アフガニスタン戦争とは? 背景と原因、戦争の影響について解説

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20年もの長きにわたり繰り広げられていた「アフガニスタン戦争」。終結したのはほんの数年前のことである。この記事では、なぜアフガニスタン戦争が起きたのか、その背景と原因を解説。また戦争の影響、アフガニスタンの現状についても説明する。

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2024.11.23
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アフガニスタン戦争とは

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アフガニスタン戦争は、2001年9月11日の同時多発テロ事件を受け、アメリカが国際テロ組織「アルカイダ」の首謀者であるウサマ・ビンラディン容疑者らをアフガニスタンがかくまっていたと断定し、イスラム主義組織タリバンが支配していたアフガニスタンに攻撃を開始したことで始まった。20年におよぶ長期戦となったが、2021年8月15日にタリバンがアフガニスタン全土を掌握し、事実上米国の敗北で終わった。(※1)

アフガニスタン戦争の背景と原因

アフガニスタン戦争は、どのような背景や原因によって起きたのか。

戦争の経過

2001年 アメリカ主導の「不朽の自由作戦」開始

2001年9月11日、アメリカ・ニューヨークでアメリカ同時多発テロが起こった。アメリカは、この事件の首謀者である国際テロ組織「アルカイダ」のウサマ・ビンラディン容疑者らをかくまっていた疑いのあるアフガニスタンのタリバン政権に対し、「不朽の自由作戦」と称した軍事作戦で報復を開始した。不朽の自由作戦はアメリカ軍が主導し、2001年10月に米英軍によるアフガン空爆をしかけた。(※2)

タリバン政権の崩壊と暫定政権の樹立

不朽の自由作戦開始から2か月後、アメリカ軍らは主要都市・カブールを制圧し、タリバン政権は崩壊する。カルザイ議長以下、副議長5名を含む30名の閣僚で構成された暫定政府が発足する。(※3)

アメリカとNATO軍による治安維持活動

2001年12月、アフガニスタンの再建と安定化を図るため、アメリカとNATO軍を中心とした国際治安支援部隊(ISAF)が設置され、治安維持活動を開始した。(※4)

2010年代のアフガニスタン駐留軍の縮小と和平交渉

2011年後半になると、オバマ政権はアフガニスタンからの段階的撤退を開始すると発表。アフガニスタンの治安維持を徐々に現地の治安部隊に移管し、連合軍の役割を縮小する計画が立てられた。2014年に国際治安支援部隊の任務が正式終了し、NATOは「確固たる支援任務」に移行する。2018年、アメリカとタリバンの間で初の直接交渉が行われ、和平プロセスが進み始め、2020年にアメリカとタリバン間で「和平合意」が成立した。(※3、※5)

2021年のアメリカ軍撤退とタリバンの再支配

2021年、バイデン政権はアメリカ軍の完全撤退を発表。アメリカ軍の撤退が進む中、タリバンは急速にアフガニスタン全土を制圧し、8月15日には首都カブールを掌握。アフガニスタン政府は崩壊し、タリバンが再び政権を握った。(※6、※7)

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タリバン政権の崩壊と新政府の設立

2001年12月、タリバン政権は崩壊した。その後、移行政権の発足、新憲法の採択・発布、大統領選挙、下院議会・県議会選挙に至る一連の統治機構整備プロセス(ボン・プロセス)を通じて民主的な政府が樹立された。2014年にはガーニ大統領が誕生し、民主的な政権交代が実現した。(※3)

長期にわたる駐留によるアメリカとNATO諸国への負担

アフガニスタン戦争の長期化に伴い、アメリカ軍、NATO軍の駐留も長期間にわたった。この長期駐留により、アメリカやNATO諸国は多大な人的・財政的コストを支払うこととなった。アメリカの対テロ戦の戦費は8兆ドル、米兵の犠牲者は約7,000人となったといわれている。(※8・9)

アフガニスタンの社会的、経済的、政治的影響

戦争はアフガニスタンの社会や経済に深刻なダメージを与えた。経済危機の発端は、タリバン政権が復権してアフガニスタン復興信託基金が凍結されたことによる。多くの産業が機能しなくなり、失業率が高まった。そのほか戦争によるインフラの破壊、治安の悪化、貧困層の増加などの問題も起きており、戦争後も多くの悪影響が出ている。(※10)

アフガニスタンにおける人権問題

タリバンが復権したことで、人権侵害も深刻な問題となっている。とくに女性の教育や働く権利が奪われており、いまなお改善は見られない。(※7)

テロリズムや過激派組織の台頭

アフガニスタン戦争後、アフガニスタンではタリバンが実権を握り、過激派組織「イスラム国(IS)」や国際テロ組織「アルカイダ」などが依然として活動している。アフガニスタンとパキスタンで活動するIS系の組織「ホラサン州」は、最高指導者が死亡したとされるにもかかわらず、テロを続発させている。(※11)

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アフガニスタンを取り巻く現状

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アフガニスタン戦争後、アフガニスタンはどのような現状に置かれているのか解説する。

タリバンの復権と新たな統治体制

2021年8月、アメリカ軍が撤退した直後にタリバンはカブールを制圧し、アフガニスタン全土を掌握した。これは、タリバンが復権したことを意味する。タリバンは再びイスラム法に基づく厳格な統治を進めている。(※7)

アフガニスタン国内の混乱と人道危機

アフガニスタンは長年の戦争と不安定な政治状況により、経済に深刻な危機が訪れている。また干ばつ、食糧危機、難民・避難民問題、貧困問題もあり、さまざまな要因がからみあった人道危機に瀕している。(※12)

対人地雷の危険性

国連地雷撤去データベースによると、アフガニスタンには1,000万個以上の対人地雷が敷設されているという。もし地雷を踏んでしまうと、医療が不足しているアフガニスタンでは十分な治療が受けられない。そのため、現在でも多くの犠牲者が出ている。(※13)

深刻な食料不足

アフガニスタンは経済が混乱していることからインフレが進行し、生活必需品や食料の価格が急騰している。また失業者も多く、貧困に陥っているのが現状だ。収入のおよそ4分の3は食費に費やされ、600万人が食料不足、100万人の子どもが深刻な栄養不良に陥っていることも問題となっている。(※14)

国際社会の対応と支援活動の現状

タリバン政権復活により、多くのアフガニスタン人が再び難民となり、国外に逃れることを余儀なくされている。アフガニスタン難民の9割以上を受け入れているのは、イランやパキスタンだ。

アフガニスタンでは、干ばつが長引いていることや食料価格の高騰、失業などにより、人道支援を必要とする人口が急増している。国連や国際NGOなどは、自立生計支援やインフラ整備、支援活動を行っている。(※14、※15)

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9.11が引き金となった「アフガニスタン戦争」

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アフガニスタン戦争は、国際テロの脅威、国内の政治的不安定さが複雑に絡み合った結果、発生した。長期にわたる戦争は混乱を引き起こし、現在もなお安定に向けた道は険しい状況にある。復権したタリバン政権下では、人権侵害や食料危機などの問題が続いており、国際社会の支援が不可欠な状況だ。

※掲載している情報は、2024年11月23日時点のものです。

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