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フェアトレードは、その価格の高さや曖昧な基準、普及が進まないなどさまざまな問題を抱えている。フェアトレードの背景にある課題や問題点について、わかりやすく解説する。また、それらの解決に向けた取り組みも紹介する。
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「フェアトレード」とは、直訳すると「公正な貿易」。開発途上国の原料や製品を、生産や生産者の労働に見合った適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の賃金や労働環境、生活水準の向上を目指す貿易システムやパートナーシップを意味する。
フェアトレードの大きな目的として、「生産者・労働者の生活水準の向上」と「公正な国際貿易の実現」があげられる。
フェアトレードによって劣悪な労働環境の整備を行い、貧困の削減や地域開発を目指している。適正な賃金が継続して支払われることで、生産者や労働者の生活の安定が期待できるのだ。また、貧困による児童労働や教育の改善なども期待できる。さらに、発展途上国における不公平な貿易をなくし、公平・公正な国際貿易を行うことによって、取引を行う国が豊かになることも目的としている。
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フェアトレードは世界的に拡大傾向にあるが、普及状況は国によって大きなばらつきがある。アメリカ、イギリス、ドイツなどのフェアトレード先進国では、市場に多くのフェアトレード商品が流通しており、欧州における消費者の認知度は80%を超えると言われている。また、北欧やカナダのなかにも、フェアトレードが広く普及している国も多く存在する。一方で、欧米や北欧を除く国では、フェアトレードの市場規模はまだまだ小さく、成長段階にあるのが現状だ。
日本において、フェアトレード商品の市場規模は年々拡大し続けているとはいえ、まだ多くの消費者が認知に至っていないのが現状だ。2019年に一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)が実施した「フェアトレードに関する意識・行動調査」では、53.8%がフェアトレードという言葉を見聞きしたことがあるが、そのなかで「フェアトレードが貧困や環境に取り組む活動である」と答えられた人は6割程度であり、全体としての認知度は32. 8%に留まっていることが示されている。
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持続可能な社会の実現に向けて大きな役割を担うフェアトレードだが、その普及を妨げている課題や問題点も数多く存在する。ここでは、5つの課題・問題点について解説する。
フェアトレード商品は、生産コストが高いことや、認証ラベルを取得するために費用がかかること、商品代金に加えて途上国発展に向けた補助金を支払っていることなどから、同ジャンルの他商品と比べると割高になるという問題点がある。また、フェアトレードの認知が低い日本では、市場規模が小さいため高価格になる傾向がある。
主に途上国から先進国へと流通しているフェアトレード製品は、とくに手づくりの場合、均一な品質を維持することが難しい。他の商品と比べて品質や満足度が劣ると売れなくなってしまうため、現地の文化や生産者の能力を尊重しながら、しっかりとした品質維持の対策を行う必要がある。
フェアトレード商品には認証ラベルがつくが、取得条件のハードルの高さ、取得することによって継続的なコストがかかること、ラベル自体の認知度の低さなどの問題が存在している。
フェアトレードの基準は、企業や団体が直接途上国から仕入れたものを、独自の基準でフェアトレード商品として販売しているケースもあり、市場には異なる基準に基づくフェアトレード商品が数多く存在している。世界共通の基準として国際フェアトレード基準があるものの、その基準を満たさないとフェアトレード製品の表示ができないという決まりはなく、曖昧な部分が多いことも問題点だ。
グリーンウォッシュとは、実際は環境に配慮した取り組みを行っていないのにもかかわらず、しているように見せかけて商品やサービスを提供することだ。フェアトレードにおいても、基準が曖昧なことを悪用し、独自のラベルを使用するなど、実態がないフェアトレードの取り組みをプロモーションするなどの恐れがある。
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フェアトレードの認知が低い日本では、その内容を正しく理解していない人も多く存在する。フェアトレードをただの社会貢献や奉仕活動などと認識されているケースも多く、これらの間違った認識がフェアトレードが普及しない原因の一つだ。「フェアトレード=社会貢献、ボランティア活動」ではなく、発展途上国で暮らす生産者や労働者が安定した生活を確立し、自立するために行う取り組みであることを、消費者が理解していくことが大切だ。
認証ラベルの認知が進んでいないことも、フェアトレードが抱える課題のひとつだ。そのため、フェアトレードの認証ラベルを取得しても、ほかのフェアトレード製品との差が消費者にはわかりにくく、売上につながりづらいという問題点がある。
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フェアトレードを推進するための取り組みとして国内外で行われている取り組みや、個人でできる取り組みを紹介する。
2000年にイギリスのの小さな町であるガースタングから始まった「フェアトレードタウン」では、自治体でフェアトレードを推進する取り組みを実施しており、世界各国に広がりを見せている。市民や行政、企業などが町ぐるみでフェアトレード商品の購入や販売を促進する活動を行っており、現在は30か国以上、世界で2,000を超える自治体がフェアトレードタウンとして認定されている。日本でも2011年6月、熊本市が日本で初めて認定され、その後も名古屋市や札幌市など6都市が認定され、さらなる広がりが期待されている。
日本で2番目のフェアトレードタウンに認定された名古屋市は、「国際フェアトレードタウンなごや宣言」を行い、まちぐるみでフェアトレードを推進し、市民一人ひとりの買い物を通じて地域の絆を深めることを目指している。名古屋市では、コーヒーやチョコレートをはじめとするフェアトレード商品が約360の店舗で取り扱われている。さらに、市内のフェアトレード商品の取り扱い店舗や観光名所を掲載したマップを作成し、認知度向上にも力を入れている。
私たち個人ができる取り組みとして、フェアトレード商品を買うことがあげられる。コーヒーやチョコレート、紅茶、アクセサリーなど、身近なものをネットや近くのショップで簡単に購入することができる。同じジャンルの商品があった際には、フェアトレード商品を選択してみるのもいいだろう。
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フェアトレードは、各国における消費者の認知の低さや品質維持、基準の曖昧さなどさまざまな問題を抱えている。この問題を解決するための取り組みが進められているなかで、私たち消費者が積極的にフェアトレードに関する情報を得ることも大切なアクションと言える。
先述したように、私たち消費者がネットやお店でフェアトレード認証商品を購入することが、発展途上国で暮らす生産者・労働者の支援につながる。同じジャンルの商品でも、一度立ち止まり、フェアトレード商品を選択してみはいかがだろうか。公平・公正な社会に向けて、一人ひとりの認知やアクションが大きな一歩となるだろう。
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