Photo by ClimateClock
気候変動によって地球が限界を迎えるまでのリミットを表している気候時計(クライメートクロック)。その時計が、ついに6年を切った。気候時計がさす時間の意味と、私たちにできることを改めて考えよう。
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地球の温暖化が進み、気候変動がますます深刻化しているいま。パリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えることが目標として掲げられている。しかし、2022年に発表されたIPCC報告書では、すでに世界の平均気温は1.1℃上昇と指摘。私たちに残された時間は限られている。
気候時計(クライメートクロック)とは、そんな世界の平均気温上昇を1.5℃以下に抑え、気候変動による影響で取返しのつかなくなるまでに残された時間を表している。
気候時計は2020年にニューヨークに設置され、それ以外でも大規模な気候時計は以下の都市に設置されている。
・ニューヨーク(アメリカ)
・ベルリン(ドイツ)
・ソウル(韓国)
・ローマ(イタリア)
・グラスゴー(スコットランド)
日本では渋谷に小型の気候時計が設置されている。
Photo by Climate Clock
これまでに気候変動がどのくらい危機的状況なのか数値化して、私たちが地球環境への影響を実感できるようにする試みが行われてきた。例えば、2009年にドイツ銀行がニューヨークのタイムズスクエアの上空に設置した炭素排出量の追跡カウンター。また、2015年には炭素に加えて、温度や時間も追跡したカウンターがつくられた。
しかし、これらは期間限定のものや1回限りのもので、世界中で同期する時計を継続的に設定することを求める声も生まれていった。
そんななか、2019年9月、当時高校生だった環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリさんが国連気候行動サミットで演説。そのスピーチが世界で注目されたことも後押しとなり、2020年にニューヨークで初めて気候時計が設置されたのだ。
日本では2022年、渋谷駅ハチ公前広場の観光案内所や飲食店などに、小型の気候時計が設置された。これは、大学生や高校生などが集まった集団「a(n)action(アナクション)」がクラウドファンディングで呼びかけたことから設置に至った。
気候時計はグレタ・トゥーンベリさんも賛同した取り組みで、日本でもZ世代の若者が声をあげたことから設置された。人々が気候変動を自分事としてとらえ、一時的なイベントではなく、ムーブメントとして継続していくことを呼びかける、ひとつの象徴的なできごととなっている。
気候時計は着々と針を進め、先日「6年」の時間を切った。世界の平均気温上昇が1.5℃に達するまで、残された時間は6年もない。ここ数年は、夏になると危険をともなうような暑さに見舞われ、豪雨や洪水、山火事などの自然災害も増加。地球や気候が変わってきていることを“肌で感じる”ことが多いはずだ。
これ以上、気候変動を進めさせず、私たちの地球を保ち続けるためには、気候時計が示すほどの時間の猶予はなく、いまからできることを始めなければならないはずだ。
クライメートクロックジャパンのサイトでは、1クリックで日本政府へ気候変動対策に声をあげ、動画視聴で100円の募金もできる。またクライメートクロックワールドでは、自分のサイトに気候時計を埋め込めるHTMLを無料で配布している。
※参考
クライメートクロックワールド
クライメートクロックジャパン
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