直近1年間の世界平均気温が史上最高 1.5℃を上回る

夕日に照らされた海

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直近1年間における世界の平均気温上昇が、産業革命以前の水準より1.5℃を上回った。また2024年1月と2月の気温は史上もっとも高かった。

岡島真琴|Makoto Okajima

ライター

ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。ライター・編集者として活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRESSを運営。

2024.03.18
SOCIETY
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産業革命前より1.56℃上回る

直近1年間の世界気温が初めて1.5度以上上昇

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2015年に採択されたパリ協定では、世界平均気温の上昇を産業革命以前より1.5℃以内に抑えるという目標が設定されている。だが、この1.5℃の目標を、直近の1年間で超えたことがわかった。

欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービス(C3S)は先日、直近1年間における世界の平均気温が観測史上初めて、産業革命前の水準より1.5℃高くなったことを発表した。

C3Sによると、2023年2月から2024年1月の世界平均気温は過去最高となり、1850から1900年の産業革命以前の平均気温より1.52℃上回ったという。

さらに、2023年3月から2024年2月までの世界平均気温でも、産業革命前の水準より1.56℃上回る結果となった。

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温室効果ガスの排出と、エルニーニョ現象が主な原因

またC3Sによると、2024年2月の気温は観測史上もっとも高かった。ヨーロッパでは2月、1991年から2020年同月の平均気温より3.3℃上昇した。

これで9ヶ月連続で月ごとの世界平均気温が記録を更新することとなった。

温室効果ガスを排出する化石燃料の使用などの人類の活動と、エルニーニョ現象と呼ばれる自然な温暖化現象が、今回の温暖化の主な原因であると考えられている。

C3Sのサマンサ・バージェス副所長は、「2024年は、またもや記録的な月で始まる。私たちは観測史上もっとも暖かい1月だけでなく、産業革命以前の基準期間を1.5℃以上上回る1年間を経験した」と述べる。そして「温室効果ガスの排出を急速に削減することが、地球の気温上昇を止める唯一の方法」であると強調した。

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2024年も温暖化がさらに進行する可能性

世界気象機関(WMO)によると、「エルニーニョ現象は通常、ピークを迎えた後に世界の気温にもっとも大きな影響を与える」ため、2024年はさらに温暖化が進行する可能性があるという。

長期データによると、地球の表面温度は産業革命前と比べて約1.15℃上昇している。このままいけば、今世紀末までに世界の気温は3℃上昇するだろうと科学者たちは警告している。

今回わかったのは、直近の1年間における世界の平均気温だ。パリ協定では、平均気温上昇を産業革命前より長期的に1.5℃未満に抑えることが目標とされている。そのため、今回の結果によって、パリ協定の目標が破られらたというわけではない。

だが、このままではパリ協定の目標達成は危うい。専門家は、2030年までに二酸化炭素やメタンなどの地球温暖化温室効果ガスの排出を43%削減する必要があり、引き続き温暖化に対する迅速なアプローチが求められると警鐘をならしている。

※掲載している情報は、2024年3月18日時点のものです。

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