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小学校に通う子どもたちに、毎月約7万冊の本を届けているブックバンクの「ブックスマイルズ」。アメリカでは、低所得層の約60%が子どものための本を家に置いていないことから、多くの子どもに本と接する機会を増やそうと始まった。
岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・ライター・キュレーター
ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。編集者・ライター・キュレーターとして活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRE…
知識をもって体験することで地球を変える|ELEMINIST Followersのビーチクリーンレポート
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米国の非営利団体「ブックスマイルズ」が、毎月約7万冊の本を無料で配布するブックバンク。ペンシルベニア州のフィラデルフィアとニュージャージー州を中心に地元密着型の活動を展開しており、過去6年間で約200万冊の本を子どもたちに贈ったという。
米国教育省によると、低所得家庭では最大61%が家に子どものための本を置いていない。またアメリカの子どもたちの45%は、公共の図書館や本を販売する店がない地域に住んでおり、アメリカでは約3240万人の子どもたちが本無しで生活している計算になる。さらに米国の所得の低い地域の67%の学校では、本を買うための十分な予算がないという。
ブックスマイルズの創設者でありディレクターを務めるラリー・エイブラムス氏は、「子どもたちにバレエのレッスンやサマーキャンプの機会を与えることはできない。しかし本を与えることはできる」と語る。
幼児期の発達段階で本を読むことは、語彙力、背景知識、理解力に、即時的かつ長期的な影響を与えるという研究が存在する。すなわちブックスマイルズの取り組みは、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」を達成するための取り組みであるともいえるだろう。
ブックスマイルズの本部の前には、地元の人々が本を寄付できるボックスが設置されているほか、生徒からの寄付やチャリティ団体などから安く本を譲り受けるなどして本を集めている。そして数百人のボランティアとともに、3人の常勤職員が集まった本を年齢別に分類しているという。
地元の学校に勤める教師たちがブックスマイルズを訪れ、子どもたちのニーズに合わせた本をピックアップする仕組み。ブックスマイルズでは多様なセレクションを心がけており、LGBTQに関する本、バイリンガルや黒人が主人公の本などが棚に並んでいる。
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コロナ禍で教師たちがブックスマイルズを訪れることができなくなった際には、フードバンクなどの非営利団体と提携。トラックに本を積んで、衣服や食料品、オムツなどと一緒に、必要としている家庭へのデリバリーを行っていた。
「食べ物の砂漠があるように、本の砂漠もある」というエイブラムス氏。パンデミック下でのフードバンクとブックバンクの協力について、「体に栄養を与え、心に栄養を与えるという考え方が大好き」と語る。
ブックスマイルズのこうした取り組みは子どもたちの学力向上になるほか、本を通して新しい世界や考えに触れることで、生きていく上での心の支えや指針にもなるだろう。
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