各都道府県のインバウンドランキング 国別の傾向も紹介

銀座の街並み

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日本に訪れる観光客は年々増加しており、インバウンドに対応するサービスが各小売店やサービス業に求められている。この記事では外国人延べ宿泊者数をもとに、各都道府県のインバウンドランキングを掲載している。また、国別の人気エリアや移動パターンも分析。

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2024.11.14

インバウンドとは

写真を撮る女性

Photo by Kazuo ota on Unsplash

インバウンドとは、主に観光業において使用される用語で、外国から自国へ訪れる旅行者や観光客を指す。日本においては、訪日外国人旅行者が自国の観光地や文化を体験することを意味し、国内経済に大きな影響を与える要素となっている。インバウンドの動向は、観光業だけでなく地域経済や国際交流の観点からも注目されており、国を挙げての対応を行っている。(※1)

インバウンドの基本定義

インバウンドとは、海外からの旅行者が日本に訪れることを指し、観光業界において非常に重要な概念である。近年では訪日外国人の増加にともない、日本国内でのインバウンドの価値は重要なものとなった。とくに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行以降、海外からの旅行者数は回復しており、首都圏だけではなく地方都市でもインバウンドの重要性が見直されている。

日本全体のインバウンド数の変化と傾向

訪日外国人旅行者数は2018年に3000万人を突破し、その消費額は約4.5兆円に達した。これは日本経済に与える影響が大きいことを示している。政府は2030年までに訪日外国人旅行者数を6000万人に増加させる目標を掲げており、今後もインバウンド需要を地域経済に取り込む施策が進められる見込みである。(※2)

インバウンド増加の背景

インバウンド観光の増加には、いくつかの要因がある。周辺国である中国や東南アジア諸国の経済成長、日本への興味を抱く台湾の需要、LCC(格安航空会社)の発展によるアクセスの向上がその一因である。また長期的な円安傾向も、訪日旅行者の増加に関係している。これらの要因が複合的に絡み合い、訪日外国人旅行者の数が増加したと考えられる。(※2)

都道府県別のインバウンド数ランキング

富士山

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2023年1月〜12月の、都道府県別のインバウンド数ランキングを見てみよう。(※3)

順位都道府県名外国人延べ宿泊数
東京都42,727,680
大阪府18,480,840
3京都府12,119,590
4北海道6,775,200
5福岡県4,737,990
6沖縄県4,148,110
7千葉県3,241,150
8神奈川県2,665,810
9愛知県1,984,390
10長野県1,417,120
11山梨県1,325,830
12広島県1,292,470
13大分県1,281,000
14岐阜県1,108,050
15石川県1,034,530
16静岡県1,027,640
17兵庫県1,024,830
18熊本県961,870
19宮城県518,330
20和歌山県494,300
21長崎県461,970
22栃木県452,750
23香川県444,470
24新潟県348,340
25鹿児島県337,770
26岡山県328,030
27奈良県305,030
28岩手県271,380
29青森県271,020
30滋賀県250,190
31群馬県239,910
32福島県220,220
33富山県212,550
34愛媛県200,950
35三重県194,300
36茨城県183,460
37埼玉県181,980
38山形県166,930
39佐賀県150,340
40高知県129,480
41徳島県129,340
42宮崎県116,270
43山口県88,630
44秋田県95,460
45鳥取県72,800
46福井県63,830
47島根県51,940
全国114,336,090

都道府県別のインバウンド動向から見られる日本の現状

古都の長屋

Photo by Kazuo ota on Unsplash

ここでは、データを元に日本のインバウンドの動向を解説する。(※4)

近隣国ほど訪問県数が少ない傾向

韓国や台湾をはじめとしたアジア圏からの観光客は、一度の訪問で県を跨いだ移動が少ない。例えば、韓国は半数以上の観光客が越境せずに一つのエリアでのみ観光を楽しんでいる。反対に日本から遠い国ほど、多くの県をまたいだ観光に需要がある。近隣諸国にとってはいつでも訪れることのできる距離感から、一度の訪問であまり移動しないのかもしれない。

訪日客の行動範囲は拡大傾向

一方で欧州、米国、オーストラリアで2運輸局以上の構成比が高く、日本国内での行動範囲も広い傾向がある。
また2019年と比較すると、東南アジアと欧州、米国でも行動範囲が広がっていることがわかる。例えば米国からは2019年は44%の観光客が1運輸局であったが、2023年は29.8%と14ポイントほど減少している。

