世界の失業率ランキング 主要国の失業率の比較や日本の失業率の特徴を解説

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国や地域の経済状況や労働市場を反映する失業率。日本の失業率については、景気の動向と合わせてニュースなどで耳にする機会も多いが、世界各国と比べるとどのような特徴があるのだろうか。この記事では、世界の失業率ランキングとともに、主要国の失業率の比較や日本の失業率の特徴を解説する。

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2024.10.10

そもそも「失業率」とは?

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失業者とは、一定年齢以上のすべての人において「就業者ではない」、「直近の特定の期間に仕事を探す活動を行っている」、「仕事があればすぐに就業できる」の3つを満たしている人のことを指す。(※1)

そして失業率は、労働力人口に占める失業者の割合を指し、国によって算出方法が異なる。主要国では、毎月実施しているILO(国際労働機関)基準に基づく労働力調査の結果から、失業者と労働力人口を把握して失業率を算出している。(※1)

完全失業率とは

完全失業率とは失業率と同じ意味で、労働力人口に占める完全失業者の割合のことだ。次の式で定義される。(※2)

完全失業率(%) = (完全失業者÷労働力人口) × 100

世界の失業率ランキング

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世界の失業率はどうなっているのか。IOL統計の「世界の失業率 国別ランキング・推移」を参照し、ランキングを作成した。(※3)(単位:%)

順位国名失業率
1位南アフリカ28.84
2位ジブチ26.67
3位パレスチナ24.42
4位ボツワナ23.62
5位エスワティニ(スワジランド)22.64
6位ガボン20.61
7位コンゴ20.48
8位ナミビア19.99
9位セントビンセント・グレナディーン19.55
10位リビア19.30
11位ソマリア19.29
12位ヨルダン19.19
13位チュニジア17.76
14位イエメン17.61
15位スーダン17.59
16位レソト16.75
17位セントルシア15.77
18位イラク15.32
19位モンテネグロ15.25
20位ルワンダ15.08
21位ハイチ14.78
22位アンゴラ14.48
23位北マケドニア14.43
24位サントメ・プリンシペ14.35
25位アフガニスタン14.10
26位シリア13.81
27位スペイン12.92
28位米領ヴァージン諸島12.86
29位ボスニア・ヘルツェゴビナ12.66
30位アルジェリア12.49
31位南スーダン12.44
32位カーボヴェルデ12.44
33位ギリシャ12.43
34位ガイアナ12.30
35位仏領ポリネシア11.80
36位レバノン11.75
37位ジョージア11.68
38位アルバニア11.63
39位コスタリカ11.32
40位ニューカレドニア11.03
41位ネパール10.92
42位モーリタニア10.79
43位コロンビア10.55
44位トルコ10.43
45位バハマ10.09
46位サモア10.04
47位モロッコ9.99
48位ジンバブエ9.26
49位ブラジル9.23
50位イラン8.82
51位セルビア8.68
52位ベリーズ8.67
53位アルメニア8.59
54位赤道ギニア8.58
55位バルバドス8.50
56位チリ8.25
57位スリナム8.23
58位パナマ8.20
59位西サハラ8.20
60位イタリア8.07
61位ウルグアイ7.87
62位スウェーデン7.39
63位フランス7.31
64位タジキスタン7.00
65位ホンジュラス7.00
66位クロアチア6.96
67位ラトビア6.81
68位アルゼンチン6.81
69位キプロス6.78
70位パラグアイ6.75
71位フィンランド6.72
72位エジプト6.40
73位中央アフリカ6.34
74位モーリシャス6.32
75位モンゴル6.21
76位スリランカ6.18
77位スロバキア6.14
78位チャンネル諸島6.03
79位ポルトガル6.01
80位プエルトリコ6.00
81位エリトリア5.97
82位リトアニア5.96
83位ブータン5.95
84位コモロ5.75
85位アゼルバイジャン5.65
86位ケニア5.64
87位ベネズエラ5.62
88位ルーマニア5.61
89位パキスタン5.60
90位サウジアラビア5.59
91位エストニア5.57
92位グアム5.57
93位ベルギー5.56
94位ギニア5.53
95位ドミニカ共和国5.50
96位ジャマイカ5.50
97位カナダ5.28
98位バヌアツ5.22
99位マラウイ5.11
100位ブルキナファソ5.07

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ランキングに見る失業率とその傾向

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前述した失業率ランキングに基づき、国や地域別にみて特筆すべきポイントを解説する。

失業率上位にアフリカ諸国

失業率上位を占めるのが、南アフリカやジブチ、ボツワナといったアフリカ諸国だ。失業率が高い理由は、若年人口の多さ、不十分な政策、包括的な雇用計画の欠如といわれている。(※4)

ヨーロッパではスペインが上位

ヨーロッパでは、スペインの失業率が高く12.92%で27位となっている。スペインは2009年以降失業率が大幅に上昇しており、なかでも25歳未満の若年層の失業率が急激に上昇している。(※5)

スペインの失業率が高い背景として、労働市場における構造的要因が挙げられる。(※6)

G7ではイタリアが最上位に

G7のなかではイタリアが最上位で、失業率は8.07%、60位となっている。ただし、イタリアの失業率は2014年を境に減少傾向にある。(※7)

日本の失業率は2.60%で167位

日本の失業率は、2.60%で167位となっている。G7のなかで失業率はいちばん低い。(※3)

1位の南アフリカは黒人の失業率が理由で失業率が高い

南アフリカの失業率は、28.84%と極めて高い。その理由のひとつが、黒人の失業率の高さだ。長年続いていた人種差別政策の影響で十分な教育を受けることができず、雇用者側が求める知識や技能の水準に達していないという指摘がある。(※8)

