気候変動に向き合う「フライデー・フォー・フューチャー」 グレタさんが生んだ未来のための金曜日とは

海を見つめるコートを着た女性

フライデー・フォー・フューチャーは、たった1人の少女から始まった活動である。気候変動に向けた取り組みが、待ったなしで求められるいま、若い世代が起こす一大ムーブメントにも注目してみよう。活動の背景や、世界・日本の動きを詳しく解説する。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2021.10.29

フライデー・フォー・フューチャーとは

Fridays For Future(フライデー・フォー・フューチャー/未来のための金曜日)とは、学生たちが中心となって行われている、気候変動問題に向き合うためのアクションだ。

気候変動によって、我々が生きる環境は年々厳しくなりつつある。それにもかかわらず、気候変動問題を解決するための行動は、まだ十分ではない。こうした状況に抗議し、状況を変えるため、世界中で行われているのがフライデー・フォー・フューチャーの取り組みである。

運動のはじまりは2018年

フライデー・フォー・フューチャーの始まりは、2018年8月のこと。当時15歳だったスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリが、スクールストライキを行った。気候変動問題にきちんとした行動が行われていないことに抗議し、たった1人、スウェーデンの国会前で座り込みをしたのだ。

彼女はその後も、金曜日に座り込みを続けた。彼女の行動はSNSを通じて世界中に拡散され、非常に大きな動きとなっている。2019年3月には世界中の人々が、街頭で行われた気候ストライキに参加。日本においても、全国各地に支部が誕生するなど、ムーブメントが広がっている。(※2)

環境活動家 グレタ・トゥーンベリの活動

グレタ・トゥーンベリは、スウェーデン出身の環境活動家である。スクールストライキによって、世界中に影響を与えた。

2018年12月には、ポーランドのカトヴィツェで開催されたCOP24にて、世界に向けたスピーチを行っている。16歳になると、学校を休学し世界各地を巡る環境保護活動を実施。2019年と2020年には、ノーベル平和賞にもノミネートされた。(※3)

日本における学生運動とその歴史

日本の学生運動といえば、「1960年代・70年代のでき事であり、昔のこと」というイメージを抱く人も多いのかもしれない。たしかにこの時期、東京大学や日本大学など、著名な学校でも数多くの学生運動が行われた。80年代に入り、学生運動は徐々に下火になっていくが、ゼロになったわけではない。

2010年代からは、原発や安全保障関連法、憲法改正に反対する運動も活発化。2015年に結成された学生団体「SEALDS(シールズ)」は、学生以外からも注目を集めた。若い世代らしい、新しい形のデモは、日本の社会に一定の影響を与えたと言えるだろう。

ただし、海外と比較すると、日本の学生運動はそれほど活発ではない。デモや学生運動に対して、否定的な感情を抱きがちだ。

海外のフライデー・フォー・フューチャー事例

ここからは、フライデー・フォー・フューチャーの具体的な取り組み事例を紹介しよう。まずは、海外における事例を2つ紹介する。

オーストラリアの学生たちのスクールボイコット

2018年11月、グレタ・トゥーンベリの活動に賛同したオーストラリアの学生たちが、スクールボイコットを開始した。ボイコットが行われたのは金曜日で、参加者は約15,000人。メルボルンやブリスベン、パースなど、約30か所の教室で実施された。政府は教室に戻るよう指示したが、学生たちはボイコットを続けた。

世界125か国による一斉ストライキの実施

2019年3月、世界各地で一斉に気候ストライキが行われた。世界125か国、2000以上の地域で一斉にストライキが行われ、140万人が参加。フライデー・フォー・フューチャーの取り組みが、世界的な大きな流れとなる第一歩となった。

日本国内の事例

では、日本国内ではどのような活動が行われてきたのだろうか。3つの事例を紹介しよう。

国会議事堂前で行われた抗議活動

2019年2月22日、フライデー・フォー・フューチャー・ジャパンによる、初めての活動が行われた。場所は国会議事堂前。参加人数はわずか15人であった。参加人数を上回るメディアが取材に訪れ、日本で活動を広げるきっかけとなった。

東京・京都で日本初のグローバルストライキ

2019年3月15日、世界で行われたGlobal Climate Strikeに合わせて、東京・京都でもデモが行われた。前回の活動からわずか1ヶ月で、参加者は20倍に。約300人が、気候変動問題に向けた具体的な行動を求めて、抗議活動を行った。

全国24都道府県でグローバル気候マーチの開催

2019年9月20日には、全国24都道府県でグローバル気候マーチが行われた。世界同時に行われたもので、日本では約5,000人が参加した。

学生気候危機サミットを東京・渋谷で開催

2020年2月、学生たちが気候変動について学び、つながり、アクションをするための準備イベントとして、学生気候危機サミットが開催された。3日間の日程中、全国各地から約100名の学生が参加。各種専門家をトークゲストとして招き、さまざまなイベントを行った。

若い世代からの強烈なメッセージ

グレタ・トゥーンベリという1人の少女が始めた活動は、SNSを通じて、わずかな期間で世界中へと広まっていった。日本においても、その活動は活発化している。

気候変動がもたらす多くの危機は、すでに、世界中の至るところで発生している。世界各国が足並みをそろえてさまざまな取り組みを行っているが、まだまだ不十分な側面があるのも否めないだろう。

フライデー・フォー・フューチャーの取り組みは、これからの世代を背負う若者たちからの強烈なメッセージである。我々一人ひとりが、いま何をするべきなのか、より真摯な姿勢で考えてみよう。

※掲載している情報は、2021年10月29日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends