【2023年最新】都道府県別人口データ 結果から見える問題点と人口推移予想

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都道府県別人口は地域ごとの経済格差や将来の労働力に大きな影響を与える。近年は都市部への人口集中が見られ、地方の人口減少が顕著になった。都道府県別人口の特徴や結果から見える問題点について詳しく解説する。

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2023.03.27
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都道府県別人口とは

都道府県別人口とは、日本の47都道府県別に見た人口である。都道府県別人口から見える情報は幅広い。人口の増減だけではなく、他県への流出傾向、あるいは他県からの流入傾向が顕著になる。人口の増減は地域の経済活動に影響し、自治体ごとの成長率や負担率に格差が出かねない。政府が力を入れる地方創生やSDGs未来都市構想にも関わる。

さらに年齢別に見た場合、少子高齢化が目立つ地域、目立たない地域なども把握できる。日本は少子高齢化や将来的な労働人口の減少が深刻化しており、喫緊の対策に乗り出している状況だ。地域別の年齢人口動態も対策に必要なデータとして重要な意味がある。

都道府県別人口は5年ごとにおこなわれる国勢調査や、年間を通した人口動態調査のデータを集計して算出される。

国勢調査は全世帯が調査票を使い、性別、年齢、国籍をはじめとした複数の質問に回答するシステムだ。日本の人口調査の基本である。回収した調査票は集計され、調査の翌年に総務省が集計結果を公表する。

しかし国勢調査は5年に一度しかおこなわれないため、4年間の調査空白期間が出てしまう。その調査空白期間をカバーするのが1年ごとの人口動態調査である。

人口動態調査は自治体に提出される各種届(婚姻届、離婚届、出生届、死亡届)から人口を把握する。そのデータは速報、月報、年報で公表される。速報は作成された調査票(各種届)の数であり、内訳は「日本における日本人」「日本における外国人」「外国における日本人」および「前年以前に発生した事象」である。

月報は速報のうち「日本における日本人」についてまとめたものであり、年報は月報に修正を加えた確定値として取り扱われる。速報、月報、年報すべてに都道府県別人口のデータが記載され、地域ごとの細かい人口把握が可能だ。

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最新の都道府県別人口

最新の都道府県別人口を見てみよう。総務省統計局の資料によると、令和3年の人口推計は以下のとおりである。(※1)

都道府県名人口
北海道5,183
青森1,221
岩手1,196
宮城2,290
秋田945
山形1,055
福島1,812
茨城2,852
栃木1,921
群馬1,927
埼玉7,340
千葉6,275
東京14,010
神奈川9,236
新潟2,177
富山1,025
石川1,125
福井760
山梨805
長野2,033
岐阜1,961
静岡3,608
愛知7,517
三重1,756
滋賀1,411
京都2,561
大阪8,806
兵庫5,432
奈良1,315
和歌山914
鳥取549
島根665
岡山1,876
広島2,780
山口1,328
徳島712
香川942
愛媛1,321
高知684
福岡5,124
佐賀806
長崎1,297
熊本1,728
大分1,114
宮崎1,061
鹿児島1,576
沖縄1,468

※ 都道府県 人口(単位:1,000人)

都道府県別人口からわかること

経済成長や生産年齢人口の予測

都道府県別人口は経済成長や生産年齢人口の予測に役立つ。たとえば今年産まれた子どもが何年後に生産年齢人口(15~65歳)に達するかは、突発的な事象がない限りほぼ正確に予想できるだろう。「何年後に経済活動をになう人口は何人か」ということがわかるのである。

生産年齢人口は都道府県、ひいては日本の経済活動と経済成長に大きく影響する。生産年齢人口は生産力、消費力が期待される年代だ。いわば経済の中心年齢といっても過言ではない。

最新の人口動態調査の結果を反映した「令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況(※2)」によると、令和3年の出生数は81万1,622人だった。2036年の生産年齢人口にはこの人数が従来の生産年齢人口に加わるため、その時点での日本の経済力(生産力、消費力)が予想できるのだ。

