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洗濯洗剤は日常的に使うものだからこそ、使い心地のよさにプラスして環境へのやさしさにもこだわりたい。本記事では環境にやさしい洗濯洗剤の選び方や目印になる認証のマークとあわせて、おすすめ商品15点を紹介する。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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私たちが習慣的に行っている洗濯は、地球に負荷をかけていることをご存知だろうか。洗濯という行為は、排水や水資源の利用といった環境への負荷以外にも、人への影響もあるというから驚きだ。
洗剤の多くには、界面活性剤が含まれる。そして界面活性剤には天然由来のものと石油由来の合成界面活性剤がある。天然由来の界面活性剤はもともと自然界に存在しているもので、自然への負荷が小さい。
一方、合成界面活性剤は高い洗浄力や泡立ちのよさがある一方で、水質汚染につながるリスクがある。現に、合成界面活性剤が主成分である合成洗剤が普及した1960年代以降、家庭からの生活排水によって川や湖が泡立ってしまったり琵琶湖で赤潮が発生したりなど、深刻な問題を引き起こしてきた事実がある。(※1)
近年はさまざまな洗濯洗剤が開発され、このような問題は減ってきた。とはいえ、分解されやすい界面活性剤であっても、水底に蓄積されてしまうという研究データも存在する。合成界面活性剤を含め、本来自然界にはない化学物質が環境へ与える負荷は計り知れない。(※2)
私たちの洗濯によってマイクロプラスチックが少しずつ流出している。ポリエステルやナイロンといった合成繊維は、洗濯での摩擦によってマイクロプラスチックとなり、少しずつ流れ出ている。排水後、下水処理施設を通り抜けてしまうことも多く、海に流れ着いてしまうのだ。
海の生態系を破壊し、海洋生物に悪影響を及ぼすマイクロプラスチック問題は、世界的に深刻で早急に解決すべき問題である。
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洗濯には水資源を使っていることを忘れてはならない。すすぎや洗濯回数が多いとそれだけたくさんの水を使うことになる。日本は豊かな水に恵まれており、水資源に困ることはないかもしれないが、世界的には水資源の枯渇と汚染が進んでいるのが現状だ。水不足が深刻化すると、人間を含め多くの生物に影響が出る。
現在市場に出回っている洗濯洗剤は、「正しい使い方をすれば人体に悪影響がない」と判断されたものばかりだろう。ただ、合成界面活性剤などの化学物質は自然界で分解されるものではなく、あるいは分解に長い時間がかかり、それによって生物に悪影響を及ぼしている可能性が高い。それは人間も例外ではなく、洗剤に触れると手荒れやひび割れを引き起こす場合もある。
また、近年は原因不明のアレルギー症状や化学物質過敏症に悩む人が少なくない。これらは必ずしも洗濯洗剤に起因しているとはいえないが、本来自然界にない化学物質は、少なからず人への刺激になり得るだろう。
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では、少しでも環境への負荷を少なくするには、どんな洗濯洗剤を選べいいだろう。世の中には、成分にこだわったもの、サステナブルな方法でつくられているものなどたくさんの洗剤があるが、ここではわかりやすいポイントを3つ紹介する。
洗剤を選ぶときには、生分解可能な洗剤かどうかをチェックしよう。生分解性とは、微生物などの生物の作用により分解する性質のこと。生分解性が高いほど環境への負荷が少ない。排水後に自然界でどのくらい分解されるのかがポイントだ。
環境にも人にもやさしいのは、天然由来成分でできた洗濯洗剤だ。天然精油などを使ってつくられている植物由来の洗濯洗剤は生分解性にすぐれている。近年は環境への配慮から生分解されやすいタイプの界面活性剤の開発も進んでいる。
石油由来成分は使い勝手がよく大量生産できることから生活用品の原料として広く使用されているが、自然界で循環せず地球に残り続ける。また精製時には大量の二酸化炭素を排出し、気候問題ともつながっている。さらに、石油は有限な資源であるのに対し、天然由来の原料である植物は繰り返し栽培が可能だ。環境へのやさしさを考えるなら、石油由来成分を避けて洗濯洗剤を選びたい。
環境にやさしい洗濯洗剤の証明として、認証マークを目印にするのもいいだろう。認証マークはパッケージで簡単に確認できてわかりやすい。以下は認証マークの一例だ。それぞれ認証基準や範囲は異なるため、あくまでひとつの指標としてとらえよう。
