持続可能なまちづくりを目指す「SDGs未来都市」とは 選定される2つのメリットと評価方法

公園に映える二本の木

SDGs未来都市とは、地方創生を推進するためのプロジェクトのひとつであり、SDGsを原動力としている。SDGsとともに、注目度が高いキーワードだ。都市選定の背景やメリットとともに、選定までの流れや評価基準についてもわかりやすく見ていこう。

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2021.02.24
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SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業とは

上空から撮影した都市の中心部

Photo by Abigail Keenan on Unsplash

SDGs未来都市とは、「SDGs達成のため積極的に取り組む都市」として内閣府地方創生推進室に選定された都市のことだ。世界中でSDGsへの関心が高まるなか、日本で注目される取り組みのひとつであり、2018年度から募集がスタートした。

SDGsは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であり、17のゴール・169のターゲットから構成されている。SDGsにおける重要なテーマのひとつが、「地球上の誰一人取り残さないこと」。貧困やジェンダー平等、不平等の撤廃など、世界全体の根深い問題だからこそ、発展国・先進国・自治体・企業などが積極的に取り組むことが求められる。

SDGs未来都市は、地方自治体による取り組みをより活性化するために、国がスタートした仕組みである。SDGs未来都市は、優れた取り組みを発信する都市が毎年30件程度認定される。2021年度は、2021年2月19日から同3月1日まで募集が行われ、その後選定される予定だ。晴れて認定されたら、国とともにさらに具体性のある計画を立案。行動に移していくことになる。(※1)

またSDGs未来都市のなかでも、とくに先進的な取り組みをする都市は、自治体SDGsモデル事業として選定される。自治体SDGsモデル事業に選定されれば、より強力なバックアップを受けながら目標達成を目指していけるだろう。

SDGs未来都市選定の背景と目的とは

SDGs未来都市を選定する目的は、地方創生の実現である。いまの日本、そしてこれからの日本が抱える問題は、決して少なくない。

「少子高齢化」「地方の人口減少」「地方経済の縮小」などの問題を放置して、日本の経済成長はあり得ないだろう。持続的な発展・成長を目指すためには、地方を活性化し、より多くの人が安心して暮らせる社会を実現することが重要である。

これはSDGsが掲げる理念とも合致している。より強力に地方創生への流れをバックアップするために生まれたのが、SDGs未来都市の選定という取り組みである。

日本ではもともと、2008年から「環境モデル都市」を選定してきた。これは温室効果ガス削減のため、優れた取り組みを行う都市を選定する制度である。

その後2010年には「環境未来都市構想」をスタート。3つの価値(環境価値、社会的価値、経済的価値)の創造によって、より魅力的な地方都市の実現を目指すための取り組みである。この「環境未来都市構想」にSDGsの手法を取り入れ、さらに発展させて生まれたのがSDGs未来都市だ。(※2)

グローバル社会のなかで多角的に取り組むべき重要課題である地球温暖化に、日本が抱える地方・人口に関わる根深い問題。SDGs未来都市が生まれた背景には、簡単には解決できないこれらの課題がある。より多くの人が、解決に向けた行動を「自分ごと」としてとらえ、実際に行動できるようにすることこそが、SDGs未来都市の目的と言えるだろう。

SDGs未来都市がもたらす2つのメリット

日本の都市の横断歩道

Photo by Daryan Shamkhali on Unsplash

社会全体にとってのメリット

SDGs未来都市のメリットは、大きくわけて2つの側面から語られる。SDGs未来都市がもたらす社会全体の総合的なメリットと、未来都市に選定された自治体にとってのメリットだ。

SDGs未来都市の成功がもたらす総合的なメリットは、持続可能な開発目標の達成のため、地方自治体から確かな一歩を踏み出せる点だ。地域全体を活性化できれば、そこに暮らす人々の暮らしは、より豊かになるだろう。

少子高齢化や経済縮小といった問題が解決に向かえば、日本の未来はより明るくなるのかもしれない。次世代を生きる子どもたちの負担も、軽くなるのではないだろうか。

一方で、取り組みをより一層推進するために、無視できないのが「選定された自治体側のメリット」である。メリットがなければ、具体的かつすみやかに行動を起こすことは難しい。

自治体にとってのメリット

SDGs未来都市に選定された都市は、自治体SDGs推進関係省庁タスクフォースによる強力な支援を受けられる。

具体的には、各省庁の支援施策活用に関する助言や、成功事例の国内外への発信支援などだ。注目のSDGsに対して先進的な取り組みを行う自治体として、世界的に注目されれば、さまざまなチャンス創出につながるだろう。

