イスラエルとハマスの衝突で激増?パレスチナ難民の現状と問題とは

パレスチナ国旗

Photo by Ömer Yıldız on Unsplash

イスラエルとハマスの衝突で再び注目されているパレスチナ問題。なぜこれほど世界で問題視されているのか、その歴史や原因について解説する。また、パレスチナ難民の現状についてもわかりやすく紹介しよう。

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2023.10.19
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パレスチナとは?

世界で問題となっている、パレスチナ難民の存在。まずはじめに、パレスチナについて確認しよう。

場所

パレスチナは、レバノン、シリア、ヨルダン、エジプトなどの地中海東海岸の地域を指す。だが、同じエリアにあるのが、イスラエルだ。現在、パレスチナというとパレスチナ自治区を指すことが多く、ヨルダン川西岸地区とガザ地区の2つがある(※1)。

面積

6020平方km
・西岸地区:5665平方km(三重県と同じくらいの広さ)
・ガザ地区:365平方km(福岡市よりやや広い)

人口

約548万人(2023年)
・西岸地区:約325万人
・ガザ地区:約222万人

人種・宗教・言語

人種:アラブ人
宗教:イスラム教がほとんど(92%)、残りはキリスト教(7%)など
言語:アラビア語

パレスチナ・ガザ地区とは 「どこ?なぜ問題?」をわかりやすく解説

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パレスチナ難民の実態 難民の数は590万人

つぎに、パレスチナ難民の実態について見てみよう。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2022年の世界の難民は1億840万人。このうち、パレスチナ難民が590万人にのぼる(※2)。

難民の数が1億人を超えたのは、2022年がはじめてのこと。10年前は4270万人だったので、その間に2倍以上に増えたことになる(※3)。1億840万人というと、日本の人口のおよそ8割にもあたる。それだけの人々が、避難を余儀なくされたり、家や故郷を追われたりしているのだ。

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70年以上も続くパレスチナ問題の歴史

では、なぜパレスチナ難民が問題になっているのだろう?それは、パレスチナでは実に多くの人々が難民となっており、さらに長期にわたっていることにある。

1948年 イスラエルの建国

パレスチナ難民の歴史は、1948年までさかのぼる。この年、イスラエルが建国された。イスラエルは、ユダヤ人がつくった国だ。ユダヤ人はそれまで、ナチスドイツによる虐殺など、世界中で迫害を受けてきた。そのような長い歴史の背景があり、ユダヤ人の間で、ユダヤ人の国をつくろうとするシオニズム」が生まれていった。そして、パレスチナに移住してきたユダヤ人が、念願の自分たちの国・イスラエルをつくったのだ。

このとき、イスラエル建国によってパレスチナを追われた人々がいる。それがパレスチナ難民だ。およそ70万人もの人々が、それまで暮らしていた場所を追われたという。

1949年 UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)採択

イスラエル建国にあたり、周辺諸国が反発したことで、第一次中東戦争が勃発した。これによって、家を追われたり生計を失ったりしたパレスチナ難民が数多く生まれたのだ。これを受けて、国連はUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)を設立。およそ75万人のパレスチナ難民の救済の活動を始めたのだ(※4)。UNRWAは1950年から活動を開始し、日本もUNRWAを通じて1953年から支援を行っている(※5)。

~1973年 中東戦争

当初、UNRWAは3年間の活動期間を決めていたという。つまり、パレスチナ難民の救済は3年で解決できる問題だと捉えていたということだ。だが、第一次中東戦争後も、第四次中東戦争まで、たびたび戦争が続くこととなった。

1993年 オスロ合意・パレスチナ自治政府の設立

20年以上にわたり続いてきた中東戦争だが、1993年に和平合意が結ばれることになる。アメリカとノルウェーが介入することで、「オスロ合意」が結ばれたのだ。これによって、ヨルダン川西岸地区とガザ地区はパレスチナが自治を行うパレスチナ自治区となったのだ。

現在 オスロ合意の破綻、パレスチナ・イスラエルの軍事衝突

オスロ合意で一旦は停戦となったものの、パレスチナ自治区を実効支配するイスラム組織ハマス」が、イスラエルに自爆テロを起こし、イスラエルも空爆を行うなど、パレスチナとイスラエルは再び対立するようになっている。

パレスチナ問題の複雑な原因は?

パレスチナ難民の問題は70年以上も続き、「もっとも解決が難しい」と表現される。それは、さまざまな原因が絡んでいるからだ。

アラブ人とユダヤ人

パレスチナ問題は、もともとアラブ人が住んでいたところにユダヤ人がイスラエルの国をつくったことが始まりだ。ユダヤ人が2000年にもわたり迫害を受けてきた歴史があるため、自分たちの国を守りたいという強い意志がある。一方で、アラブ人は住んでいる場所を追われてしまった。そのため、パレスチナ問題はアラブ人とユダヤ人の対立と言えるのだ。

聖地エルサレム

またエルサレムの存在も大きい。エルサレムは、イスラエルにある都市のことで、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3つの宗教にとって聖地。それぞれの宗教にとって重要な地であることから、エルサレムの地を自分の領土としたいと思惑が渦巻いているのだ。

パレスチナ難民キャンプにも危険が

パレスチナ難民を支援する難民キャンプは、各地にある。パレスチナ自治区内にも難民キャンプがあり、多くの人々がそこで居住している。だが、難民キャンプでイスラエル軍とパレスチナの武装勢力が銃撃戦を繰り広げることもあり、多くのパレスチナ難民が住む場所を追われているのが現状だ。

また、2023年10月に激化している、パレスチナ自治区を実行支配する「ハマス」とイスラエル軍の衝突で、イスラエルはガザ地区を封鎖。電気、ガス、水、食料などを遮断し、空爆を続けるなど、事態は悪化する一方で、これにより再びパレスチナ難民が激増する可能性もあるだろう。

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長期化するパレスチナ難民の問題。70年以上にもなると、3世代、4世代にもなる難民も多いという。だが、この問題の解決にはパレスチナでの和平が必要不可欠。イスラエルとの戦争が続く限りは、難民が増えてしまうことも避けられない。

複雑化するイスラエル・パレスチナの問題だが、他人事と捉えるのではなく、その現状を知り、私たちにできる支援は何か考えていくべきではないだろうか。

※掲載している情報は、2023年10月19日時点のものです。

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