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生活をしていくうえで掃除や洗濯は欠かせない。日常的に使う洗剤だからこそ、環境にも肌にも配慮したオーガニック由来のものを選んでみてはいかがだろう。オーガニック洗剤の選び方とおすすめのブランド、アイテムをご紹介。
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エレミニスト編集部
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有機栽培(オーガニック)とは、化学合成肥料や農薬、遺伝子組換え技術を利用せず、環境への負荷をできる限り低減する農業生産方法のこと。そしてオーガニック洗剤とは、そのように栽培された植物を原料に含む洗剤のことを指す。
また、石油由来成分や化学合成成分の使用はゼロ、もしくは限りなく減らし、自然由来の成分をメインに使用しているアイテムが多い。一般的な洗剤に使われている石油由来の合成界面活性剤をはじめ、合成香料や合成着色料、合成保存料などを使わないといった点でも、肌と環境へのダメージが少ない点が魅力だ。
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一般的な洗剤に使われている石油由来の合成界面活性剤は、洗浄力の高さから必要以上に肌の潤いを除去し、肌のバリア機能を低下させるリスクが懸念される。また、抗菌作用により肌を健やかな状態に保つために必要な常在菌に影響を及ぼしたり、化学物質に弱い人にとっては肌荒れやアレルギーの原因になることもあると言われている(※1)。
先述の通り、オーガニック洗剤は自然由来の界面活性剤を使用しており、敏感肌の人やデリケートな赤ちゃんの肌にもやさしく、安心して使用できることがメリットだ。さらに排水後の生分解性の高さなどから環境への負荷も少ないため、水質汚染などの影響も軽減できる、エコな洗剤といえる。
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まずは成分表をチェックし、オーガニック由来の成分が含まれているか確認しよう。近年のニーズの高まりから、”オーガニック”を謳うアイテムは数多く登場している。なかには自然由来成分をメインに使用しつつも、オーガニック由来成分を含まない洗剤も存在する。それらは厳密には”ナチュラル洗剤”と呼ばれる。
オーガニック由来成分が含まれているからといって、そのほかに石油由来成分や化学合成成分がたっぷり使われていては安心できない。”オーガニック洗剤”といっても配合はさまざま。化学合成成分が使用されていない、もしくはできる限り抑えたものを選ぼう。
ブランドや企業として環境にどれだけ配慮しているか、その姿勢や想いを知ることも、選ぶときのポイントの一つとしておすすめ。原材料の生産から製品の開発、製造過程に至るまで、どこまでこだわってつくられた製品なのか。詳しく知ることでその商品のファンになり、購買することで応援につながる。
オーガニック認証マークも一つの指標になる。アメリカ農務省が管轄する認証制度「USDAオーガニック認証」やオーガニックコスメの品質を認証する国際的な制度「コスモス認証(COSMOS認証)」など、その種類はさまざま。それぞれの特徴を知り、商品を選択するときの参考にして。
1977年にドイツで生まれた「SONETT(ソネット)」と1982年にドイツ北西部のウプレンゲンで誕生した「SODASAN(ソーダサン)」。いずれも40年以上の歴史を持ち、長年ヨーロッパで愛されているオーガニック洗剤ブランドだ。
製品の安全性へのこだわりはもちろん、原料の調達方法から製造過程に至るまで、環境に配慮したサステナブルな取り組みをおこなっている。オーガニック洗剤を紹介するうえで外せない、おすすめのこちらの2ブランド。ここではその特徴を解説していこう。
「ソネット」と「ソーダサン」ともに、製品には石油由来の合成界面活性剤を含まないほか、合成香料や合成着色剤、合成保存料、蛍光増白剤を一切使用していない。石油由来の原材料など、環境や人に害を及ぼす原料を使用しないというこだわりが魅力。
「ソネット」は植物オイルやエッセンシャルオイルに有機栽培された植物由来成分を使用。できる限り、バイオダイナミック農法やオーガニック栽培の認定を受けた原材料を使用している。
「ソーダサン」もできる限り有機栽培された再生可能な植物由来の原料を使用。ヨーロッパで栽培が不可能な原材料はフェアトレードであるかどうかなど、一定の基準を満たしているもののみを使用。その基準は、①化学肥料や殺虫剤を使わない管理された有機栽培であること、②フェアトレード製品であること、③森林を破壊する焼畑方式ではなく熱帯雨林を責任を持って使用していること、の3つ。
