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この記事では、日本を代表する10の川の長さをランキング形式で紹介している。またそれぞれの長さ以外に、流れる地域の特徴について解説し、日本の川の共通する特徴についても触れる。さらに現在抱えている環境面の課題や、それらに対処する取り組みについても扱う。
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エレミニスト編集部
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日本は水資源が豊かな国で、多くの川が存在して古来より人々の生活を支えてきた。なかでも大きく長い川は流域の経済や自然環境に深く関わっており、豊かな資源を与える一方で、ときには災害の原因ともなる。ここでは日本国内でもっとも長い川のランキングTOP10を紹介し、それぞれの特徴を解説していく。(※1)
信濃川は日本最長の川で、新潟県と長野県にまたがって流れている。上流は、長野県川上村の標高2200m付近とされている。長野県側では千曲川と呼ばれており、同じ川でも名前が変わる。流域は梨やぶどう、りんごなどの産地で有名だ。(※2)
利根川は関東地方を代表する大河であり、日本第2位の長さを誇る。江戸時代ごろから治水事業が進められ、現在でも首都圏の重要な水源として利用されている。流域は広範囲にわたり、流域面積は日本最大の16,840平方kmである。(※3)
北海道の大河である石狩川は、日本第3位の長さを持つ。水域にはラムサール条約の登録湿地として指定されている宮島沼など、広大で豊かな自然環境が広がっている。冬季には氷結することがあり、厳しい気候にも対応した流域整備が行われている(※4)
天塩川は北海道北部を流れる大河で、自然豊かな流域には多様な動植物が生息している。流域は農業や漁業が盛んで、シジミ漁や鮭の遡上などが有名。水質は中川環境基準点で0.7mg/l(BOD75%値)と、基準値以下で全国的に見ても清流である。(※5)
北上川は東北地方最大の河川で、宮城県と岩手県をまたいで流れている。古くから交通の要所として利用され、現在でも流域では産業や農業が盛んだ。洪水の被害が多いため、湯田ダム、田瀬ダム、石淵ダム、四十四田ダム、胆沢ダムなど5つのダムが建設されている。(※6)
阿武隈川は福島県と宮城県を流れる一級河川だ。主に農業用水として利用され、上流域ではさまざまな果物栽培が盛んである。平成10年8月、記録的豪雨により川が氾濫し甚大な被害をもたらした。(※7)
最上川は山形県を流れ、川沿いには果樹園や田園風景が広がる。日本三大急流の一つであり、流れの速さが特徴。古くから詩や文学にも取り上げられ、観光地としても知られている。(※8)
木曽川は岐阜県、愛知県、三重県を流れる大河で、同じ水系の木曽川・長良川とまとめて木曽三川とも呼ばれる。周囲には国営公園の木曽三川公園などがあり、流域は観光地としても人気が高い。治水対策も進んでおり、洪水リスクの低減に取り組んでいる。(※9)
天竜川は長野県と静岡県を流れ、長さはもちろん流れが早い川としても有名だ。中流域には天竜峡が広がっており、景観の美しさから観光名所となっている。流域ではダムが建設され、水力発電などにも利用されている。(※10)
阿賀野川はおもに新潟県を流れ、日本海に注ぐ川である。流域には豊かな農業地帯が広がり、米の名産地となっている。下流域では洪水対策が施されており、堤防や水門が整備されている。(※11)
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日本の川は独特な地形と気候によって、他国の川とは異なる特徴を持つ。この特徴のおかげで私たちは豊かな水資源の恩恵を受けられているが、一方で災害リスクとも深く関わっている。ここでは日本の川の特徴と、それに関連する課題について解説する。
日本の川は、山地が多い地形の影響で全体的に長さが短く、急な勾配を持ち流れが早い。そのため、短期間で水量が急激に増加することが多い。また日本は台風がくることも多く、梅雨もある。さらに近年は集中豪雨が頻発しており、雨量が増えることで洪水のリスクが高まっている。
日本は年間降水量が1,700mm程だが、梅雨時期と台風時期に特に多い傾向にある。(※12)要は一度に降る雨の量が多いのだ。先ほど触れたように、川の長さが短いため、降水が短時間で河川に集中しやすく洪水を起こしやすい。利根川では、平常時の100倍の流量に達することもある。(※13)
日本の都市部では、川が住居より高い場所を流れていることが多い。そのため洪水時に堤防が決壊した場合、大規模な浸水被害が発生するリスクが高い。とくに都市の平野部では、洪水氾濫域に日本の全人口の51%と資産の75%が集中しているため、被害が大きくなりやすい。(※14)
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日本の川は、その地理的特徴から起こる自然災害や、私たち人間の活動による環境汚染などの多くのリスクを抱えている。それらの問題は流域の人々の生活に直接影響を与え、環境にも深刻な影響を及ぼす。
