アイルランドが毛皮生産を禁止 ヨーロッパで15ヶ国目

アイルランドで毛皮禁止

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アイルランドで、2022年より毛皮の生産が禁止される。この禁止法は、新たに毛皮工場を設立することを禁止するもので、政党や市民から高い支持を得ている。アイルランド政府は、国内の既存工場に補償制度を導入する予定だ。

小原 ゆゆ (Yuyu Obara)

ライター / インターン

上智大学総合グローバル学部在学中。 エストニアへの渡航をきっかけに、ヨーロッパの持続可能なライフスタイルに関心を持つ。 趣味は旅行、おかし作り、映画鑑賞。

2021.12.09
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アイルランドでの毛皮生産は2021年シーズンで終了

アイルランドで毛皮禁止

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アイルランド議会で、毛皮の生産を禁止する法案が承認された。2022年にはこの禁止令が発効されるため、毛皮生産業者は2021年のシーズンをもって生産を打ち切ることが求められる。

今回承認された毛皮生産禁止法は、猫や犬、チンチラ、キツネ、ミンク、イタチなどの動物を対象に、新たに毛皮工場を設立することを違法とするもの。毛皮の生産を禁止する動きはヨーロッパを中心に広がっており、このような禁止法を制定する国として、アイルランドはヨーロッパで15ヶ国目となる。

この法案は、統一アイルランド党を除きすべての政党に支持されており、市民の約8割が賛成する調査結果が出ている。同国のマイケル・クリード農業・食糧・海洋大臣は、「毛皮の生産に関する議論は、国際的にも活発に行われている。この分野に対する社会の期待が変化していることは明らか」と述べている。

今回の法案の承認に伴い、アイルランド政府は毛皮生産業者に向けた補償を発表。2014年以降、アイルランドで毛皮を生産している工場はわずか3つだが、いずれも年間11万枚以上の毛皮を生産する大規模な工場だ。政府の補償金は400万ユーロから800万ユーロ(約5億円〜10億円)に上るとみられる。

ファッション業界にも広がる毛皮禁止の動き

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毛皮生産工場のなかには、狭い空間に動物を大量に収容し、劣悪な環境で飼育しているケースがあるという。さらに残忍な方法で毛皮を剥ぐことがあり、毛皮産業はアニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から問題視されてきた。

そして毛皮生産に対する世界的な批判が高まり、ヨーロッパを中心に規制や禁止の動きが広がっている。例えば近年、エストニア、フランス、ハンガリーでミンクの養殖が禁止されている。

さらにファッション業界でも同様の動きがある。シャネル、プラダ、グッチなど、これまで毛皮を使い業界を牽引してきたハイブランドがこぞって毛皮の使用禁止を表明。フェイクファーを採用する動きや、動物たちを傷つけず、毛皮を培養する技術を開発する企業もみられる。

ヨーロッパ各国では、現在の毛皮生産禁止に加え、輸入についても禁止することが必要であると指摘されている。だが、動物たちが傷つけられることなくファッションを楽しめる世界の実現に、確実に向かっていると言えるだろう。

※掲載している情報は、2021年12月9日時点のものです。

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