どちらも植物性洗浄物質(界面活性剤)を使用。「ソーダサン」の洗剤で使用している”ショ糖界面活性剤”はココナッツ油とショ糖またはスターチからつくられ、生分解性が高いのがメリット。
「ソネット」は、遺伝子組み換え成分の不使用や動物実験の禁止などの厳しい基準を設け、高品質かつサステナブルな製品に与えられる「NCP認証」を取得。そのほか原料から製造工程まで一切動物原料を使用しない化粧品などに与えられる「Vegan認証」、エコロジカルな商品規格、会社の社会と環境への配慮、経済行為の3つにおいて透明性の高い環境を大切にする組織に与えられる「CSE認証」を取得。
「ソーダサン」は、世界130ヶ国以上でオーガニック認証の審査等を行っているフランスの国際有機認定機関「エコサート(ECOCERT)認定」や環境へのやさしさを示す「エコギャランティ(ECO GARANTIE)認定」を受け、高品質を保証している。
「ソネット」は、製品の製造に水力発電やグリーンエネルギーなどの自然エネルギーのみを使用。「ソーダサン」もグリーンエネルギーを使用するほか、製造工程で使われるすべての素材(パッケージ素材を除く)を製品へ加工する取り組みやリサイクルボトルの使用など、さまざまな環境への配慮を行なっている。
「ソネット」「ソーダサン」ともに合成香料不使用。「ソネット」はオーガニック栽培植物の最高品質のアロマを使用するなど、心地よい天然由来の香りを楽しむことができる。
「SONETT」は、1960年代に起きた石油系合成洗剤による水質汚染問題に心を痛めた科学者により1977年にドイツで設立された。グリーンエネルギーと水力エネルギープラントから直接供給される電力のみで製造しており、洗剤には原材料に植物とミネラルのみを使用。石油由来の原料や合成物質など、健康に悪影響を与える成分を一切使用していない。
アイテムは、洗濯用・食器用洗剤からトイレ用、浴室用、ガラス用、さらにはボディソープやハンドソープまで幅広く取り揃える。そのなかから、おすすめの6アイテムをピックアップ。
綿、麻、化繊すべての衣類に使用できるナチュラルウォッシュリキッドは、100%天然原料を使用しているため、排水後、微生物により完全に分解される。合成香料、合成着色剤、合成保存料、酵素、リン酸塩および蛍光増白剤を一切含んでおらず、敏感肌の人や赤ちゃん用の衣類の洗濯にも安心して使用できる。
洗濯時のすすぎの水に加える衣類用リンス。衣類に残っているアルカリ成分を中和してきれいに流し、衣類の黄ばみとニオイを防いでくれる。100%天然原料を使用しており、排水後は微生物により完全に分解され自然に還る。
繊維をやわらかくなめらかな風合いに仕上げてくれるので、繰り返しの洗濯で固くなりやすいウールやシルクのすすぎにもおすすめ。
100%天然成分で、肌の弱い人や洗剤による手荒れに悩む敏感肌の人も安心して使用できるナチュラルウォッシュアップリキッド。少量でしっかりと泡立ち、油汚れもスッキリ落とす。有機レモングラスのフレッシュな香りで、お皿洗いの時間を心地よいものにしてくれるはず。食器のほか、野菜や果物洗いにも使用可能。
あらゆる食器洗い機に対応したナチュラルディッシュウォッシャー。酵素、リン酸塩など塩素処理をした漂白剤を使用しておらず、天然成分でできているため、使用後は生分解し自然に還る。
しつこい汚れを効果的に落とし、石けんカスも臭いも残らないのが嬉しいポイント。漆器やアルミ食器、クリスタルグラスなど、一部使用不可のものもあるため注意しよう。
キッチン周りや床、車の洗車など、住まいのあらゆる場所の掃除にマルチに使用できるクリーナー。石油由来の合成界面活性剤、合成香料、着色料を一切使用していないため、赤ちゃんや小さい子どもがいるお家でも安心して使用できる。オレンジとレモングラスのフレッシュな香りで、掃除中もさわやかな気分に。
窓ガラスや鏡、ガラステーブル、車の窓ガラスなどのガラス製品に使用できるガラス用クリーナー。拭き跡が残らないため2度拭き不要で、手軽で効率的に掃除ができる。ラベンダー、レモングラスのエッセンシャルオイル配合で、フレッシュな香りも楽しめる。
1982年にドイツで誕生した「SODASAN」は、原料の栽培から使用後に自然に戻るまで、人にも環境にもやさしい洗剤づくりを目指している。オーガニック栽培の植物などを厳選して使用し、国際的なオーガニック製品認定機関「エコサート(ECOCERT)」や環境にやさしい製品につけられるベルギーの認証「エコギャランティ(ECO GARANTIE)」を取得。
2014年からすべての商品にリサイクルボトルを使用し、大幅なCO2削減を行っているほか、太陽光システムを利用した電力やグリーンエネルギーの購入など、自社をあげて環境への配慮を徹底している。ここでは数ある洗剤の中からおすすめの6アイテムを紹介。
