサイクルできるようにつくれば、限りはあるかもしれないですが、変えられるものだと思うのです。各メーカーが取り組まないと化粧品のごみは減らないので、そこをわかってもらえたら嬉しいと思いますし、化粧品業界を変えていければいいなと思っています。
一方で、使う側の私たちには『今日の買い物が未来につながる』という意識を持って、買い物をしてほしいですね。近年は、安くて便利なものづくりが増えているけれど、原料がサステナブルか、容器はリサイクルできるかなど、消費する側が見極めて、思いやりをもって一つひとつ選んで買い物してほしいですね」(塩原氏)
「説明会で参加者のみなさんにナイトケアクリームを試していただいて、テクスチャーの良さを実感して喜んでもらえたのがすごく嬉しかったですね。あれだけのポリシーをクリアした限られた原料のなかで、テクスチャーのいいクリームを開発するのは、すごく難しくて簡単なことではないんです。今回参加してくださったのは、環境問題やサステナブルに興味のある方々でしたが、そうでない方にもぜひ試していただきたいですね」(鈴木氏)
大量生産・大量消費が当たり前になっているなか、使い終わった後のことまで考えて商品づくりをおこなっているケースはまだまだ少ない。そうした企業が増えることを願いつつ、まずは私たちが1回1回の買い物を大切にして、地球の未来にとってよりよいと思う選択をしていくことが重要であることを、改めて感じることができたイベントであった。
2025年3月24日(月)発売 50g・4,950円(税込)
販売先:サキュレアクト オンラインストア、@cosmeTOKYO(4月2日より)
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