生産年齢人口は都道府県別人口にも反映される。「何年後のA県の経済活動状況」を予想するとき、欠かせないデータであることは間違いない。

都道府県別GDPへの影響

人口と経済活動が影響し合うことから、都道府県別人口と都道府県別人口GDPも同様に深く影響し合う。人口が多い都道府県ではGDPが高く、逆に人口が少なければ低くなる。

GDPにはさまざまな意味があるが、そのなかには「経済規模」「豊かさ」がある。GDPが高ければ経済規模が大きく活発であり、その土地に住む人々は生活で豊かさを感じられる。低ければその反対だ。

都道府県別人口によって都道府県別GDPがわかり、その地域の人々の経済状況、生活での豊かさが予想できる。つまり人口が多い地域は経済や生活が充実し、人口が少ない地域では充実度が足りない傾向が見えるのだ。

内閣府が公表している最新の都道府県別GDP(※3)によると、令和元年、都道府県別GDPの1位は東京都だった。東京都は都道府県別人口でもつねに上位に位置している。いっぽう、都道府県別人口がつねに最下位、あるいはそれに準じた順番の鳥取県は同年の都道府県別GDPも最下位だ。

このように都道府県別人口と都道府県別GDPには密接な関係があることがうかがえる。都道府県別人口ランキングと都道府県別GDPランキングはほぼ同じ順位になることが珍しくない。

同じ国内でありながら、地方によって大きな経済格差が生まれている事実は以前から問題視されている。内閣府は地方創生を掲げ、さまざまな政策を打ち出しはじめた。地域活性化のための地域価値向上、地域の魅力を活かしたまちづくり、地方創生SDGs未来都市構想などが施策の一環である。

ほかにも移住しやすい環境づくり、テレワークの推進による人材流出抑制、政府関係機関の地方移転といった多くの施策を打ち出し、地方人口の減少を抑制するとともに、都市部からの移住を推進しつつある。

経済の地域格差は福祉や行政サービスの格差も生む。人口が多く経済活動が活発な都市部では当然のように受けられるサービスも、地方ではスムーズに受けづらい。高度医療へのアクセスもやはり格差が生じがちである。

いまやグローバルな目標であるSDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」に悪影響をおよぼしかねない状況であるともいえる。SDGsは決して開発途上国だけのためのものではない。先進国の日本にとっても重要なファクターだ。

ゴール到達のためには都道府県別人口と都道府県別GDPを単なるデータととらえず、自分ごととして日本中がアクションするべきフェーズに入っているのではないだろうか。

少子高齢化問題における問題点

都道府県別人口は日本の少子高齢化問題を浮かび上がらせる。少子高齢化は日本が喫緊に取り組むべき重大な問題であり、切羽詰まった状況であるといえる。

前述のとおり、都道府県別人口は将来の生産年齢人口に直結する。生産年齢人口が減少すればするほど経済活動は低下してしまう。

少子高齢化が進行する日本では、2065年に生産年齢人口が4,500万人になると予想されている。これは2020年と比較すると2,900万人も減少する予想である。いっぽう、生産年齢人口に入らない65歳以上の国民(老齢人口)は同じく2065年に総人口の約4割になると予想されている。

この予想は若い世代である生産年齢人口が減り続けるいっぽうで、彼らが支えるべき老齢人口が増加している事実にほかならない。つまり若い世代の負担が増えるばかりか、場合によっては支えきれず、従来の社会保障制度が大きく変化せざるを得ない状況も考えられるのだ。

とくに人口が少ない地方の問題は顕著である。都市部への人材流出が抑制できず、生産年齢人口が都市部に集中し、地方の社会保障制度が維持できなくなる可能性を否定できない。

