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世界で、人口の少ない国はどこだろう。人口問題と国内の状況は密接に関わっており、各国の人口を分析することでその国が抱える事情が見えてくる。本記事では、人口の少ない国をランキング形式で紹介。日本の人口についても、あわせて解説する。
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人口の少ない国トップ10を見てみよう。各国の特徴や事情のほか、日本との人口比率に関してもまとめている。本記事のランキングは、外務省が総務省統計局「世界の統計2022」の情報をベースとして公表しているデータをもとに作成している。(※1)
順位 | 国名 | 人口 | 日本との比較した場合の割合 |
---|---|---|---|
1位 | バチカン | 615人 | 0.00049% |
2位 | ニウエ | 1,888人 | 0.001515% |
3位 | ナウル | 12,000人 | 0.008826% |
4位 | ツバル | 12,000人 | 0.009629% |
5位 | パラオ | 18,000人 | 0.01444% |
5位 | クック諸島 | 18,000人 | 0.01444% |
7位 | サンマリノ | 34,000人 | 0.027281% |
8位 | リヒテンシュタイン | 38,000人 | 0.03049% |
9位 | モナコ | 39,000人 | 0.031293% |
10位 | セントクリストファー・ネービス | 53,000人 | 0.042526% |
バチカンは、世界でもっとも人口の少ない国である。バチカン国籍所有者は615人だが、バチカン国籍を保有せずにバチカン市国に居住する人が205人おり、合わせて820人とされることもある。
バチカンは世界でもっとも人口の少ない国であるとともに、世界最小国でもある。面積は約0.44平方キロメートルであり、日本の皇居が約1.15平方キロメートルであることを考えると、皇居の半分にも満たないということがわかる。(※2)
バチカンはローマ教皇によって統治される国家であり、カトリックの総本山。バチカンで暮らす人はカトリックに信仰心のある人が多く、バチカンの国籍を持つ人はほとんどが聖職者であり、宗教的に特別な地位を持っているとされている。
面積が少ないことに加え、上記のような宗教的な事情も、バチカンの人口が少ない理由のひとつだろう。
世界で2番目に人口の少ない国、ニウエ。ニュージーランドの北東約2,400キロメートルに位置し、面積は約259平方キロメートル。サンゴ礁が隆起してできたニウエは、屋久島の約2分の1程度の小さい面積でありながら、世界最大のサンゴ礁の島という側面も持つ(※3)。人口の90%をポリネシア系のニウエ人が占めており、農業・漁業・観光業が主要産業だ。
ニウエはニュージーランドとの自由連合関係を維持しており、防衛と外交についてはニュージーランドが責任を負っている。ほかにも、財政援助、経済協力、貿易、移住など、多分野においてニュージランドに依存しているのが現状だ。
国土が狭く、経済基盤が脆弱なことから、ニュージーランドへの移住者が後を絶たない。その結果、深刻な人口減少に直面しており、経済発展が望めない悪循環に陥っている。現状、経済発展のための現実的な施策がなく、国際機関や海外居住者からの援助に頼っている状況だ。(※4)
ナウルは、東京とニュージーランドの中間に位置する世界最小の共和国。国土面積は21.1平方キロメートルで、東京都品川区とほぼ同じ。バチカン、モナコに続き、世界で3番目に面積の小さい国とされる。(※5)島は1周約17kmで、4〜5時間で周れるほどコンパクトだ。(※6)
ナウルは、かつては燐鉱石の輸出を通じて外貨を獲得していたが、現在は資源が枯渇。さらに、食糧と生活物資のほとんどを輸入に頼っている現状があり、世界的な物価上昇の影響を受け国内の物価も上昇している。経済を支えるための産業を模索しているところだが、経済状況は厳しい状態にある。(※7)
一方で、近年は観光PRに力を入れている。2020年10月には、ナウル共和国政府観光局日本事務所が設立された。(※8)公式Twitterでは、ナウルの観光に役立つ情報やナウルの日常を垣間見ることができる。