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失業率に影響を与える要素とは

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失業率に影響を与える要素であり、失業が生まれる原因となるものは「需要不足失業」「摩擦的失業」「構造的失業」の3つに分類される。

需要不足失業は、景気の悪化により需要が減り、その結果生産量も減ることで起こる失業だ。生産量が減れば、企業は人員整理や採用を縮小させる。そうすると、失業者が増える。

摩擦的失業は、求職者が新たに仕事を探す期間に生じる失業である。仕事を探すときには一定の期間がかかるものであり、その間は失業した状態になる。よって、摩擦的失業はどうしても発生してしまう失業といえる。

構造的失業とは、雇用主と求職者の雇用のミスマッチによって生じる失業だ。雇用主は、技能や学歴、年齢、性別、勤務地といった特性を労働者に求めるのに対し、求職者は雇用主が求める特性をもちあわせていないというケースである。

これらの3つの原因により失業が生まれるが、いずれか1つの原因で起こることもあれば、原因が複合して起こることもある。(※9)

主要国の失業率の比較

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主要国の失業率はどうなっているのか見ていこう。

アメリカ

アメリカの失業率は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行した2020年には8.1%であったものの、2022年には3.6%と低下した。アメリカの失業率の特徴としては、若年層の失業率が高く、高齢層の失業率が低い。これは、若年人口の増加率の低下によるものだと考えられている。(※10、※11)

雇用・失業対策として、全国職業サービス制度や、求職者が1か所で職業紹介、失業保険、教育・職業訓練情報、貧困家庭一時扶助などのサービスを受けられるワンストップ・センターが全国に設けられている。(※10)

フランス

フランスの失業率は2018年には9.0%であったものの、2022年には7.3%に低下した。(※12)
これは、政府が力を入れている若者の交互訓練契約支援が功を奏した結果とみられる。政府はさらに失業保険改革や労働市場に即した求職者支援を行い、失業率低下を目指している。(※13)

中国

中国の2022年の失業率は4.98%であった。(※3)中国の失業率の特徴は若年失業者が多いことで、大きな社会問題となっている。若年失業者が多い原因は、大卒者と採用企業の希望職種のミスマッチによるものだ。政府は、企業による採用促進や職業教育機関への進学誘導といった対策を講じたものの、抜本的な解決にはなっていないのが現状だ。(※14)

韓国

韓国の失業率はピークの2020年には4.0%であったが、2022年には2.9%に低下している。韓国では、若年層(15歳から24歳まで)の失業率が2020年までは10%を超えていたが、2021年には8.5%、2022年には7.1%となり、低下傾向にある。

韓国では雇用創出につながる経済成長力の低下や、人々が頻繁に転職するようになったことをうけて、人材サービスの高度化に注力している。(※15)

イギリス

イギリスの2022年の失業率は3.7%であった。この数値は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行する前の水準まで改善している。またイギリスにおいても若年層の失業率は問題となっており、10%台が続いている。政府は若年者雇用対策として、若年雇用プログラムや学校支援サービスなどの支援を行っている。(※16)

カナダ

カナダの2022年の12月の失業率は5.0%であった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時の2020年5月には13.4%となっていたことから、かなり減少している。カナダの失業率の特徴は、地域によって失業率に差があることだ。大西洋沿岸の各州では6~10%前後の高い失業率であるのに対し、ほかの州では4〜5%となっている。(※17)大西洋沿岸の各州で失業率が高いのは、漁業従事者を中心に失業率が高いことが挙げられる。(※18)

政府は雇用・失業対策として、失業者の所得保障や職業訓練などを盛り込んだ「雇用保険法」を制定している。(※17)

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日本の失業率の推移と特徴

では、日本の失業率はどうなっているのか。推移と特徴を解説しよう。

日本の失業率の推移

日本の失業率は、リーマンショック後の2009年7月は5.5%であった。この年の完全失業者数は、過去最高水準の364万人を記録する。しかしそれ以降は減少傾向で推移し、2019年12月には2.2%まで低下した。2020年に入ると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行の影響により同年8月に3.0%を超えた。コロナ禍からの経済の回復に伴い、2021年には2.8%、2022年には2.6%、2023年2月は2.6%と低下傾向で推移している、(※19)

日本の失業率の特徴

日本は主要先進国のなかでも失業率が低い水準で推移している。その理由は、大企業を中心にみられる長期雇用(終身雇用)や年功賃金といった雇用慣行によるものだといわれている。(※20)

また日本の失業率は高年齢層で増加し、相対的に若い年齢層では減少しているのも特徴だ。(※21)海外では若年層の失業が問題となっているが、日本は若年失業率は国際的に低い水準となっている。これは長期雇用を前提とした新規学卒者の一括採用や、スキルのない新規学卒者が卒業後に失業を経ずに就職できることなどが要因だと考えられる。(※20)

日本の失業率改善に向けた対策

日本では失業率改善のために、雇用調整助成金や雇用創出の基金による事業、ハロートレーニングといった対策を取っている。

雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対し、雇用の維持を図るための休業、教育訓練、出向に要した費用を国が助成する制度だ。(※22)

雇用創出の基金による事業は、雇用失業情勢が厳しい地域において、離職した失業者等の雇用機会を創出するために、各都道府県に基金を造成する事業である。(※23)

ハロートレーニングは、ハローワークの求職者を対象に、希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識などを習得することができる公的制度だ。(※24)

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失業率の動向や雇用・失業対策に注目

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失業率は、国や地域の経済状況や労働市場を反映している。日本の失業率は他国にくらべ低い水準にあるが、景気や社会情勢の影響により、失業率が上昇する可能性もある。今後、失業率の動向や雇用・失業対策に注目する必要があるだろう。

※掲載している情報は、2024年10月10日時点のものです。

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