日本の川は降水量が多く急な勾配を持つため、洪水や氾濫のリスクが非常に高い。堤防が築かれているものの、大雨や台風によって堤防が破壊されると広範囲にわたる浸水被害が発生する。都市部では、とくにこのリスクが高まっている。
川の汚染は、家庭排水や工場排水が主な原因である。川が汚染されると水中の酸素が不足し、魚や植物が生息できない環境となってしまう。日本では水俣病のような公害事例もあり、川の汚染が地域社会に与える影響は非常に深刻である。
日本各地では治水や発電を目的に多くのダムが建設されているが、その結果、自然環境への影響が懸念されている。ダム建設により山々の生態系や河川の環境を変えてしまい、動物が住めない環境となる。そればかりか、自然のろ過装置が失われることにつながる可能性がある。(※15)
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私たちの日常生活や工業活動は、環境に多大な影響を与えている。ここでは、日本の川が汚染される主な要因について解説する。
実は、日本の川の汚染原因の大部分は、家庭から排出される生活排水だ。台所や風呂、洗濯から出る排水が川に流れ込むことで河川の環境が悪化している。環境省の調査によると、川の汚染の原因は約70%以上が家庭から排出されるものが原因とされている。(※16)
工場や事業所からの有害物質や油の流出によって発生する水質事故も、川の汚染要因の一つだ。こうした事故が起きると、魚の大量死や飲料水の供給停止など深刻な影響をもたらすため、発生防止と迅速な対応が求められている。(※17)
近年、非常に小さなマイクロプラスチックが川や海に流れ出て、生態系に大きな影響を与えている。マイクロプラスチックは5mm以下の微細なものだが、蓄積されることで魚介類を通じて人間の食生活にも影響を及ぼす可能性も示唆されている。(※18)
気候変動による降水パターンの変化は、河川の水質にも影響を与えている。大雨や台風が頻発すると、汚染物質が一気に川に流れ込み水質を悪化させる。(※19)
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各地で自治体や地域住民が協力して、川の浄化や環境保護に取り組んでいる。以下に、成果を上げている具体的な事例を紹介する。
奈良県王寺町の葛下川浄化施設では、礫間接触酸化浄化法という、石に住みついた微生物を利用した自然浄化を行っている。エネルギーをほとんど使わないことも、この浄化法のメリットだ。(※20)
茨城県阿見町では、霞ヶ浦の水をきれいにするために葦(アシ)を使った植生浄化法を導入している。この施設では、植物が汚れを吸収する仕組みを利用し、効果的な水質浄化を実現している。(※21)
岡山県では「おかやまゴミ退治大作戦」と称し、瀬戸内海の海を綺麗にするために、河川や水路に落ちているごみ拾い活動を行っている。過去にも同様の取り組みが行われている。(※22)
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川の環境を守るためには、私たち一人ひとりの行動も必要になってくる。家庭でできる具体的な対策は以下のようなものが考えられる。
・食器類の油汚れは新聞紙で拭いてから洗う
・みそ汁や麺類のつゆの残りなどを流さない
・揚げ物油は固めて燃えるごみに捨てる
・シャンプーや洗剤などを使いすぎない
・三角コーナーやろ紙袋などで、食品くずが流れないようにする
・植物成分でできた石けんや無リン洗剤を使う
・米のとぎ汁は庭の草木や花にまく
・ごみなどは絶対に川に捨てない
・農薬や化学肥料の使用を控える
・雨水タンクを設置して雨水を活用する
・川や海でのキャンプや釣りなどの際は、ごみを必ず持ち帰る
これらの小さな取り組みを積み重ねることで、河川の水質改善に大きくつながるだろう。
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私たちの生活や環境を守るためにも、川の環境は維持しなければならない。汚染の原因を理解し、個人や地域社会ができる対策を取ることで、未来の世代にも豊かな自然を残すことができる。その行動は小さなものかもしれないが、やがて広がり世の中も変容していく。私たち一人ひとりが意識を持って行動することで、清らかな水環境を維持し、自然との共生を実現していこう。
※1各河川との比較|阿賀野川河川事務所
※2千曲川水系|農林水産省
※3数字で見る利根川|利根川下流河川事務所
※4石狩川|国土交通省
※5天塩川水系の特徴と課題|国土交通省
※6北上川と五大ダムの関係|北上川ダム総合管理事務所
※7阿武隈川|国土交通省
※8最上川|国土交通省
※9木曽三川の概要|国土交通省
※10天竜川|国土交通省
※11阿賀野川|国土交通省
※12世界平均の2倍、日本の降水量|国土交通省
※13平常時の100倍の流量|国土交通省
※14国土を知る/意外と知らない日本の国土|国土技術研究センター
※15森は地球の浄水場?森が水をきれいにする仕組み|加古川市上下水道局
※16環境白書|環境省
※17水質事故未然防止対策について|愛知県
※18川や海を汚さないために私たちができること|川崎市
※19地球温暖化による水環境への影響について|環境省
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