生産から廃棄に至るまで、全体を通して環境への負荷が少ないと認められた商品につけられる環境ラベル。
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アブラヤシの果実からとれるパーム油は、洗剤のほか、加工食品、化粧品など幅広く使われている。しかし高まる需要とともに森林伐採が進み、森林火災、気候変動、生物多様性の損失など、さまざまな問題が生まれている。そこでつくられたのが、RSPO。「持続可能なパーム油のための円卓会議」が定める基準をクリアしたパーム油を原料に、つくられた商品に表示される。
「ナチュラル洗剤」と表示できる認証。大部分の石油由来成分が禁止され、天然や有機成分の使用が推奨されている。
数ある洗濯洗剤のなかから、環境にやさしい洗濯洗剤としておすすめのものを15点紹介する。石けんタイプや天然アロマの香りを楽しめるもの、スタイリッシュなパッケージのものなどを幅広くセレクト。ライフスタイルに合いそうなお気に入りを見つけてみて。
「Sonett(ソネット)」の液体洗剤は100%天然原料でつくられている。石油系の界面活性剤や漂白剤など生分解が不完全なものは一切使わないという徹底ぶりで、排水後、微生物によって完全に分解される。素材に関わらずすべての衣料に使用でき、ほのかなラベンダーの香りとともに、ふんわりと洗い上げてくれる。ヴィーガンの認証など、海外のサステナブル関連の認証を3つ取得している。
取得認証 | The Vegan Society、NCP(Nature Care Product)、CSE(Centified Sustainable Economics) |
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その他 | フェアトレードの原料を使用している |
「シャボン玉石けん」は、昔ながらの釜炊き製法であるケン化法にこだわって製品づくりを行っている。熟練の職人が時間をかけて仕上げるため、保湿成分が残ったまま肌にやさしい石けんができあがるそう。「シャボン玉スノール」は、純石けんと水でつくられた無添加の洗濯用石けん。日本アトピー協会推薦品であり、敏感肌の人や赤ちゃんにもおすすめ。排水後は、短期間で分解され、石けんカスは魚や微生物のエサになる。
その他 | 日本アトピー協会推薦品 |
海洋タンカーの事故処理研究を応用し、界面活性剤を微粒子化するというナノテクノロジーを導入した「THE(ザ)」の洗濯洗剤。そのため、従来の洗濯洗剤に比べて約6分の1まで界面活性剤の使用量を抑えている。
しかも生分解性のスピードが早いのも特徴。一般の洗濯洗剤はおよそ1か月で生分解されるところ、THEの洗濯洗剤は1日で94%が、7日後には100%が生分解され、その分だけ環境への負荷を減らせるという。水で希釈すれば、家中の掃除や食器洗いに使えて便利なところも魅力だ。
「ミヨシ石鹸」は「ひとにやさしく、地球にやさしい製品」をモットーとする石けんメーカー。サステナブルな方法で生産されたパーム油を使用した商品に認められるRSPO認証やバイオマスの容器の利用を促進するUL認証など、複数の認証を取得し、環境への取り組みを積極的に行っている。
「せっけん そよ風」は、洗浄成分の100%が純石けんでできている。洗浄効果を強化した液体タイプで、柔軟剤がなくてもふんわりと洗い上がるのが特徴だ。
取得認証 | RSPO認証、UL認証 |
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その他 | 海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」会員 |
「善玉菌酵素 洗たく洗剤」は、ベビーとママのオーガニックブランド「neobaby」と自然派ライフスタイルブランド「NEO GREEN」が共同開発。余分なものは使わずに、生分解性が高い原料のみを厳選してつくられている。界面活性剤ではなく、独自開発の酵素の力で汚れとニオイのもとをオフし、スッキリ洗い上げてくれる。
一般的な洗剤と比べて洗剤使用量が約半分で済み、洗濯するごとに洗濯槽までキレイにしてくれる、まさにエコな洗濯洗剤だ。
「ソープナッツ」は、洗濯洗剤の代わりになる無患子(むくろじ)という木の実。使い方は簡単で、5〜6粒を小袋に入れて洗濯機に入れるだけ。洗濯後は干して繰り返し使うことができてエコである。
ソープナッツにはサポニンという天然の洗浄成分が含まれており、汚れを浮かせて落としてくれる。もともと自然界にある天然素材なので、もちろん生分解可能。ソープナッツをライフスタイルに取り入れて、「洗剤を使わない」という選択をしてみてはどうだろう。
