劣化した土壌にも耐えられる作物を開発している、シンガポールのスタートアップ「NamZ」。このほど、それらを素材としたサステナブルな食品ブランド「WhatIF Foods」をローンチした。What if(もし〜だったら)をテーマに、国内の食糧自給率改善に挑戦している。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
たくさんの人々の在宅時間が増えたいま、体の健康を支える食べ物が、より一層クローズアップされている。オーガニックの流れに加えて、別のところからヴィーガンの波がやって来て、食べ物はさらに多種多様になっている印象だ。もっと言えば、自宅で野菜やフルーツを育てる人も増えている。
だからこそ、日本が抱える食べ物に関する課題も、比較的簡単に理解できるのではないだろうか。注目したいのは食料自給率の低さだ。
このまま地球温暖化と人口増加が進んでいけば、飢餓問題に直面すると言われている。でも、食料自給率が低いと、受ける影響はそうでない国と比べて多大なものとなってしまう。
日本だけでなく、じつはシンガポールも同じような課題を抱えている。
そこに目をつけイノベーションを起こそうとしているのが、シンガポールを拠点とする食料スタートアップ「NamZ」だ。
「NamZ」は、気候変動に伴う土壌などの悪化に備えて、厳しい環境にでも耐えられる作物を開発するスタートアップ。つい最近、彼らはそれらを素材としたサステナブルな食品ブランド「WhatIF Foods」をローンチした。
現在はヌードルとスープ、シェイクの3商品展開で、計6種の味を楽しむことができる。どれも栄養価が高く、モリンガなどのスーパーフードが使われていたり、ノンフライにこだわっていたりと、健康を支えてくれる。栄養バランスもすぐれているそうだ。
(左から)Bambara Groundnut Noodles $15.00、Sweet Corn Soup $45.00、Apple Cinnamon Shake $39.90
「WhatIF Foods」が狙うのは、サステナブルで健康的な食べ物をたくさんの人に届けるだけではない。土壌や天候に恵まれない農家を巻き込んで、新しい雇用機会もつくろうとしている。
もし地球にも農家にもメリットがあったら? もし栄養を気にすることなく健康的な食べ物を買えたとしたら? もし食料自給率をあげられたら? そのような“What if(もし〜だったら)”を実現するために「NamZ」は常に挑戦をし続けている。
また、「WhatIF Foods」はサブスクリプションモデルを採用しているので、消費者としては買い物の負担が減るのも嬉しいところだ。これだけのこだわりがあるので少し値段は高めに設定されているのだが、誰にでもやさしい食べ物であるならば、購入する人はかなりいるのではないだろうか。
日本にも同じような志を持った企業が現れると、同じようなイノベーションは起こせるに違いない。
参照元/WhatIF Foods
https://whatif-foods.com/
文・小嶋正太郎/編集・ELEMINIST編集部
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