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イタリアを代表するラグジュアリーブランド「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)」が、2022年以降のコレクションにおいて、毛皮の使用を禁止すると発表した。環境負荷の少ないエコファーや持続可能な代替素材に切り替える方針を示している。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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かつてはラグジュアリーの代名詞であった毛皮製品が、一流ブランドの店頭やコレクションからまたひとつ姿を消すこととなった。
イタリアを代表する高級ブランド「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)」は2022年2月、毛皮ファッションへの終止符を宣言。2022年以降のすべてのコレクションにおいて、毛皮を使用しないことを発表した。
同ブランドでは、サプライチェーンで毛皮加工職人との協働を続けながら、持続可能なエコファーの代替品やリサイクル素材を取り入れる展望を示している。
ファッション業界では動物愛護の観点から、ファーフリーの動きが進んでいる。2016年にアルマーニが毛皮の使用廃止を表明したことを皮切りに、バーバリー、プラダ、コーチといった多数のトップブランドが脱毛皮を宣言。
2021年9月には、グッチ、イヴ・サンローラン、バレンシアガなどのブランドを傘下とするグローバルラグジュアリーグループのケリングが、2022年秋コレクションから傘下の全ブランドで毛皮の使用廃止を発表。2022年1月末には、フランス高級アパレルのモンクレールが、2023年秋冬コレクションまでに毛皮の使用を段階的に廃止すると明らかにした。
また、2021年にはイタリアやアイルランドが毛皮生産を禁止。ヨーロッパを中心に、毛皮生産を排除する法律が制定される動きが加速していることも、ファッション業界が毛皮生産廃止へシフトしている背景としてあるだろう。
ラグジュアリーの定義は時代とともに変化してきた。相次ぐファッション業界のファーフリー宣言は、「毛皮は時代遅れ」という消費者の価値観を反映しているだろう。
また、消費者のみならず投資家や株主も、アニマルウェルフェアへの対応を重視してきている。そのため各ブランドにとって、経営戦略やブランド軸にサステナビリティの視点を考慮することは、企業の存続に不可欠になりつつある。
環境負荷が高いと揶揄されるファッション業界だが、名だたる高級ブランドのファーフリーの表明は、時代の流れに沿った決断と言えるだろう。
最近は技術の進歩で、リアルファーと遜色ないほど高品質でお手頃なエコファーが登場している。本革の代替となる、果物や菌糸体を使用したビーガンレザーの開発や実用化も進む。
未来のファッション業界には、エシカルな技術革新でアニマルフリーを実現する高い創造性が期待されるだろう。
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