農業運営×ワークウェアで持続可能な社会を 米国の「スカイハイファーム・ユニバース」

アーティストのダン・コーレンが始めた「スカイハイファーム」

Photo by Sky High Farm Workwear

アーティストのダン・コーレンが始めた「スカイハイファーム」。ニューヨーク郊外のハドソンバレーにある農場で、農作物の栽培と家畜の飼育を行い、健康的で地元産の食品を必要とする地元のパートナーに提供している。さらにアパレルブランドを展開し、その収益を農場の運営資金に充てている。

岡島真琴|Makoto Okajima

ライター

ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。ライター・編集者として活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRESSを運営。

2023.08.15
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アート界のスターが始めた農場「スカイハイファーム」

アーティストのダン・コーレンが始めた「スカイハイファーム」

Photo by Bradley Ogbonna

「スカイハイファーム(Sky High Farm)」の創設者であるダン・コーレンは、ニューヨークを拠点に活動する世界的に著名なアーティストとして知られる。彼は2011年にニューヨーク郊外のハドソンバレーに土地を購入。もともと住居兼彫刻スタジオとして使用するためにこの地に移り住んだが、やがて農場として自ら耕し始めた。

コーレンはこの土地で野菜や畜産を手がけ、その後スカイハイファームを正式な非営利団体として登録。当初、再生可能な農法で育てられた食料はすべてフードバンクに寄付し、現在では、生産した肉や野菜のすべてを、地元の低所得者層を支援するパートナーや慈善団体などに寄付している。

アーティストのダン・コーレンが始めた「スカイハイファーム」

Photo by Bradley Ogbonna

さらにスカイハイファームでは、持続可能で公平な農業の実践を指導すべく、世界中の小規模農家への助成金も提供している。とくにBIOPOC(バイポック、黒人や先住民などの有色人種のこと)や、LGBTQ+コミュニティーなどが運営する農家に対して積極的に助成を行っているのも特徴だ。

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農場運営を支援する「スカイハイファーム・ユニバース」

アーティストのダン・コーレンが始めた「スカイハイファーム」

Photo by Sky High Farm Workwear

コーレンは2016年、イラストレーターのジョアナ・アヴィレスに、農園で生産するハチミツのパッケージ向けにイラストの制作を依頼。月とイチゴが抱き合うポップでかわいらしいブランドのロゴが誕生した。その後、スカイハイファームとしてチャリティーイベントなどを行うなかで、ドーバーストリート・マーケットとの100%チャリティプロジェクトで、ビンテージTシャツを販売。全収益をスカイハイファームの運営に充てた。

その過程で、当時コム・デ・ギャルソンとドーバーストリート・マーケットのコミュニケーションとマーケティング責任者だったダフネ・シーボルトと出会い、ワークウェアブランドの設立が決まる。そして、シーボルトとコーレンが「スカイハイファーム・ユニバース」の共同創業者となった。

こうして2022年1月に「スカイハイファーム・ワークウェア」が誕生した。彼らはまた、独創的な販売方法を考案。「卸売寄付(wholesale donation)プログラム」といい、スカイハイファーム・ワークウェアの製品や衣料品を扱う小売業者は、商品が店頭に並ぶ前に、同ファームへの基本的な寄付を約束することになる。生活者が商品を買うことで、そのまま農場の支援につながる仕組みになっている。

ハイブランドとのコラボレーションで社会課題を解決

アーティストのダン・コーレンが始めた「スカイハイファーム」

Photo by Sky High Farm Workwear

コンバースとのコラボレーションで誕生したスニーカー

スカイハイファーム・ワークウェアでは、コンバース、バレンシアガなどのメガブランドと協力し、商品を寄付してもらうという形でのコラボレーションを行った。

例えばバレンシアガからは、デッドストックの中から白と黒のジャケットを寄付してもらい、背中側にニューヨークの写真家ライアン・マッギンレーの作品をプリントして販売。既存のバンダナやTシャツ、パーカー、帽子などを利用したアップサイクルのアイデアも人気の理由の一つだ。

アーティストのダン・コーレンが始めた「スカイハイファーム」とバレンシアガのコラボレーション

Photo by Sky High Farm Workwear, Nadia Lee Cohen

バレンシアガとのコラボレーション

「農場」と「ワークウェアブランド」は、一見すると異なる方向性のように見えるが、食料を守るというミッションは同じだ。農場 は非営利団体であり、ワークウェアブランドやコラボ商品の販売による収益によって支えられている。

ワークウェアブランドはまた、農場が果たしている役割と使命を知ってもらう手段。コーレンやシーボルトは、そのことを揺るぎない目的としている。

アーティストのダン・コーレンが始めた「スカイハイファーム」

Photo by Sky High Farm Workwear, Daniel Arnold

FedUp Food社とのコラボレーションで生まれてた清涼飲料水「ハニーポップ」

「スカイハイファーム・ユニバース」の活動はファッションだけにとどまらない。最近では、FedUp Foodsとのコラボレーションで、清涼飲料水「ハニーポップ」をローンチした。今後もさまざまな分野のメーカーと協働する予定だという。

コーレンとシーボルドを中心に最先端のクリエイターたちが集い、社会課題の解決のためにユニークなアイデアを実践する「スカイハイファーム・ユニバー」。持続可能な社会を目指して、不可能と思われるようなことを次々と実現していく姿には、多くの人が勇気をもらえることだろう。

※掲載している情報は、2023年8月15日時点のものです。

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