SDGs未来都市とは 未来都市一覧および地方創生と融合したロードマップ

緑のなかに巨大なモニュメントが立つ施設

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SDGs未来都市は、SDGsと地方創生を融合させた政策のひとつである。選定対象はすぐれたSDGsの取り組みを提案する地方自治体だ。持続可能な社会を実現する推進力として注目されている。SDGs未来都市について詳しく解説する。

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2023.02.28
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SDGs未来都市とは

SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年の国連サミットで当時の加盟193カ国によって採択された。その目的は世界中の課題を人類で共有し、解決に向けて取り組むことである。採択以降、グローバルレベルで取り組まれ、積極的に努力目標や政策を制定する国も多い。

SDGs未来都市とはSDGsを受けた日本の政策である。内閣府地方創生推進室が、SDGs達成に取り組む地方都市を「SDGs未来都市」に選定している。

政府の狙いのひとつは、SDGsへの取り組みを原動力にした地方活性化推進だ。地方における経済・社会・環境の3つの面で新たな価値を創出しようとしている。地域内外のステークホルダーとの連携も大きなアジェンダだ。それぞれが影響し合い、好循環を生み出すことが期待される。

SDGsと地方創生を融合させたこの政策は、SDGsの普及・推進とともに、各地方自治体を活性化させる相乗効果を生み出すのである。

SDGs未来都市はすぐれた取り組みを提案する地方都市のうち、毎年30都市が選定されている。選定された都市のなかから、とくに先導的な取り組みをするSDGs未来都市が「自治体SDGsモデル事業」として選定された。自治体SDGsモデル事業は最大2,500万円の補助金が交付される。(※1)

2023年2月13日からは2023年度SDGs未来都市および自治体SDGsモデル事業の募集もはじまった。今後もこの政策はフォーカスされ続けるだろう。

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環境モデル都市と環境未来都市

SDGs未来都市は従来の「環境モデル都市(2008年施行)」「環境未来都市(2010年施行)」をベースにしている。

環境モデル都市は、低炭素社会(脱炭素社会)と持続可能な社会を実現する先導的な取り組みをおこなう都市が選定され、いまもその取り組みは続いている。コンパクトシティ化(※2)、地域自然の保全・活用、再生可能エネルギーへの注目が具体的な取り組み内容だ。

環境未来都市は、環境モデル都市の構想に追加する形で施行された。環境モデル都市の低炭素社会(脱炭素社会)に向けた取り組みにプラスし、超高齢化社会への対応を高いレベルでおこなう都市を選定する試みである。2011年には環境都市のなかから11都市が選定されている。

SDGs未来都市はこの2つの流れを受けた形で制定された。低炭素社会(脱炭素社会)、超高齢化社会の課題に地方創生の目標が加わったことになる。一朝一夕での解決は難しい課題ばかりだが、各都市、各地方の積極的な取り組みは確実に進められていることもまた事実だ。

SDGs未来都市と自治体SDGsモデル事業の違い

SDGs未来都市のなかには「自治体SDGsモデル事業」がある。

自治体SDGsモデル事業とは、SDGs未来都市に選定された各都市がおこなう取り組み事業のなか、とくにすぐれて先導的だと認められたものをさす。

SDGsの理念にのっとった取り組みにより「経済・社会・環境における新しい価値観を創出」かつ「それを通して広い層のステークホルダーとかかわりを持ち、自律的好循環を生み出す事業」が選定の基準である。(※3)

自治体SDGsモデル事業は成功事例の普及にも好影響をもたらし、地域の地方創生深化に役立つことが期待されている。

選定基準と選定までの流れ

SDGs未来都市、および自治体SDGsモデル事業の選定基準と選定までの流れを見てみよう。ここでは「2023年度SDGs未来都市等募集要領(※4)」を参考に紹介する。選定は選定を希望する都市・自治体が提案書を作成・提出することからはじまり、書面とヒアリングによる審査を経て決定される。

