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ドイツ鉄道では、「鉄道+自転車」での通勤・通学を促進するため、自転車で走った距離に応じて利用者へさまざまな割引やプレゼントを提供している。この仕組みはドイツ鉄道のアプリで行われており、ベルリン、ハンブルクなど、15の主要都市で導入している。
岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・ライター・キュレーター
ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。編集者・ライター・キュレーターとして活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRE…
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ドイツでは、ほとんどの鉄道やバスに自転車を持ち込むことができる(自転車持ち込み専用チケットの購入が必要な場合もある)。大抵の場合、鉄道やトラム、バスには自転車を持ち込める専用の車両やエリアが設けられているのだ。
そのため、毎日の通勤・通学に自転車を鉄道の車内に持ち込み、自宅〜駅、駅〜通勤・通学先などのラストワンマイルに自転車を利用できる。また、旅行の際も鉄道に自転車を持ち込み、旅先では車や公共交通機関ではなく、自分の自転車を利用するという人も多い。
そんな鉄道と自転車の利用を促進しようと、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn)が開発したのが、独自のアプリ「DB Rad+ app」だ。アプリ上で自転車の走行距離を記録し、その距離が長ければ長いほど、ドイツ鉄道や地域のパートナー企業から割引やプレゼントなどの特典を受け取れる仕組みになっている。
このアプリは現在、ハンブルクやベルリンなどを含むドイツ15都市で導入されており、各都市で15〜30の企業がこの取り組みに参加している。提携企業には、例えばエコファッションやアップサイクルのお店、映画館、子ども用品店、自転車修理店、オーガニックカフェやスーパーなど、サステナブルな取り組みを行っているところが多い。
特典の内容も各都市によって異なる。ヴィースバーデンでは、自転車で10㎞走ると有機栽培されたリンゴ2個をもらえて、30㎞走るとコーヒーの無料サービスを受けられる。ほかにもベルリンでは、100㎞走るごとにドイツ鉄道のオンラインチケット購入時に5ユーロの割引が受けられたり、250㎞走ると自転車の修理費が10%オフになるチケットをもらえたり、多岐にわたる。
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さらにこの取り組みが魅力的なのは、導入都市で一定の目標を設けていて、それを達成するとその街全体にも利益をもたらす点だ。
例えば、ある街では「アプリ利用者全員の合計走行距離が25000㎞に達したら、誰もが使える自転車修理ステーションを購入・設置する」ことになっている。“アプリ利用者によるチームプレー”によって、その街での自転車の利用が楽しく、快適になるような仕組みが施されているのだ。
ドイツ鉄道はこのアプリによって、より多くの人に鉄道での移動を促し、提携企業はより多くの顧客を獲得したり、サステナブルなブランディングに役立てたりすることができる。さらに街では道路を走る自動車の数を減らし、自転車利用者はさまざまな特典を受けながら体力向上や健康増進などの恩恵を受けられる。おまけに地球環境にもやさしいとあって、まさにいいとこ尽くしの取り組みといえるだろう。
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