都道府県別人口は地域ごとの経済格差を浮き彫りにし、このような重大な問題をつまびらかにする重要なデータである。

都道府県別の人口増減率

都道府県名人口増減率
東京3.9%
沖縄2.4%
神奈川1.2%
埼玉1.1%
千葉1%
愛知0.8%
福岡0.7%
大阪0%
滋賀0%
京都-1.2%
兵庫-1.3%
宮城-1.4%
広島-1.6%
茨城-1.7%
岡山-1.7%
群馬-1.7%
静岡-1.8%
石川-1.9%
栃木-2.1%
長野-2.4%
三重-2.5%
福井-2.5%
佐賀-2.6%
岐阜-2.6%
香川-2.7%
熊本-2.7%
北海道-2.9%
奈良-2.9%
富山-3%
山梨-3%
宮崎-3.1%
島根-3.3%
鳥取-3.5%
鹿児島-3.6%
愛媛-3.6%
大分-3.6%
福島-4.2%
和歌山-4.3%
山口-4.5%
新潟-4.5%
長崎-4.7%
徳島-4.8%
山形-5%
高知-5%
青森-5.4%
岩手-5.4%
秋田-6.2%

都道府県別に見ると東京都の3.9%を筆頭に沖縄(2.4%)、神奈川(1.2%)、埼玉(1.1%)、千葉(1.0%)、愛知(0.8%)、福岡(0.7%)で増加が、大阪、滋賀で0.0%の現状維持が確認できる。いずれも大都市で活発な経済活動がおこなわれている地域だ。しかしそれ以外の地域では減少が確認されている。

人口増減の理由は死亡数と出生数の差による自然増減と、人口移動による社会増減がある。経済活動が活発な都市部の人口増は社会増減が大きな要因だ。いっぽう、自然増減は少子高齢化によって出生率が下がる反面、高齢者の増加と寿命による死亡率の上昇だと考えられる。

とくに東京圏への人口移動は群を抜いて多い。若い世代が東京圏へ移動することによって、社会増減だけではなく、地方の出生率を下げ、自然増減をまねいた一面もある。都市部から地方への人口移動が多いとはとうていいえず、人口増減率の格差解消は難しい状況だ。

前述したとおり、人口格差は経済格差につながる。地域によって社会保障や医療へのアクセスに格差が生じてしまいかねない。

また、年代によっては教育格差も生まれるだろう。人口の問題で未来をになう世代が希望する教育へのアクセスが難しくなることは惜しまれるべきであり、SDGsのゴール4「質の高い教育をみんなに」の達成が難しくなる。都道府県別人口の格差はあらゆる世代に重大な問題を投げかけていることがわかる。

今後予測される都道府県の人口推移

2022年に厚生労働省が発表した「都道府県別の人口推計(※5)」によると、都道府県の人口推移予測はやはり少子高齢化が顕著であり、かつ深刻化が進むことがわかる。

日本全体では2040年に85歳以上の老齢人口が現在の140%になり、15歳から65歳の生産年齢人口が現在の80%ほどまで落ち込む。

都道府県別人口で見れば生産年齢人口が現在の90%ほどで済むのは東京都だけだ。それでも老齢人口は現在の140%近い状態であり、若年層の負担はかなり厳しいものになる。

日本一ともいえる大都市の東京都がこの状況では、ほかの地域がかんばしくないことも想像にかたくない。実際、生産年齢人口が現在の80%未満になる県もある。

全年齢を合わせた総人口でも、ほぼ横ばいをキープすると見られる東京都と沖縄県を除き、減少の一途をたどる。あくまで予想だが、国勢調査や人口動態調査の結果をかんがみれば、単なる予想と楽観するのは難しいだろう。

出生率が下がり続ける近年、人口の急激な増加は難しい。しかし地方創生が軌道に乗り、結果を出すことによって状況の打破が期待できる。政府と自治体の啓発や取り組みが今後も強く求められる。

日本の未来に大きく関わる都道府県別人口

日常生活のなか、人口問題について深く考える人は少ないかもしれない。しかし日本では確実に少子高齢化が深刻化しており、早急な対策が求められる状態である。

とくに都道府県別人口に格差が生じているいま、その差を埋めなければ都市部以外の地域は衰退が進みかねない。

政府や自治体は次々と施策を打ち出し、地方創生によってさまざまな格差を埋めようとしている。いまだ大きな成功とはいいがたいものの、着実に成果を出している地方もあらわれはじめた。施策が決して無駄ではないことがわかる。

今後のより大きな結果につなげるため、政府や自治体の啓発と取り組みに注目したい。

※掲載している情報は、2023年3月27日時点のものです。

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