また未来都市のなかでもとくに積極的に進めるべき事業として、自治体SDGsモデル事業に選定されれば、国から補助金が支給される。2021年度選定のモデル事業の場合、補助金の上限額は2,700万円だ。多様なステークホルダーとの連携のもと、より強力に事業を推進できる。(※3)

【期間・時期・評価】選定までの流れ

では次は、SDGs未来都市の選定について、よりくわしく紹介しよう。

選定機関は評価・調査検討委員会

SDGs未来都市を選定するのは、自治体SDGs推進評価・調査検討委員会だ。この委員会は、「SDGs未来都市の選定基準の検討」「選定案作成に資する客観的評価」「選定後の評価等に関する調査や検討」「担当大臣への助言」を主な任務とし、生まれたものである。

委員会メンバーは学識経験者や専門家などで構成され、その庶務は内閣府地方創生推進室にて処理されている。

【時期・流れ】申し込みから選定まで

申し込みから選定までの一連の流れは、毎年2月から6月ごろにかけて行われる。具体的な流れは以下のとおりだ。
1.希望する地方自治体による提案書類の提出(2月ごろ)
2.自治体SDGs推進評価・調査検討会による評価(3月ごろ)
3.ヒアリング対象団体の決定(3月~4月)
4.対象自治体へのヒアリングの実施(4月中旬)
5.SDGs未来都市の選定(5月~6月)
6.自治体SDGs補助金の交付決定(6月中旬)

提案者からのヒアリングは、1都市25分程度(プレゼン10分、質疑15分)を目安に行われる。またヒアリング対象となった自治体は、選定後に公表されるしくみだ。(※4)

決定までの選定基準と評価方法

選定基準は大きく、

①全体計画(自治体全体でのSDGsの取組)
②自治体SDGsモデル事業(とくに注力する先導的取組)
③委員による参考意見

の3つに分類され、それぞれについてよりくわしい項目別に点数を付与される。

合計得点が高いものよりヒアリング対象に選定。ヒアリング結果もくわえ、さらに総合的に考慮した結果でSDGs未来都市および自治体SDGsモデル事業が決定される。(※5)

2020年度SDGs未来都市に選定された自治体

都心にそびえる高層ビル

Photo by Hakan Nural on Unsplash

2020年度、SDGs未来都市に選定された自治体数は33であった。その中の10都市が、自治体SDGsモデル事業として選定された。

なかでも高い評価を受けたのは、宮城県石巻市が掲げた「コミュニティを核とした持続可能な地域社会の構築」や東京都豊島区の「国際アート・カルチャー都市実現戦略実施事業」などである。北は岩手県から南は沖縄県まで、日本全国に選定都市が広がっている。。(※6)

SDGs未来都市の取り組み事例

ではここからは、SDGs未来都市の具体的な取り組み事例について解説しよう。

1. 岩手県陸前高田市

【選定時期】
2019年度

【取り組み内容】
誰もが多様性を認め合い、個性を持つ一個人として尊重される社会実現のための、経済・社会・環境におけるさまざまなプロジェクトの推進

【目的】
市民や来訪者への積極的な情報発信や「東北SDGs未来都市サミット」の開催企業の誘致や新たに事業をスタートさせようとする新規起業家への支援(※7)

2. 北海道ニセコ町

【選定時期】
2018年度

【取り組み内容】
環境配慮型住宅群の建設やエネルギーコストの削減、地域運営組織などによる活発な自治活動を行うNISEKO生活・モデル地区構築事業の推進

【目的】
官民専門家連携のまちづくり会社「(株)ニセコまち」や「都市未来研究会 in NISEKO」の設立による、地域活性化の推進各種まちづくり町民講座の開催による、住民意識の向上(※8)

3. 富山県富山市

【選定時期】
2018年度

【取り組み内容】
自律分散型エネルギーインフラ・ネットワークとの融合による、コンパクトシティの深化や充実

【目的】
LRTネットワークの形成による、公共交通網の発達住民の利便性向上と地域活性化など(※9)

SDGs未来都市は地域創生への第一歩

SDGsは、誰にとっても他人ごとではない重要課題である。2030年までに持続可能な社会を実現させるためには、国や地方自治体、そしてそこで暮らすひとりひとりが、より深く意識する必要があるだろう。

SDGs未来都市は、私たちにより身近な視点を与えてくれるプロジェクトのひとつである。各自治体がどのような取り組みを行っているのか、今後さらに注目してみてはどうだろうか。

いま、そしてこれからの私たちが抱える問題を解決するための、手立てとなるのかもしれない。

※掲載している情報は、2021年2月24日時点のものです。

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