緑視率とは? オフィスで高める方法やメリットを解説

緑が多い道のイメージ

Photo by Meizhi Lang

人の目に見える緑の割合を表す、「緑視率」。近年、緑視率を高めることによるメリットが注目されている。本記事では、緑視率の意味を詳しく説明しながら、緑視率を高めるメリットについて解説。また、オフィスで緑視率を高める方法や、企業例も紹介していく。

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2024.09.28

緑視率とは

山のイメージ

Photo by Zach Taiji on Unsplash

緑視率とは、ある視点場における視野内に占める緑の量の割合を示すもので、実感できる緑を表す指標のひとつ。

簡単にいうと、人の目に見える緑の割合を表す数値のことで、都市の緑量を表す指標のひとつとして多く用いられている(※1)。

緑被率との違い

緑視率と似た言葉で、「緑被率」がある。緑被率とは、ある地域または地区における、緑地面積の占める割合を指し、平面的な緑の量を把握するための指標で都市計画などに用いられる(※2)。

緑視率を高めると得られるメリット

緑視率を高めると、さまざまなメリットが得られると注目を集めているが、実際にはどのようなメリットが得られるのだろうか。

リラックスできる

植物が飾っている部屋のイメージ

Photo by Leon Seibert on Unsplash

国土交通省では、都市の緑の景観・心理的効果を検証するため、東京都心の再開発地区で、 都市の緑量と心理的効果の相関関係を解析する社会実験調査を実施。それによると、緑視率が高い場所ほどその場所について「安らぎのある」「さわやかな」「潤いのある」と感じる人の割合が高いそうだ(※3)。

日中温度が31°Cを超える真夏日の不快感をも緩和することがわかっており、緑視率が高いとリラックスできるといえるだろう。

空気清浄効果

緑視率が高くなるということは、ほとんどの場合、視界に入る植物が増えることを意味する。

植物は光合成をする際に、原料として二酸化炭素を吸収し、余った酸素を吐き出す(※4)。また、ワシントン州立大学で園芸学の准教授を務めるリンダ・チョーカー・スコット氏は、「すべての植物は気孔を通してガス交換を行っていることから、一定程度は空気を“きれいにする”働きがあります」と述べており、植物が増えることで空気清浄効果が期待できる(※5)。

業務の効率化につながる

豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 名誉教授の松本博氏らの研究によると、「緑視率が10~15%の環境にいるときに人のストレスが減り、パフォーマンスがもっとも向上する」という。

また、イギリスのエクセター大学の研究では、オフィス内に観葉植物を置くことで、業務効率が上がるという研究結果が出ている。緑視率が高まることでリラックスした状態で仕事に取り組むことができ、集中力の向上、業務の効率化につながるというメリットが得られるのだ(※6)。

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オフィスで緑視率を高める方法

集中力の向上や業務の効率化など、パフォーマンスの向上につながることから、緑視率アップに取り組む企業も多い。ここでは、オフィスで緑視率を高める方法について紹介する。

観葉植物を設置する

観葉植物をおいてあるイメージ

Photo by Annie Spratt on Unsplash

緑視率を高めるためのもっとも簡単な方法のひとつが、観葉植物を設置することだ。オフィス内にいくつか設置するほか、各デスクに小さな観葉植物を置く方法もある。

まずはなるべくコンパクトなサイズ、かつ育てやすいものから始めると、継続しやすく、管理のストレスも少ないだろう。管理が心配な場合は、少ない水やりで済むエアプランツや、メンテナンスを請け負ってくれるレンタルサービスを活用する方法もある。

フェイクグリーンや緑のアイテムを選ぶ

緑の椅子を使っているオフィスのイメージ

Photo by Djurdjica Boskovic on Unsplash

本物の観葉植物以外にフェイクグリーンなどでも緑視率を上げることが可能だ。管理面での手間が心配な場合は、まずはフェイクグリーンから取り入れてみるのがいいだろう。鉢入りのタイプや、壁にかけられる額入りのタイプなど、最近は多様な種類の本物に近いフェイクグリーンが販売されている。

また、壁や天井、小物に緑色を取り入れるのも方法のひとつだ。新しくオフィスを開設する場合やリフォーム時などには、積極的に緑を取り入れるといいだろう。しかし、壁や天井の色を変えるのはコストがかかってしまうため、壁に緑の絵を飾ったり緑のマットを敷いたり、少しずつ緑の面積を増やす方法が取り入れやすいかもしれない。

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緑視率と企業の取り組み

ここからは、実際に緑視率アップに取り組んでいる企業の事例を紹介する。

Google

スイスのチューリッヒにあるGoogleのオフィスは、オフィスというよりテーマパークのようなスペースだ。

採光や緑化に力をいれ、社内のコミュニケーションを円滑にするスペースから一人の時間に集中するためのスペースがバランス良く取り入れられている(※7)。

Second Home Lisboa

Second Home Lisboaは、リスボンで人気のあるコワーキングスペース。

自然を感じる要素や素材を採り入れたインテリアデザイン手法「バイオフィリックデザイン」による設計がされており、植物と自然光に満ちたオフィスに仕上がっている(※8)。

東京建物株式会社

東京建物株式会社は、本社ビル7階の執務スペースに、株式会社パーク・コーポレーションが提供する従業員のメンタルヘルスの改善を促すシステムと、デザイン性の高いオフィス緑化を組み合わせたサービス「COMORE BIZ」を採用。

COMORE BIZは、いままで可視化が難しかった緑視率とストレスの関係性をAIを活用することで証明。その結果に基づき、ストレス軽減につながる植物の選定と最適な配置を行い、従業員一人ひとりが最適な緑視率を確保できるオフィスデザインを提供するサービスである。

執務スペースを緑化し植物があふれる開放的な空間にすることで、従業員のパフォーマンス向上を図っている(※9)。

株式会社HQ

株式会社HQでは、企業の生産性を高める環境を構築する専門家として、一人ひとり最適化された在宅環境をつくるリモートワーク環境整備プラットフォーム「リモートHQ」を提供している。

観葉植物の設置によって、環境を整えることで社員の快適さが向上し、業務の生産性も上がることが期待されていることから、リモートHQのラインアップに「Table Plants」を追加。

Table Plantsとは、リモートワーク中に自然と視界に緑が入る環境をつくりリフレッシュしてもらうことを目指し、GreenSnap社が企画・販売している、デスクでも育てやすい観葉植物のことだ。

株式会社HQとGreenSnap社は業務提携をして、リモートワーク環境向上を目指している(※10)。

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緑視率を高めてパフォーマンスを向上

緑視率を高めることで得られるメリットや、緑視率を高める方法について紹介してきた。方法によってはコストがかかることもあるが、どれも比較的手軽に取り入れられるのもメリットのひとつといえるだろう。

オフィスだけでなく日常生活においても同様の効果が期待できるため、ぜひ家庭にも積極的に導入して、リラックス効果やパフォーマンス向上を目指してみてはいかがだろうか。

※掲載している情報は、2024年9月28日時点のものです。

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