Photo by Bakd&Raw by Karolin Baitinge on Unsplash
アフリカで初めて、ヴィーガン料理をテーマにしたイベント「ヴィーガンレストランウィーク」が、20か国50以上のレストランで開催された。伝統料理に動物性食品を多く使うアフリカの人々にとって、プラントベースの食事の提供は新しい試みとなった。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
世界のヴィーガン人口がどのくらいかご存じだろうか。ヴィーガンに関する情報を発進するVeganBitsは、世界人口の1%程度にあたる約7530万人と推測している。
一方、アフリカでは伝統的な料理に牛肉や鶏肉、魚、乳製品など多くの動物性食品を使用してきた。そのためか、アフリカの人口のおよそ99.99%はヴィーガンではないという。しかし、気候変動や動物福祉、インフレによる物価上昇などを理由に、アフリカでも植物ベースの食事へのニーズが少しずつ増えているようだ。
こうした機運の高まりを受けて、今回アフリカで初となる「ヴィーガンレストランウィーク」が2023年1月23日から29日の1週間にわたり開催された。ヴィーガン料理を一品以上提供するレストランはこのイベントに参加でき、アフリカ大陸の20か国で50店舗以上のレストランが参加した。
例えば、セネガル初で唯一の完全菜食主義レストラン「Casa Teranga」では、牛肉と鶏肉の伝統的な食材に代わって、ひよこ豆、黒目豆、キャッサバなど、色彩豊かな野菜を使用し工夫を凝らした。
このイベントの目的は、アフリカの人々にプラントベースの食体験を楽しんでもらうこと。さらに、畜産による環境や人間の健康、動物達に与える影響について認識を深めてもらうこともあるという。加えて、アフリカにおける植物性の代替食品の認知度向上や販売機会を創出する狙いもあった。
ヴィーガンになる理由は人それぞれだろう。健康や環境への配慮、動物福祉の観点、宗教上の理由など多岐にわたる。一方で、ヴィーガンは決して裕福な人々のための西洋的な概念ではない。セネガルにおける同イベントのコーディネーターを務めた、フランス系マリ人であるAnna Touré氏は以下のように語っている。
「この地域には、何世代にもわたって食してきたヴィーガンのタンパク源が豊富にある。黒目豆は、牛肉や鶏肉、魚よりもはるかに安価だ。ナッツ、穀物、野菜はすべて地元で栽培されており、バオバブやモリンガといったヘルシーな特産品もある」
低価格で腹持ちのよい穀物や米、芋類は、アフリカの一般家庭では毎日食卓に上るなじみ深い食材である。アフリカ大陸では、「ヴィーガン」の言葉自体はまだ浸透していないかもしれないが、意図せずプラントベースに近い食生活を送っている人も実は多いという。
欧州に比べるとまだ馴染みはないだろうが、アフリカにもヴィーガンというスタイルや考えが広まりつつあるのかもしれない。
※参考
African Vegan Restaurant Week
First-Ever Africa Vegan Restaurant Week Held on the Continent|VOA
How Many Vegans in The World? In the USA? (2023)|Veganbits
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