“幸せなゾウ”と名づけられた「Happy Elephant(ハッピーエレファント)」は、持続可能な原料調達で得られた植物と酵素から生まれた次世代の洗剤だ。原料生産地のボルネオ島のゾウが幸せになれば、未来にきれいな環境が残せた証拠であるとして、「ボルネオ保全トラスト」の活動にも参加している。
植物油と糖を栄養に酵母が発酵で生み出した「ソホロ」と呼ばれる洗浄成分の力で、ウールやシルクなどのおしゃれ着にも使えて、衣類のダメージを防いでくれる。
取得認証 | RSPO認証 |
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その他 | 売上の1%がボルネオ保全トラストに使われる |
「SARAYA(サラヤ)」のヤシノミシリーズは、「人と地球にやさしい」をコンセプトにつくられている。肌にやさしく高い生分解性を持つヤシの実由来の洗浄成分を使用して、不要なものは一切入れないことにこだわった洗剤だ。少ない洗剤量でもしっかり汚れを落とすうえに繊維に残りにくい。サラヤの分析によると、すすぎ1回で洗浄成分の99%が除去できたそう。さらに、ニオイの原因菌まで除去してくれる、やさしさと頼もしさを持ち合わせている。
取得認証 | RSPO認証 |
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その他 | 売上の1%がボルネオ保全トラストに使われる |
「洗濯用洗剤 海へ…」は、海洋タンカーの事故処理研究から生まれた洗剤。研究開発に5年、検証に1年をかけてつくられた。洗浄成分だけでなく、洗剤に含まれるすべての原料が水と炭酸ガスに分解できることが証明されている。
この洗剤の最大の特徴は、驚くことにすすぎがいらないこと。独自の製法で、洗ったあとの汚れの再付着防止を実現しているため、少ない水と少ない時間で洗濯できる。水で希釈してスプレー容器に入れれば、家中の掃除にも使えてエコ。
肌にも地球にもやさしい暮らしを応援する会社「ライトウェーブ」が開発した「バジャン」は、合成洗剤でも石けん洗剤でもない、重曹を主成分にした洗剤。肌トラブルで悩む人の声をきっかけに、スキンケアの発想でつくられた。石けん成分を含む界面活性剤、蛍光剤、漂白剤、香料不使用の無添加仕立てでありながら、長年の研究による独自処方を採用。合成洗剤に負けない洗浄力を実現している。すすぎは1回でOK。
洗剤を溶かした水で、メダカが泳げるほど安全。そのほか水質汚濁試験などで品質を徹底管理している。2002年の発売以来、多くのリピーターに愛されている商品だ。
自然由来の商品でサステナブルな暮らしをサポートするナチュラルブランド「ecostore(エコストア)」。健康・安全・品質のすべての基準を満たす製品を生み出すことを目標に、世界中の信頼できる原料のみを調達して日々開発を行っている。すべての製品がクルエルティフリーなのも特徴だ。
ランドリーリキッドには植物由来の界面活性剤が使われている。蛍光増白剤や着色料、アルコールは無添加で、香りには天然のエッセンシャルオイルを使用。清涼感のあるユーカリの香りで、毎日の洗濯が楽しみになるに違いない。
取得認証 | クルエルティフリー(PETA)、ISO 9001品質管理、ISO 14001環境管理など |
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1979年創業の「ECO VER(エコベール)」は、環境問題に誠実に向き合うブランドだ。リン酸塩など環境を汚す物質を河川に流さず、自然を守ることに強いこだわりを持ち、「クリーン」というミッションのもと環境への取り組みを積極的に行っている。
植物由来の洗浄成分でつくられており、酵素・蛍光漂白剤・着色料無配合。英国アレルギー協会認定商品だから、子どもや赤ちゃんの洋服にも安心して使える。ボトルは100%再生プラスチックを使用。
取得認証 | リーピングバニー認証 |
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その他 | 国連の「グローバル500賞」「環境管理賞」等を受賞 |
「海をまもる洗剤」は、創業70年のクリーニング店から生まれた洗濯洗剤だ。誕生のきっかけは、洗剤が海にたどりついているという現実を目の当たりにしたこと。
「海をまもる洗剤」は、天然成分、植物由来の洗浄成分でできている。油汚れをナノレベルに細かい粒子にして水に閉じ込める独自技術によって、環境負荷の軽減、洗浄力、安全性、どれをとっても満足度の高い洗剤に仕上がった。また、お財布へのやさしさや使いやすさにもこだわった洗剤だ。希釈することで家中の掃除や食器洗いにも使用可能。
取得認証 | RSPO認証(申請中) |
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その他 | パームヤシ油の使用量を従来の約1/7にしている |