ツバルは南太平洋に位置する、9つの環礁島からなる国だ。海面上昇による水没の危機がある国として国際的に取り上げられることもある。面積は約26平方キロメートルで東京都品川区とほぼ同等。世界で4番目に面積が小さい国とされている。
ツバルには「平和愛好国とのみ国交を持つ」という方針があり、オーストラリアやニュージーランドと友好関係を築いている。また、台湾と外交関係を有する。(※9)
資源には恵まれておらず、入漁料や農業で財政を支えているが、ほぼ自給自足のような状況だ。美しい海に囲まれているが、観光資源の開発も進んでいない。(※10)
しかし、2017年時点の人口は約11,000人であり、人口は年々増加傾向である。とくに離島からの移住により、首都フナフティの人口が急増している状況だ。(※11)
パラオは、ミクロネシア地域に浮かぶ共和国。大小200の島で構成されており、面積は屋久島とほぼ同じ約488平方キロメートルだ。
パラオはアメリカ、日本、台湾との結びつきが強い国である。なかでも、1994年にはアメリカとの自由連合盟約であるコンパクトが発行された。アメリカから無償援助を受ける代わりに、国防と安全保障の権限をアメリカに委ねるというものだ。主要産業は観光業であり、農業や漁業も行われているが、財政はアメリカに依存している現状がある。
観光客は、ピーク時には16.4万人だったが、近年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けている。2020年には、強力な水際措置が講じられたこともあり、観光客は1.8万人まで減少した。(※12)
パラオの全人口には外国人も含まれている。パラオの人口は年々減少傾向にあるが、パラオ人の人口減少における理由としてはコンパクト提携国であるアメリカへの移住がある。また、外国人人口が減っている理由としては、外国人労働者の国外流出が考えられる。(※13)
クック諸島は、南太平洋にある15の島々からなる国だ。総面積は約237平方キロメートルで、大阪市とほぼ同じとされる。
主要産業は観光業。政府は、観光業と農業の融合や農業の生産性の向上を模索している。(※14)。しかし、首都があるラロトンガ島以外の離島では、開発が進んでいない現状がある。そのため、国内での経済格差が激しいという問題を抱えている。(※15)
また、ニュージーランドと自由連合を組んでいる関係で、ニュージーランドに移住する人も多い。この現状は、農業人口の減少や高齢化にも影響を与えている。(※16)
サンマリノは、四方をイタリアに囲まれた、世界でもっとも古い共和国。4世紀初頭に、マリーノという石工が、ローマ皇帝によるキリスト教徒迫害から逃れるために創設した共同体が起源とされている。
サンマリノの面積は世界で5番目に小さい。山上に建設された街並みが特徴で、周囲は城壁に囲まれている。歴史・地理・経済どれをとってもイタリアとの関係が深く、密接な協力関係を築いている。(※17)
サンマリノは、日本と同じく、平均寿命の高い国として知られる。(※18)それでも、人口が少ないのには、国土面積の小ささが少なからず関係しているだろう。
リヒテンシュタインは、オーストリアとスイスに囲まれた内陸国。リヒテンシュタイン侯爵家の家名が国名になっており、1806年に独立した国だ。隣国のスイス、オーストリアとの関係が深く、同じドイツ語を使用するドイツとも関係を築いている。(※19)
リヒテンシュタインの面積は約160平方キロメートルで、小豆島と同等。面積・人口ともに少ないが、小さいながらに豊かな国であることが知られている。(※20)医療機器や精密機器の製造のほか、金融業も盛んである。
フランスの地中海沿岸部に位置するモナコは、セレブが集まるリゾート地として有名だ。人口密度は、1平方キロメートルあたり19,075人。独立国としては断トツで人口密度が高く、人口密度の高い国ランキングは1位である。(※21)
人口が少ないのには、国土面積が小さいことが関係している。モナコの面積は2.02平方キロメートルで、バチカンに次いで世界で2番目に面積が小さい国である。(※22)
セントクリストファー・ネービスは、大西洋とカリブ海に浮かぶ2つの島からなる島国。面積は約260平方キロメートルで、西表島とほぼ同じだ。1493年にコロンブスにより発見された国であり、1623年以降はイギリスやフランスによる植民地だったが、1983年に独立を果たした。(※23)
