Photo by VEJA Studio
2005年にフランスで誕生した「VEJA(ヴェジャ)」は、サステナブルなスニーカーをつくるブランド。フェアトレードでオーガニックコットンを仕入れ、アマゾンの熱帯雨林保護のため現地で採れた天然ゴムを使用しているほか、ブラジルの工場で労働者の権利を守りながら製造を行っている。
岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・ライター・キュレーター
ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。編集者・ライター・キュレーターとして活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRE…
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フランスのスニーカーブランド「VEJA(ヴェジャ)」。スニーカーのサイドに大きな「V」の字が入った印象的なデザインで、有名人やインフルエンサーの間でも人気が高い。このスニーカーの最大の特徴は、有機農法やエコロジカルな農業で栽培された原料を調達して使っていること、そして社会的公平性と透明性を保った製造を行っていることだ。
VEJAの創業者は幼なじみの2人、セバスチャン・コップ氏とフランソワ=ギラン・モリヨン氏。彼らは大学を卒業後、銀行員として働いていたが、持続可能性を語る企業と現実との乖離に落胆する。
仕事を辞めた2人はNGOを設立。世界中を旅するなかで、南米やアジア、オーストラリアなどのさまざまな衣料品や食品工場を見て回り、どうすればこれらの製品がより良くなり、そして社会をより良くできるかを考えた。そうして2004年、サステナブルなスニーカーブランドを立ち上げるに至った。
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多くの有名人やファッショニスタがVEJAを愛用する一方で、VEJAではほとんど広告を出していない。一般的なファッションブランドでは、予算の約70パーセントを広告・宣伝費に費やしているというが、VEJAではマーケティングや広告にお金をかけない。そのため、販売価格を上げることなく、労働者の労働条件やスニーカーの生産、素材に通常の何倍もコストをかけられるのだ。
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原材料にこだわり、VEJAではフェアトレードの原則を尊重し、ブラジルとペルーの農家組合からオーガニックコットンを直接購入している。すべてのコットンが、オーガニック認証を受けているそうだ。
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また各スニーカーのソールには、20〜40%の天然ゴムを使用。創業以来、アマゾンの熱帯雨林で現地コミュニティーから直接ゴムを購入し、森林保護にも貢献している。
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フェアトレードは、VEJAが大切にしている柱のひとつだ。オーガニックコットンと天然ゴムは現地の生産者と、市場の変動によって影響を受けない価格で契約を結んでいる。これにより、生産者は経済的に保障され生活が安定し自立しやすくなっていく。
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スニーカーを製造しているのは、労働者の環境が守られているブラジルの現地工場。透明性や公平性が保持されているか、VEJAでは毎年監査を行っている。さらに創業者の2人が唯一のVEJAの株主であり、外部の投資家を入れないことによってこの誠実性を保っているのだという。
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このほか、二酸化炭素排出量の測定と公表、アップサイクルした素材の使用なども行っている。その結果、社会や環境に配慮した公益性の高い企業に与えられるB Corp認証を2018年に取得している。
さらに2019年には、農業や製造におけるフェアトレードについて評価するFair for Life認証を取得。労働者の権利を守り、現地コミュニティーの開発に貢献していることが認められた。
こうした認証の証明書や認証内容、VEJAの規制物質に関する方針、企業としての行動規範など、あらゆる資料をウェブサイト上でも公開している。
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VEJAでは、キッズ用スニーカーも揃えている。
創業者の2人は、VEJAのスニーカーについて「その生産、普及、使用を通じて、グローバリゼーションの主要な問題を結晶化させた製品」であると語る。可能な限りエコロジカルな素材を使用し、倫理的なサプライヤーからスニーカーをつくり続ける。そんなVEJAのスニーカーを履くことで、足元からサステナビリティについて考えるきっかけとなるかもしれない。
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