1982年に、環境にやさしい洗剤を提供したいという2人の科学者によって設立された「SODASAN(ソーダサン)」。製品に使われる原料は、できるだけオーガニックやフェアトレードなど独自の基準を満たしているものに限っており、確固たる理念のもと製品づくりを行っている。
「ランドリーリキッド」には、環境にやさしいショ糖界面活性剤やオーガニック原料などが配合されており、石油由来原料や遺伝子組み換え原料、合成香料などの不要なものは一切含まれていない。汚れをしっかり落としたうえで、柄物を色鮮やかに洗い上げるのが特徴だ。
取得認証 | ヴィーガン認証、Nature Care Product認証 |
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その他 | 製造に使う電力はグリーンエネルギー(風力・水力・太陽光)が使われている |
「メイド・イン・アースの液体せっけん」は、天然ココヤシの実を原料とした純石けん分のみの洗剤だ。皮膚科医と石けんのプロが2年かけて開発し、精製には化学薬剤を使わずに天然成分のみを使用。純度が高い汚れ落ち抜群の石けんに仕上がっている。
綿やシルクといった天然繊維の服を柔らかく洗えるだけでなく、哺乳びん・食器洗い、床掃除など、いろいろな用途に使うことができる。手荒れのしにくさにも定評があり、毎日ストレスなく使えそう。
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環境にやさしい洗濯洗剤を使うことはもちろんだが、洗濯そのものの方法を見直すことでより環境負荷を下げることができる。洗濯がよりサステナブルでエコなものになるように、できることから見直してみよう。
洗濯には水や電気などのエネルギーを使用しているため、必要な回数だけ洗濯するように心がけたい。寒い季節は汗をかきにくいため洗濯する洋服の数も減るので、洗濯回数を減らす、直接肌に触れていないものは何度か着てから洗濯するなどの工夫はすぐにでもできる。小さなシミは、部分洗いで対応するのも方法のひとつだ。
汗や果汁などの水溶性の汚れなら水だけで落ちる可能性も大いにあるので、必要に応じて適量の洗剤を使うこともあわせて意識しよう。
家事問屋
洗濯板
2,970円
※2022.11.24現在の価格です。
洗濯ネットは洗濯により繊維が傷むのを防いでくれる。洋服が長持ちするので、サステナブルファッションの観点からも、洗濯ネットを使用した洗濯がおすすめだ。マイクロファイバーの流出を防ぐネットやフィルターバッグを使うと、マイクロプラスチックが下水に流れ込むのを防げてさらに環境負荷を下げられる。
LastObject(ラストオブジェクト)
オーガニックコットン製 洗濯ネット
1,320円
※2023.12.13現在の価格です。
コットン100%のネットをずっと探していて、やっと出会いました。目が大きめなので良く洗えるし洗濯物を出し入れしやすくとてもいいです。 もう一回り大きいサイズと、丸い形のものもほしいです。
小さいサイズを買いました! 柔らかくて可愛らしいです。小さいものしか入りませんが、大切な肌着などを洗濯しています。
GUPPYFRIENDを使っていますが、小さいサイズがあったらいいのになとずっと思っていました!そしたら、こちらを見つけて、大小で購入。洗濯物のサイズに合わせて分けて使っていて、とても便利です!
GUPPYFRIEND
グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ
4,070円
※2023.12.13現在の価格です。
柔らかい手触りや香りづけなど、柔軟剤にメリットを感じて日常的に使用している人もいるだろう。しかし、環境にやさしい洗濯洗剤には、柔軟剤を使用しなくても十分に消臭し柔らかく仕上げてくれるものが多くある。柔軟剤の主な成分は界面活性剤だ。柔軟剤は洗濯において必ず使わなければいけないものではない。スペシャルなお手入れが必要なときに、必要に応じて使用するように心がけてみては。
日常的に繰り返す洗濯だからこそ、少しでも環境に配慮して行いたい。そのためのアクションとしてできることは、環境にやさしい洗濯洗剤を使うこと。「エコな洗剤は高価で物足りない」というイメージがあるかもしれないが、使いやすく工夫されているものがたくさんある。
「洗剤を変える」というアクションひとつでも、一人ひとりが意識して積み重ねると大きな変化をもたらす。お気に入りの洗濯洗剤を見つけて、洗濯を地球にとっても私たちにとってもハッピーなものにしていこう。
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