主要産業は観光業。クルーズ船による欧米からの観光客が増加傾向で、近年、経済はプラス成長を続けていた。しかし、2020年以降は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による深刻な影響を受けている。また、毎年発生するハリケーンによる打撃を受けやすい現状にある。(※24)
ミニ国家と表現されることもあるセントクリストファー・ネービスは、西半球でもっとも面積が小さく、人口が少ない独立国。人口が少ない理由には、面積が大いに関係している。
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総務省統計局の2023年2月概算値によると、日本の人口は124,630,000人。前年同月に比べて57万人減少している。(※25)日本の人口は、2008年をピークに減少傾向だ。2011年以降は減少の一途をたどっており、近年は減少率も拡大しているのが現状である。(※26)世界的にいうと、日本の世界人口ランキングは現在11位である。
また、現在外務省が公表しているデータによると、日本の人口密度は338人/平方キロメートル。日本の人口密度は、地域によって差が激しいのが特徴だ。もっとも人口密度が高いのは東京都、もっとも低いのは北海道であり、東京都と北海道の人口密度にはおよそ100倍の開きがある。
人口密度の世界的なランキングは、1位はモナコで19,075人/平方キロメートル、2位はシンガポールで7,810人/平方キロメートル、3位はバーレーンで1,891人/平方キロメートルという結果だ。(※27)
世界人口は増加傾向にあるなか、増加率は低下しているのが現状だ。現在約80億人である世界の総人口は、2050年頃にはほぼ100億人に達するとも予想されている。しかし、人口の増大が起きているのは、一部の国にとどまっている。
人口が減少に転じている国も数多く、日本を含む各国が、高齢化や出生率の低下といったそれぞれの問題を抱えている。人口の少ない国の一部もそうであるように、海外への移民流出問題や経済成長の停滞に直面している国も少なくない。
人口は、各国の事情と密接に関係しており、将来の予測に欠かせないファクターだ。私たちが今後よりよい選択を行うためにも、人口問題や各国の事情に目を向けたい。
※1 人口の少ない国|外務省
※2 バチカン基礎データ|外務省
※3 ニウエ|国際機関 太平洋諸島センター
※4 ニウエ基礎データ|外務省
※5 ナウル|国際機関 太平洋諸島センター
※6 ナウル共和国政府観光局日本事務所
※7 ナウル基礎データ|外務省
※8 ナウル政府観光局日本事務所を設立|JIRO国際交流機構
※9 ツバル基礎データ|外務省
※10 ツバル|国際機関 太平洋諸島センター
※11 食卓からみる世界-変わる環境と暮らし第13回 人口増加と気候変動で変わる首都フナフティの暮らしと食|一般財団法人 地球・人間環境フォーラム
※12 パラオ基礎データ|外務省
※13 パラオ便り(2013年4月) |在パラオ日本国大使館
※14 クック諸島 - 栄養プロファイル P14|JICA
※15 クック諸島基礎データ|外務省
※16 クック諸島 - 栄養プロファイル P14|JICA
※17 サンマリノ諸島基礎データ|外務省
※18 平均寿命の高い国・地域|外務省
※19 リヒテンシュタイン公国|外務省
※20 リヒテンシュタイン侯国とは|リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展
※21 人口密度の高い国|外務省
※22 モナコ基礎データ|外務省
※23 セントクリストファー・ネービス|外務省
※24 セントクリストファー・ネービス概況(セントキッツ)P10|在トリニダード・トバゴ日本国大使館
※25 人口推計(令和4年(2022年)9月確定値、令和5年(2023年)2月概算値) (2023年2月20日公表)|総務省統計局
※26 人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)結果の要約 結果の概要 P1|総務省統計局
※27 人口密度の高い国|外務省
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