硬水やドラム式にも使用可能のランドリーリキッド。石油系化学原料や酵素、合成香料、シリコンなどを一切使用していない天然由来の洗剤は、白物や色柄物問わず、繊維を守りながらやさしく洗ってくれる。ライムのエッセンシャルオイル入りで香りも爽やか。
しみ抜きや、ひどく汚れた部分の予洗いに適した部分洗い用の液体石けん。ヘッドにブラシが付いているので塗りやすく、洗剤の量を調節しやすい。全成分の20%に有機栽培原材料を使用。小ぶりなので旅行時の携帯用洗濯洗剤としてもおすすめ。
植物由来成分でできており、敏感肌や手荒れに悩む人も安心して使用できる食器用洗剤。合成香料、合成着色料、合成保存料は一切使用していない。少量で泡立ち、しつこい油汚れや食器のくもりまでしっかりと落とし、洗い上がりもべたつき感がない。泡切れも良く、さっとすすげるので水の使用量を抑えられるのも嬉しいポイント。
食洗機用の粉末洗剤。少量でしつこい油汚れまですっきり落とし、洗い上がりもべたつき感を残さない。植物由来成分使用で生分解性が高く、環境にやさしい。酵素やリン酸塩、塩素を一切使用していないため、たとえ少量の洗剤がお皿に残留したとしても安心だ。
こちらも自然由来成分でできており、合成香料や合成着色料、合成保存料などは不使用。ペットや小さい子どもがいる家庭でも安心して使用できる。クエン酸配合で頑固な便器の汚れをしっかり落とし、トイレの嫌な臭いを防いでくれる。ふちまで洗剤が届くよう、斜めに傾斜したボトルを採用。さわやかなシトラスの香り。
自然由来成分でできたバスルームクリーナー。泡立ちがよく、汚れた面にさっと吹きかけて洗い流すだけで掃除できる手軽さが魅力。浴槽や蛇口、タイルなどに付着したしつこい水あかや石けんカスをしっかり落としてくれる。傷つきやすいプラスチック面の洗浄にも使用可能。レモングラスの香りがお風呂場をさわやかに包んでくれる。
「ソネット」「ソーダサン」の他におすすめしたいオーガニック洗剤をご紹介。ブランドの背景や特徴を交えながら解説していこう。
ドイツ発の家庭用洗剤メーカー「AlmaWin」。有機農法専門家で構成される独立機関「BioForum」で定められた厳しい品質基準をクリアし、さらにドイツの大学や研究機関の皮膚パッチテストに合格した洗剤をつくっている。
ヒマラヤ山脈に自生する自然の木の実であるソープナッツから抽出した自然の洗浄成分”サポニン”の力が活かされた、100%植物性の洗濯用洗剤。衣服の繊維1本1本をしなやかに守る”小麦プロテイン”を配合し、洗い上がりはやわらか。蛍光漂白剤不使用で色柄物にも安心して使える。
1995年にオーガニックコットン製品の専門ブランドとして誕生した「メイド・イン・アース」。液体せっけんの原料は、天然のココヤシの実。精製には化学薬剤を使わず、水蒸気や白土、天然活性炭などの天然成分のみを使用している。丸2日をかけて不純物を除去し、高い純度を実現することで肌にも衣類にもやさしいのが特徴。
ココヤシのオイルを石鹸に仕上げる製造過程でリンス効果が高い天然のグリセリンが生まれるため、柔軟剤を使用しなくても衣類がふんわりと洗い上がる。衣類のほかに、調理器具や哺乳びんなどの食器洗い、床や窓ガラスの掃除など、マルチに使用可能。
日本生まれの「LA LESSIVE AU BAMBOU」のランドリーソープは100%天然由来。森林破壊の原因となっている日本の放置竹林から伐採した国産の竹を用いて製造している。
竹炭のミネラル成分と純石けんを配合した弱アルカリ性の洗剤は、衣類汚れの原因となる皮脂や油に効果的。生分解さえ必要としない無機物を主成分としているため、製造工程から排水まで、環境負荷を最小限に抑えている点も魅力。
天然精油の青森ヒバ精油を使用した、「がんこ本舗」の洗濯用洗剤。100%植物由来の洗浄成分で、合成香料や漂白剤、防腐剤などの添加物は一切使用していない。界面活性剤の使用は一般的な洗剤の約7分の1に抑えられている。
さらに、海へ...Stepシリーズは、国際的な試験法であるDOC試験法において、21日間で全成分の70%が生分解されると証明されている。柔軟剤なしでもふんわり仕上がる。
体によいイメージのある”オーガニック”。その本来のメリットは、”農業生産による環境への負荷をできる限り低減する”という点にある(※2)。
服も食器もお風呂もトイレも床も、生活していればどうしても汚れてしまう。掃除も洗濯も気持ちよく暮らしていくうえでは欠かせないものだから、少しでも環境にやさしく、結果的に体にもやさしいオーガニック洗剤を選んでみてはいかがろう。
ここで紹介したアイテムは、洗剤による環境負荷を懸念し、理念を持って製造・販売しているブランドのものばかり。数多あるアイテムの中でどれを選んだらいいか迷うときは、ブランドの想いに共感し、応援の意味も込めて購入してみるのもおすすめだ。
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