1:選定を希望する都市・自治体の提案書の作成と提出
2:自治体SDGs推進評価・調査検討会による評価とヒアリング対象団体の決定
3:ヒアリング実施
4:SDGs未来都市等の選定案作成
5:SDGs未来都市選定・結果公表


選定基準は「総合戦略」「アクションプラン」「コンセプト」が重視される。提出する書面やヒアリング段階で十分にアピールできる内容が必要だ。具体的には将来のビジョン、推進に資する取り組み、推進体制である。

自治体SDGsモデル事業は課題と取り組み提案のほか、経済・社会・環境それぞれの面とそれらをつなぐ取り組み、ステークホルダーとの連携、自律的好循環の具体化、資金スキーム、スケジュールなどが求められる。また、3年間における事業内容・達成目標(KPI)の明確化も必要だ。その際には可能であればロジックモデルおよびインパクト評価を検討するよう求められている。

2022年度のSDGs未来都市一覧

令和4年度のSDGs未来都市一覧は以下のとおりである。
※都道府県・市区町村コード順

No.提案者名提案のタイトル
宮城県大崎市「宝の都(くに)・大崎」の実現に向けた持続可能な田園都市の創生
秋田県大仙市課題先進地の挑戦 Well-beingにあふれる持続可能なまち
山形県長井市循環でつながるまち 長井
埼玉県戸田市一人ひとりの行動変容から始まる持続可能なまちづくり~『このまちで良かった』みんな輝く 未来共創のまち とだ~
埼玉県入間市Well-being City いるま~健康と幸せを実感できる未来共創都市~
千葉県松戸市「やさシティ、まつど。」の進化と深化~多様な人材が奏でるSDGs未来都市の実現~
東京都板橋区絵本がつなぐ「ものづくり」と「文化」のまちの実現~子育てのしやすさが定住を生む教育環境都市~
東京都足立区多様なステークホルダーと挑む「貧困の連鎖」解消に向けた都市型モデルの構築
新潟県豊かな自然としなやかに共存する「住んでよしの新潟」
10新潟県新潟市都市と田園の好循環~デジタル技術で食と農の可能性を拡げる都市~
11新潟県佐渡市人が豊かにトキと暮らす黄金の里山・里海文化、佐渡~ローカルSDGs佐渡島、自立・分散型社会のモデル地域を目指して~
12石川県輪島市“あい”の風が育む「能登の里山里海」・「観光」・「輪島塗」 ―三位一体の持続可能な発展を目指して ―
13長野県上田市「ひと笑顔あふれ 輝く未来につながる健幸都市」上田の創造
14長野県根羽村源流の里による生命環境を生かした村づくり~矢作川源流地の持続可能社会に向けた取組~
15岐阜県恵那市「住みたい田舎」であり続ける観光・交流・定住・安住・共生の恵那ライフ ―ENA遺伝子の継承と伝達―
16静岡県御殿場市誰もが輝ける 富士の麓の環境を守り育てるまち 御殿場
17愛知県安城市安城ならではの公民連携によるウェルビーイングな脱炭素社会の実現
18大阪府阪南市人と自然が共生・共創するCo-ベネフィット型未来都市の実現
19兵庫県加西市SDGsの推進を通じてみんなで創る 加西の元気力
20兵庫県多可町人と自然が共生する新たな森林サービスで幸福度高まるTAKA[多可]創生事業
21和歌山県田辺市未来へつながるまち「田辺市」を目指して ~1000年をつなぐ熊野の保全と継承~
22鳥取県人口最少県とっとりの「小さくとも持続可能な地域づくり」への挑戦
23徳島県徳島市SDGsでまちの未来を創ろう!持続可能なわくわくするまち・とくしまの実現
24徳島県美波町森への回帰 ウミガメの森の恵みの地域好循環による“にぎやかそ(にぎやかな過疎)”の加速
25愛媛県新居浜市~先人の思いをつなぎ、シビックプライドを次のアクションへ~「SDGs未来都市 にいはま」実現プロジェクト
26福岡県直方市未来へつなぐ「ひと・まち・自然」~Road To 2030 Team NOGATA~
27熊本県八代市新たなつながりの創出で、「持続可能な人と企業に選ばれるまち」づくり
28熊本県上天草市島々を抱く穏やかな海で自然の恵みを活かしたサステナブルシティ ~訪れたい、応援したい、戻りたい~
29熊本県南阿蘇村3つのKによる「誰もが住みたい・住み続けたい南阿蘇村」の構築
30鹿児島県薩摩川内市「持続可能で魅力的なまち・薩摩川内市」を目指して

