リオ宣言とは? 採択の背景や原則、SDGsとの関係について解説

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1992年に開催された国連環境開発会議(地球サミット)で採択された「リオ宣言」。27項目の原則から構成されるこの宣言は、環境問題において大きな影響を与えてきた。本記事では、採択の背景や原則の例、SDGsとの関係などについてわかりやすく解説していく。

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2024.11.22

リオ宣言とは

国連のイメージ

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リオ宣言とは、1992年に開催された国連環境開発会議(地球サミット)で採択された、前文と27項目の原則から構成される宣言のこと。正式には「環境と開発に関するリオ宣言」だが、省略してリオ宣言と呼ばれることが多い。

リオ宣言は、1972年の国連人間環境会議で採択された「人間環境宣言(ストックホルム宣言)」の再確認や発展を目的につくられた。

「人間環境宣言(ストックホルム宣言)」では、人間の環境保護義務や各国の責務、先進国に対する格差是正と、途上国に対する開発の優先順位を念頭に置いた取り組みなどが盛り込まれたが、条約ではないことから、宣言で掲げた事項に対する国の権利や義務は規定されていなかった。

さらに、先進国と途上国とで主張が対立していることもあり、再確認や発展が必要であったことがリオ宣言採択の背景にある(※1)。

リオ宣言の27の原則

ここからは、具体的にリオ宣言の中身を見ていこう。27の原則のうち、主要なものをわかりやすく紹介していく(※2)。

原則1

人類は持続可能な開発への関心の中心に位置していて、誰もが自然と調和しつつ、健康で生産的な生活を送る資格を持っている。

原則3

現在および将来の世代の開発および環境上の必要性を公平に充たすことができるよう、開発の権利は行使されなければならない。

原則7

各国は、地球の生態系を守るため、グローバル・パートナーシップに協力しなければいけない。また、地球環境問題に関して、先進国と途上国のどちらも共通の責任があるが、問題への寄与度と解決能力においては両者に差異がある。

原則15

環境を保護するため、予防的措置の広範な適用が必要。環境に対して深刻な被害を与える可能性がある場合には、因果関係が科学的に十分証明されていなくても、速やかに予防措置をとるべきである。

原則25

平和、開発および環境保全は、相互依存的であり切り離すことはできない。

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リオ宣言とともに採択された4つの条約・宣言

リオ宣言を確実に履行するために、国連環境開発会議において、リオ宣言とともに採択された4つの条約と宣言がある。それぞれについて、解説していく。

気候変動枠組条約

「気候変動枠組条約」では、大気中の温室効果ガス濃度の安定化を最終的な目標とし、気候変動がもたらす悪影響を防止するための国際的な枠組みを定めた(※3)。

生物多様性条約

生物多様性の保全や遺伝子資源の保護を目的につくられたのが、「生物多様性条約」である。国連環境開発会議の会期中に、日本を含む168カ国が署名した(※4)。

森林原則声明

森林の保護・育成を世界規模で協力することを目的としているのが、「森林原則声明」。これは、森林分野の国際合意として初となる声明である。

そもそもは、「気候変動枠組条約」「生物多様性条約」と同じく「条約」として締結する予定であったが、発展途上国の強い反対により、「宣言」という形での発表となった(※3)。

アジェンダ21

「アジェンダ21」とは、リオ宣言を実践に移すためにつくられた自主的行動計画のこと。

森林破壊や砂漠化、有害物質の管理などのさまざまな問題に対して行動を起こし、持続可能な社会へと変化させていくことを目標としており、各国政府が取るべき行動をまとめた4分野40項目が記されている(※3)。

