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世界の都市総合ランキングをご存じだろうか?世界各国の主要都市を、さまざまな視点から客観的に評価したもので、住みやすさや経済、そのほかあらゆる人間活動の指標となっている。この記事では2023年度の世界の都市ランキングを一覧にし、それぞれの都市がもつ魅力と課題を紹介する。
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「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index, GPCI)」は、国際的な都市間競争において、都市が持つ総合力を評価するランキングである。(※1)
このランキングは、民間のシンクタンク「都市戦略研究所」が2008年から毎年発表している。評価の対象となるのは世界の主要48都市で、経済や文化、居住環境など、さまざまな視点から都市を分析している。GPCIの主な目的は、各都市がどのような強みを持ち、どの分野に課題があるかを明確にすることだ。(※2)
世界の都市総合力ランキングは、以下の6つの分野に基づいて評価される。(※2)
経済:GDPや雇用率、ビジネスのしやすさなど、都市の経済的な活力を測る指標。
研究・開発:研究施設の充実度や技術革新の推進力、大学のレベルなどが評価される。
文化・交流:観光や国際イベントの開催数、文化施設の数など、国際的な交流のしやすさを示す。
居住:住宅の質や生活コスト、治安、住みやすさが評価の基準となる。
環境:都市の緑化や大気の質、環境保護の取り組みが評価される。
交通・アクセス:公共交通の充実度や交通インフラ、国内外へのアクセスのしやすさが評価される。
さらにこれらの指標には合計で70の内訳となる評価項目があり、それぞれに基づき評価された48都市がランク付けされている。
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2023年の世界の都市総合ランキングは以下の通りだ。(※2)
順位 | 都市名 | 前年の順番 |
---|---|---|
1 | ロンドン | 1 |
2 | ニューヨーク | 2 |
3 | 東京 | 3 |
4 | パリ | 4 |
5 | シンガポール | 5 |
6 | アムステルダム | 6 |
7 | ソウル | 7 |
8 | ドバイ | 11 |
9 | メルボルン | 9 |
10 | ベルリン | 8 |
11 | コペンハーゲン | 14 |
12 | シドニー | 13 |
13 | ウィーン | 15 |
14 | マドリード | 12 |
15 | 上海 | 10 |
16 | ストックホルム | 19 |
17 | 北京 | 17 |
18 | 香港 | 23 |
19 | チューリッヒ | 18 |
20 | フランクフルト | 21 |
21 | ロサンゼルス | 16 |
22 | バルセロナ | 20 |
23 | トロント | 22 |
24 | ブリュッセル | 26 |
25 | シカゴ | 25 |
26 | ジュネーブ | 31 |
27 | サンフランシスコ | 24 |
28 | ダブリン | 30 |
29 | ボストン | 27 |
30 | イスタンブール | 32 |
31 | ヘルシンキ | 28 |
32 | バンクーバー | 34 |
33 | ミラノ | 29 |
34 | モスクワ | 33 |
35 | 台北 | 36 |
36 | ワシントン | 35 |
37 | 大阪 | 37 |
38 | バンコク | 40 |
39 | サンパウロ | 38 |
40 | テルアビブ | 39 |
41 | クアラルンプール | 41 |
42 | 福岡 | 42 |
43 | メキシコ | 44 |
44 | ブエノアイレス | 43 |
45 | ジャカルタ | 45 |
46 | ヨハネスブルグ | 47 |
47 | カイロ | 46 |
48 | ムンバイ | 48 |
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1位ロンドン、2位ニューヨーク、3位東京、4位パリ、5位シンガポールの上位5都市は2016年から8年連続で順位の変動がない。また、2023年版の世界の都市総合力ランキングでは、前年から上位7都市の順位に変動はなかったが、8位以下にいくつかの注目すべき動きが見られた。
とくにドバイは年々順位を上げており、前年の11位から8位に順位を上げ初めてトップ10入りを果たしている。ドバイは経済的な成長や国際博覧会の開催、コロナ禍による渡航規制の早期解除などで国際的な存在感を強めており、今後もその勢いが期待される。(※3)
またベルリンは前年の8位から10位に、上海は前年10位から15位にランクダウンした。これは他の都市が持つ強みが伸びた一方で、ベルリンと上海の評価が停滞したためである。
ドバイの成長は、とくに「経済」と「文化・交流」の分野で顕著である。近年、国際イベントや観光業の拡大に加えて投資家や企業の誘致に力を入れており、これが世界中からの注目を集めている。(※3)
観光業においては、豪華なリゾートやショッピングモール、国際的なイベントの開催によってさらに魅力を増している。また経済分野では多くの国際企業がドバイに拠点を置くようになり、金融センターとしての地位も向上している。さらに都市インフラの整備も進み、交通・アクセスの面でも高い評価を得ている。これにより、ドバイはビジネス、観光、文化交流の中心地としての確かな地位を築きつつある。