2022年度自治体SDGsモデル事業 選定事業一覧

令和4年度自治体SDGsモデル事業における選定事業一覧は以下のとおりである。
※都道府県・市区町村コード順

No.提案者名自治体SDGsモデル事業名
宮城県大崎市大崎耕土GIAHSを核とした持続可能な地域社会づくり
千葉県松戸市Z世代を起爆剤に多様な主体が奏でる常盤平団地エリアのリ・ブランディング
東京都足立区逆境を「まちの力」で乗り越える足立SDGsモデル構築事業「やりたくてもできない」から「やりたい!」に。
新潟県新潟市将来に向けた持続可能な食と農の創出プロジェクト
岐阜県恵那市恵那発たべるSDGsモデル構築プロジェクト~恵那ふうど = FOOD×風土~
大阪府阪南市共創による新しい地域価値の創造 カーボンニュートラルの先にあるCo-ベネフィット型未来都市に向けて
和歌山県田辺市1000年をつなぐ田辺市熊野SDGsプロジェクト〜
鳥取県人口最少県 誰もが活躍する「人づくり王国とっとり」戦略 ~SDGsチャレンジ人財サポート
熊本県八代市Move forward!「SDGs フードマッチングプロジェクト」
10熊本県上天草市島々を抱く穏やかな海とともに生き続けるためのプロジェクト

SDGs未来都市の取り組み事例

秋⽥県仙北市|IoT・⽔素エネルギー利⽤基盤整備事業

秋田県仙北市では「IoT・⽔素エネルギー利⽤基盤整備事業」に取り組んでいる。水素エネルギーの利用を実現し、低炭素社会に貢献するため事業化をはかった。

同時に田沢湖環境の修復にも取り組み、湖畔清掃による「鳴き砂」の復活や、死滅した「クニマス」里帰りプロジェクトを推進。社会・経済・環境の三側面において意欲的に活動している。

富山県富山市|LRTネットワークと自立分散型エネルギーマネジメントの融合によるコンパクトシティの深化

富山県富山市では、LRT(Light Rail Transit)ネットワーク等の公共交通活性化や再生可能エネルギーをもちいた地域エネルギーマネジメントシステムなどを活用し、公共交通を軸としたコンパクトシティの深化をめざしている。

活動を進めるうちグリーンスローモビリティ(※5)の導入が望ましいという案が浮上し、2020年10月よりモデル運行を開始。モビリティマネジメントが功を奏し、公共交通機関の利用率が増大した。

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徳島県上勝町|SDGsでSHLs(Sustainable Happy Lives)持続可能な幸福な生活

徳島県上勝町では少子高齢化対策とSDGs推進のため、豊富な森林資源を活用した「葉っぱビジネス」「ゼロ・ウェイスト」に取り組んでいる。季節の植物や山菜を栽培・出荷・販売する「葉っぱビジネス」のマニュアル化と普及、廃棄物を減少させる「ゼロ・ウェイスト」の推進は、過疎化が進む上勝町に大きな効果をもたらした。

とくにゼロ・ウェイストでは町民一人ひとりが熱心に取り組み、2020年にリサイクル率80%という素晴らしい結果を出し、世界から注目される町になった。

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SDGs未来都市の実現のため続けられる取り組みに参加を

SDGs未来都市実現のため、日本では多くの都市や自治体が積極的に取り組んでいる。2030年までの達成を目標とするSDGsに大きな貢献を果たしていると言えるだろう。

取り組みのなかには私たち個人にもできることがあるかもしれない。もし参加できるような取り組みがあれば、ぜひアクセスしてみてはいかがだろうか。

※掲載している情報は、2023年2月28日時点のものです。

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