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リオ宣言の影響とその意義

リオ宣言の大枠が理解できたところで、リオ宣言の影響とその意義について見ていこう。

国際的な環境保護の枠組みとしての役割

リオ宣言の採択と、それを具体化するための4つの条約・宣言の採択は、今日にいたる地球環境の保護や持続可能な開発の考え方に大きな影響を与えてきた。

生物多様性の保全や保護を目的として「生物多様性条約」が締結されたほか、「気候変動枠組条約」をもとに、1995年から毎年COPがおこなわれ、1997年のCOP3では京都議定書が、2015年のCOP21ではパリ協定が締結されるなど、国際的な環境保護の枠組みとしての役割を担ってきた(※3)。

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環境政策への影響

リオ宣言は、各国の環境政策にも影響を与えてきた。なかでも、前述の原則15で言及されている「予防原則」は、その後環境保護に関するさまざまな国際条約に取り入れられた。

また、リオ宣言はSDGsの誕生にも深く関係している。リオ宣言が採択された国連環境開発会議から20年経った2012年に、フォローアップ会議として「リオ+20」が開催。

このリオ+20の成果文書である「我々が望む未来(The Future We Want)」では、持続可能な開発を十分に達成させるためには環境面や社会面などのあらゆる側面を統合し、さらに主流に組み込む必要性を示しており、その手段として設定されたもののひとつが、SDGsの採択なのである(※5)。

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リオ宣言の課題と批判

さまざまな環境政策に影響を与えてきたリオ宣言だが、課題や批判もある。

グローバルな環境問題の複雑化という課題

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リオ宣言の採択当時から30年以上がたち、気候変動や生物多様性の減少、森林破壊など、環境問題は深刻化している。それによって、当時採択された内容では、現状の環境問題に対する対応の遅れが懸念されている。

また、経済成長と自然破壊・環境破壊とがトレードオフの関係になっていることも、大きな課題のひとつである。

「共通だが差異ある責任」への懸念

リオ宣言の原則7に、「地球環境の悪化への異なった寄与と いう観点から、各国は共通のしかし差異のある責任を有する。」と記載されている。

この「共有だが差異のある責任」とは、先進国と途上国のどちらも共通の責任があるが、問題への寄与度と解決能力においては両者に差異があるという意味である。

しかし、リオ宣言採択時の開発途上国のなかに急速な経済成長を遂げている国々がある一方で、景気後退や財政問題に苦しむ先進国があるなど、当時の枠組みそのままの差異のある責任を求め続けることへの懸念も生まれているのだ。

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リオ宣言から現在までの取り組み

リオ宣言以降、現在までさまざまな国際的な会議の実施や条約の締結が行われてきた。主な取り組みは以下の通りである。

2002年のヨハネスブルグ・サミット(リオ+10)

国連環境開発会議から10年という節目を迎えた2002年には、ヨハネスブルグサミット(リオ+10)を開催。

この持続可能な開発に関する世界首脳会議では、「ヨハネスブルグサミット実施計画」「政治宣言」「約束文書」を採択した(※6)。

2012年の「リオ+20」会議

国連環境開発会議から20年がたった2012年には、国連持続可能な開発会議(リオ+20)を開催。

「持続可能な開発に関する新たな政治的コミットメントを確保する」「持続可能な開発に関する主要なサミットの成果の実施における現在までの進展および残されたギャップを評価する」「新しい、または出現しつつある課題を扱う」ことを目的に、191の国・地域から各国の首脳や政府代表団、NGO等、約3万人が参加した(※7)。

パリ協定の採択

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リオ宣言とともに採択された「気候変動枠組条約」に基づいて採択されたのが、「パリ協定」である(※8)。

2015年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択され、2020年以降の温室効果ガス削減に関する世界的な取り決めが示され、世界共通の「2度目標(努力目標1.5度以内)」が掲げられた。

環境問題において大きな節目となったリオ宣言採択

パリ協定のきっかけになったリオ宣言は、現在の環境と開発に関する基礎となった重要な原則であり、リオ宣言の採択は、環境問題において大きな節目となった。本文で触れたように課題はあるものの、各国、各自治体、企業、個人が現状に合わせて、環境問題解決に向けて取り組んでいくことが大切である。

※掲載している情報は、2024年11月22日時点のものです。

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