東京・大阪周辺は宿泊拠点

訪問者に占める「日帰り」の割合が高い上位10都道府県は、どの国籍・地域でも東京都周辺(千葉県・埼玉県・神奈川県・栃木県・茨城県・山梨県)や大阪府周辺(京都府・奈良県・兵庫県・滋賀県)が大部分を占めており、東京都や大阪府が宿泊の拠点となっていることが示されている。

一方で、これらの大都市周辺を除く都道府県で日帰り率が高い地域として挙げられているのは、「宮城県」「新潟県」「静岡県」「島根県」「岡山県」「徳島県」「佐賀県」などだが、いずれも訪問者数が少ない。また「千葉県」「神奈川県」「京都府」「奈良県」は、とくに欧米豪の訪問率が比較的高い一方で、日帰りの割合も高くなっている。

韓国は特定パターンが多い

お隣の韓国の観光客は、特定のエリアに複数回訪れる傾向が高い。なかでも福岡、大阪、東京は人気で、2回目以降繰り返し訪れるケースが多い。これら3つのエリアは満足度も高く、福岡に訪れた韓国人の60%以上は次回以降も必ず訪れたいと回答している。

欧米豪は広域的な旅行を楽しむ傾向

比較的日本からの距離が遠いヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアからの旅行客は、一度の旅行で多くの運輸局をまたぐ傾向がある。とくに欧州からの旅行客は、8割以上が4運輸局以上を移動している。満足度も高く再訪の意思はあるものの、なかなか気軽に来れる距離ではないことから、最初の訪問でより多くの観光地を巡っているようだ。

全体的に満足度が高い

『都道府県別訪問状況の分析』からは、日本が人気の観光地であることもわかる。いずれの地域でも、観光客の満足度は高くほとんどが再訪の意思を示している。とくに、東京はどの国からの来訪客も7割以上が再訪問の意思を示している。

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インバウンドの主な目的とは

原爆ドーム

Photo by La coccinelle on Unsplash

訪日外国人旅行者が日本への旅行で求めている目的は、観光、ショッピング、食文化の体験などさまざまである。観光名所としては、とくに京都や奈良の寺社仏閣、富士山や桜の名所などは非常に人気が高い。実際に2023年には京都府が12,119,590泊の外国人宿泊者数を記録しており、訪日外国人にとって魅力的な観光地であることが示されている。(※3)

同時に、ショッピングも楽しむ傾向がある。日本製の化粧品やファッション、電子機器などはとくに人気で、全国各地の百貨店や専門店での買い物が盛況である。中国からの観光客は、日本のブランド品や品質の高い商品を求めて訪れるケースが多く、全体の消費額のなかでも大きな割合を占めており、東京など都市部への旅行者が多い。

また日本独自の食文化に触れるため、訪日外国人の多くは本場の寿司やラーメン、和菓子を楽しむために日本を訪れる。こうした目的を持つ訪日外国人観光客は、観光地や地域の経済に大きな影響を与えている。(※2)

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インバウンドがもたらすメリット・デメリット

中洲の屋台

Photo by Nichika Sakurai on Unsplash

インバウンドによってもたらされるメリットがある一方で、デメリットもある。

メリット

インバウンド観光の最大のメリットは、外国人観光客による消費支出がもたらす経済的な恩恵である。2012年は1兆円、2019年には5兆円近くに達し、2023年には5兆円を超えるまで成長した。(※5)

とくに中国からの観光客は、消費支出の3分の1を占めている。インバウンドの増加は地域経済の活性化につながり、雇用の創出や新たな産業の発展を促進する。地方においても、観光客が訪れることで労働人口が確保されて地域が活性化する。

デメリット

インバウンド需要は、外的な要因に影響を受けやすい。例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で訪日外国人旅行者数が急減したことが挙げられる。また、観光客が特定の地域に集中するオーバーツーリズムの問題も深刻である。京都や鎌倉では観光客の集中によって、住民の生活環境が影響を受けることがある。

さらに、観光地でのマナー違反も懸念されている。撮影禁止の場所での撮影やごみのポイ捨てなどが問題視され、訪日外国人観光客がトラブルを引き起こすこともある。地域住民と観光客のコミュニケーションの壁を乗り越え、相互理解を促進するための努力が求められている。

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インバウンドランキングからわかる成果と課題

東京タワー

Photo by Kaku qy on Unsplash

インバウンドは、日本経済や地方活性化に大きな影響を与えている。観光、ショッピング、食文化体験を目的に訪れる外国人旅行者が年々増加し、その消費活動は各地域に経済的な恩恵をもたらしている。またランキングを見ることで、各地域の抱えるオーバーツーリズムや地域間の集客格差などの課題もわかってくる。各地域の特性に合わせた対策を行い、インバウンド戦略を進化させていくことが求められる。

※掲載している情報は、2024年11月14日時点のものです。

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