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カリフォルニア州で、動物由来の毛皮取引を禁止する法律が施行された。この禁止法は、新しい毛皮製品の生産と販売を州全体で違法とするもので、アメリカで初となる。同州はこれを追い風に、残虐な毛皮産業と立ち向かう姿勢をさらに強める。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
アメリカ・カリフォルニア州で2023年1月1日より、動物由来の毛皮製品の生産と販売を禁止する法律が施行された。このような法律はアメリカで初となる。
州内の実店舗やオンラインショップで、動物由来の毛皮が使われた新品の衣類やハンドバッグ、靴などの生産、販売は違法となる。違反者は、1回目なら500ドル(約66,000円)、2回目は750ドル(約10万円)、それ以上は1,000ドル(約13万円)の罰金が科される。
この法律では、非営利のリサイクルショップ、中古品店、質屋で販売される使用済みの毛皮製品は対象外となる。同様に、宗教目的またはネイティブ アメリカンの部族が
使用する毛皮製品も免除となり、合法的に狩猟免許証を取得して取引された毛皮は引き続き許可されるという。また、すでに購入された毛皮を着用することは合法となる。
動物保護団体、ヒューメイン・ソサエティ・インターナショナルのカリフォルニア州ディレクターであるジェニー・バーグ氏は、以下のように話す。
「今回の禁止法で、残虐な毛皮産業に立ち向かおうとしているカリフォルニア州に感謝している。人道的かつ環境的に持続可能な代替ファッションが存在するのに、約1億頭の動物がいまだに工場で飼育され、毛皮コート、帽子、その他の製品のために殺されている。その事実はもはや時代遅れだ」
この法案を提案したフリードマン議員は「2023年は、有権者の価値を真に反映する法律が施行され、カリフォルニア州にとって歴史的な前進となる年だ」とコメントを述べている。
米国経済センサスの2017年のデータによると、アメリカでの毛皮衣料品の売上高は5億7400万ドルにおよぶ。もっとも売上が高かったのが、カリフォルニア州(1億2900万ドル)で、2位のニューヨーク州(1億1500万ドル)と合わせると、全米における毛皮製品の売上の43%を占めている。
今回の法案は2019年に可決されており、2023年1月1日の発効にあわせて、小売店ではさまざまな対応が行われていた。例えば、ケリング、サックス・フィフス・アベニューなどは、2022年末までに毛皮製品の撤廃を約束。百貨店のニーマン・マーカスは2023年3月までに毛皮製品の廃止を予定している。
今回のカリフォルニア州のように、毛皮製品を廃止する「ファーフリー」の動きは世界中に広がっているようだ。
アメリカでは、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ウェストハリウッドなど、12の都市で同様の法案が可決されている。
世界に目を向けると、直近では2021年にイスラエルが毛皮販売を禁止した。ヨーロッパでは、イタリア、アイルランドなど、20か国近くがすでに毛皮生産を禁止している。
ヒューメインソサエティインターナショナルなど複数の団体は、欧州全体での毛皮の生産や販売の禁止を求める「Fur-Free Europe(ファーフリーヨーロッパ)」の署名活動を行っており、すでに100万人分の署名が集まっているという。
2023年以降は、こうした動物や環境に配慮したエシカルファッションへのシフトがさらに加速することは間違いないだろう。
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