ニューヨークは「経済」と「研究・開発」の分野で圧倒的な力を誇っている。世界中の金融機関や企業の本拠地が集まるウォール街に加え、多くのスタートアップやテクノロジー企業が急成長を遂げている。またニューヨークには多くの研究機関や大学が集まっており、これが「研究・開発」分野での強みにつながっている。
一方で「環境」や「居住」の分野では課題が残っており、居住分野では38位と他の分野と比べて大きく遅れを取っている。このギャップがニューヨークの総合評価に影響を与えているが、それでも経済分野での強さが同都市の魅力を維持している。(※1)
東京は「居住」と「交通・アクセス」の分野での評価が高く、総合3位を維持している。居住コストの安さや利便性の高さが大きな強みとなっており、とくに円安の影響で住宅賃料や物価が他の都市に比べて低いことが評価を上げた。また公共交通機関が整備されており、交通・アクセスの利便性でも高いスコアを得ている。
ただし「経済」分野では10位に順位を下げており、これが今後の東京の成長に影響を与える可能性がある。(※1)GDP成長率や賃金水準の低さが課題となっており、優秀な人材の確保やスタートアップ支援の強化が必要とされている。
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東京の総合力はバランスが取れており、とくに「住居」と「交通・アクセス」分野での評価が高い。しかし「経済」と「環境」分野では順位を落としており、今後の課題が浮き彫りになっている。(※1)
東京が高く評価されている分野の一つが「住居」である。2022年には11位だったが、2023年には3位まで順位を上げている。この背景には、円安の影響で生活コストが他の主要都市に比べて低くなっていることがある。とくに住宅賃料や物価が相対的に安く、生活利便性が高いと評価された。
また東京は小売店や飲食店が多く、生活環境が整っている点も強みとなっている。「交通・アクセス」も東京の強みの一つで、公共交通機関の利用率が高く、国内への移動が便利だ。とくに鉄道網が発達しており、国内の移動がスムーズに行える。国際空港や高速道路網も整備されているため、ビジネスや観光の観点からもアクセスの良さが評価され、順位が向上した。
一方で、東京は「経済」と「環境」分野で順位を落としている。とくに「経済」では10位にまで下落した。原因としてはGDP成長率の低さが指摘されており、東京は世界的な都市競争において経済力の維持に課題を抱えている。賃金水準の低さやスタートアップ支援の不足が弱点となっており、これが優秀な人材の確保に支障をきたしている。
「環境」分野では、都市空間の清潔さやエネルギー効率の向上が求められている。東京は都市の規模が大きく交通量も多いため、環境への負荷が高い。これに対し、都市のエネルギー管理や環境政策が十分に機能していない点が評価を下げる要因となった。
東京は、文化・交流の内訳の一つであるナイトライフに関してとくに課題が大きい。実際に世界の都市総合力ランキングでは、ナイトライフの充実度で30位という低い評価を受けている。ロンドンやニューヨークが上位にランクインする中で、東京の夜のエンターテインメントや文化的な活動は、国際的な都市と比較して大きく遅れている。東京の文化・交流を高めるためには、ナイトライフの充実が今後の重要な課題となるだろう。(※4)
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ランキングにおいて、東京以外の日本の都市も注目される。大阪は総合37位、福岡は42位にランクインしている。大阪はとくに「居住」分野で順位を上げており、都市空間の清潔さや交通インフラが評価された。一方で、「経済」と「環境」分野では順位を落としており、GDP成長率の低迷や環境政策の遅れが問題視されている。
福岡は「環境」分野での評価が上昇し、20位にランクインしている。とくに「都市空間の清潔さ」が評価されており、福岡の街並みや住環境が改善されている。しかし「経済」分野では評価が下がり、地域経済の発展には引き続き課題が残っている。(※5)
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2023年の世界の都市総合力ランキングでは、上位の都市に大きな変動はなかったものの、ドバイのように急成長を遂げている都市も見られる。ロンドンやニューヨーク、東京などの大都市は依然として強力な総合力を持っているが、それぞれの都市が抱える課題がわかるのもこのランキングの面白い点だ。今後も都市間の競争が起こるなか、各都市がどのように強みを伸ばし、弱点を克服するかにぜひ注目していきたい。
※1 世界の都市総合力ランキング(GPCI) | 森記念財団 都市戦略研究所
※2世界の都市総合力ランキングPDF|森記念財団 都市戦略研究所
※3「世界の都市総合力ランキング」2023年版 東京は総合3位を維持も課題が浮き彫りに|一般社団法人100年企業戦略研究所
※4都市総合力3位の東京が、ナイトライフ充実度で30位のワケ|Forbes
※52023年 世界の都市ランキング 東京3位 ランキング表も掲載|NHK
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