パレスチナ・ガザ地区とは 「どこ?なぜ問題?」をわかりやすく解説

地図のパレスチナ、ガザの文字

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海外のニュースでよく名前を聞く「ガザ地区」。イスラエルとパレスチナの紛争がたびたび勃発してきた。そんなガザ地区とは、どこにあり、なぜ問題になっているのだろう?ガザ地区の基本からわかりやすく解説する。

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2023.12.14
SOCIETY
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ガザ地区とは?どこの国?

ガザ地区は、中東のパレスチナにある。地中海に面した細長いエリアを「ガザ地区」という。

面積

ガザ地区は、東西に約10km・南北に約40kmほどのエリアで、面積は365平方km(※1)。種子島とほぼ同じ大きさで、東京23区の面積の6割ほどだ。

人口

ガザ地区の人口は約222万人(2023年時点 ※1)。小さな地域に数多くの人が暮らしていることがわかるだろう。ガザ地区は、世界でも人口密度が高い地域として知られる。

政府

ガザ地区で自治を行うのは、パレスチナ自治政府。パレスチナ自治政府は、ヨルダン川西岸とガザ地区で自治を行っている。この2つのエリアをあわせて「パレスチナ自治区」とよぶ。パレスチナ自治区は、独立国家ではない。
※自治とは、自分たちで行政などを行うこと。

治安

外務省の海外安全ホームページによると、2023年10月時点で、ガザ地区の治安はもっとも危険な「レベル4」(※2)。滞在中の人には、すぐに安全な国・地域へ退避するよう呼びかけ、目的を問わずこの地域には渡航しないよう求めている。

ガザ地区と紛争の歴史

ガザ地区ではこれまでにたびたび紛争が起きてきたのは、なぜか?その理由は、イスラエルとパレスチナにある。

もともと、パレスチナとは、レバノン、シリア、ヨルダン、エジプトなどの地中海東海岸の地域を指してきた。そして同じエリアにあるのも、イスラエルだ。

イスラエルの建国(1948年)

イスラエルは、ユダヤ人が1948年につくった国だ。ユダヤ人はこれまで、ナチスドイツによるホロコースト(ユダヤ人の迫害と虐殺)など、人種的な理由だけで国を追われ、迫害されてきた長い歴史がある。そのような背景があって、彼らは「自分たちの国をつくる必要性」を強く感じ、ようやくできたのがイスラエルという国だった。そのため、イスラエルを死守したいという強い想いがあるという。

一方、イスラエルの建国によって追われてしまったのが、もともとパレスチナにいたパレスチナ人だ。イスラエルの国ができた際は、およそ70万人のパレスチナ人が周辺の地域に逃げたと言われている。

第一次中東戦争(1948年)

1948年のイスラエル建国をうけて、シリア、レバノン、ヨルダン、イラク、エジプトなどのアラブ諸国が反発。第一次中東戦争(パレスチナ戦争)が勃発した。これは、パレスチナにおけるユダヤ人VSアラブ人の対立からなるものだ。1949年まで続くこととなった。

第二次〜四次中東戦争

その後も、1973年までに大規模な戦争がおこり、第四次中東戦争まで分類されている。1967年の第三次中東戦争により、イスラエルがパレスチナ自治区(ヨルダン川西岸とガザ地区)を占領した。そのため、パレスチナ人は現在、パレスチナ自治区におり、イスラエルの占領下にあるのだ。パレスチナ自治区が国になれればよかったが、イスラエルの占領下にあるのが実情なのだ。

オスロ合意(1993年)

イスラエルの建国から続いていた、イスラエルとパレスチナの紛争。これを終わらせるために、アメリカとノルウェーの仲介によって、ノルウェーの首都オスロで結ばれたのが「オスロ合意」だ。イスラエル軍はガザとヨルダン川西岸の両地区から撤退し、パレスチナ側は自治を行うことなどが定められた。これ以降、パレスチナ自治区ではパレスチナ人による自治が行わている。

イスラム組織「ハマス」の台頭

オスロ合意後、パレスチナ自治区のトップとしてまとめていったのがアラファト議長だ。しかし、2004年にアラファト議長が亡くなると、後継のアッバス議長には過激派をおさえるような力がなく、イスラム組織ハマスが台頭するようになる。

ハマスは自爆テロなどを繰り返し、イスラエルもたびたび空爆などを行い、パレスチナとイスラエル間は再び対立するようになったのだ。

ちなみに、ハマスは武装闘争などを行う過激派組織と言われるが、一方でガザ地区で学校や医療施設などを整備するなどして、住民からの支持を獲得。2006年のパレスチナ自治評議会の選挙では、定数132議席のうち半数を超える74議席を獲得した。(※3)

壁に囲まれた「天井のない監獄」

イスラエルは2007年に、テロ防止やイスラエル側の安全のために、ガザ地区に壁を建設。ガザ地区は、これまで16年もの間、壁やフェンスに囲まれた封鎖状態にあり、人とモノの出入りすら制限されている。「天井のない監獄」と表現されるのは、そのためだ。

長いこと封鎖され、自由も制限されているため、ガザ地区の失業率は45%と高く(※1)、若者などを中心に大きな不満が渦巻いている。また、度重なる紛争や暴力行為などのためか、不安を抱えて「眠れない」「集中できない」という子どもが多く、子どもたちのメンタルヘルスの悪化も心配されている。

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2023年には再び大規模軍事衝突が…

そして、2023年10月に始まったのが、ハマスとイスラエルの軍事衝突だ。一般市民を含む多くの人々が、イスラエルとガザ地区の双方で亡くなるなど、激しさを増している。また、イスラエル軍によって封鎖されたガザ地区では、電気、水、食料が遮断されるなか、砲撃が増し、ガザ地区だけで1万8,000人以上が命を落としたと伝えられている(12月11日時点)。

ユダヤ人が2000年もの長い間、迫害を受けてきた悲しい歴史。また、イスラエルの建国によって、パレスチナの人々が追われ、現在もイスラエル側からさまざまなものを制限された中で生活を送ることを余儀なくされているという事実。さらに、宗教や民族などが複雑に絡んでいるのが、ガザ地区などのパレスチナ問題だ。

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※掲載している情報は、2023年12月14日時点のものです。

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