ヘアケアブランドの枠を超えて O’right(オーライト)が目指す「グリーン革命」とは

台湾発のヘアケアブランド「O’rigt(オーライト)」の世界初ゼロカーボンシャンプー

世界初のゼロカーボンシャンプーで注目を集める、台湾生まれの「O’rigt(オーライト)」。強い信念を持って“地球に、社会に、人に、やさしい”ブランドとして、「グリーン革命」を明確な企業ミッションに打ち出している。オーライトの細部にまでわたる徹底したアクションを紹介しよう。

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2023.01.31
Promotion: O’right

台湾発のオーライトは「グリーン革命」ブランド

台湾発ヘアケアブランド「O’rigt(オーライト)」の本社ビル

オーライトの社内には、SDGsの目標が同社のシャンプーボトル型にディスプレイされている。

「O’right(オーライト)」はヘアケアを中心とした製品を展開しているビューティブランドだ。2002年に台湾で誕生して以来、台湾国内にあるヘアサロンの3分の1にあたる約7,000軒以上で導入され、知名度も高く、現在では日本を含め世界42か国で展開している。

そんなオーライトは、ヘアケアブランドという言葉だけでは説明しきれない魅力にあふれている。そのひとつが、世界初のゼロカーボンシャンプーの発売をはじめ、2020年までに全製品、工場、組織のカーボンニュートラルを達成していることだ。そして同ブランドでは「ゼロカーボンサイクルの実現」を目指している。

オーライトが本格的にグリーンブランドへと舵を切ったのは2006年のこと。当時はいまほど気候危機が叫ばれていなかったが、いち早くよりよい未来のために世界を変える「グリーン革命」を明確なミッションとして打ち出した。

行きついたのは「自然も大切なお客様」という考え

オーライトが現在のようなグリーンブランドの方針を打ち出すことになったのは、創業者のスティーブン・コー氏自身の体調がきっかけだった。さまざまなストレスが重なったこともあり、咳が止まず体調がすぐれない状態が続いた。その原因について調べたところ、現代の生活には、かつては無かったであろうケミカルな成分であふれていることに気づいたという。

そのため、自分やまわりの人の健康を守るために、そのような成分をできるだけ排除することに。さらに、オーライトが他ブランドと大きく違うこととして、オーライトの「グリーンプロジェクト」のプロジェクトリーダーを務める酒井麻里子氏は、人にとっていいものをつくるだけでなく、製品が使われた先も考えていることを挙げている。

「スティーブンは、“いいものづくり”だけでは終わらず、その製品が使われた後のことも考えています。私たちのお客様は人だけでない。自然や地球も自分たちのお客様なんだという考えに行きついたそうです」

台湾発ヘアケアブランド「O’rigt(オーライト)」の創業者、スティーブン

オーライト創業者のスティーブン・コー氏。ブランド創業20周年には、気候温暖化の現状について調べるため自ら北極を訪れ、COP27(気候変動枠組条約締約国会議)でその内容を発表している。

だからこそ、オーライトは原料の調達から製造、輸送、販売、廃棄まで、製品の一生のサイクルを考慮し、自然環境に負担のないよう最大限の配慮を行っているのだ。

自然界では多くのものが別のものに美しく生まれ変わっていくことから、「万物がリサイクルできる」という信念をもち、あらゆるものをリサイクルするという企業精神をもとに製品開発を行っている。

また、自然界をとりまく緊急性の高い問題として、気候変動にも着目。今から15年以上も前に「サステナビリティは時間の問題だ」と発言しているほど、早くから自然環境に関して危機感を抱いていたのが、スティーブン氏だった。

CO2の排出量削減を行い、地球というフィールドを大切にすることは、あらゆることの基本となるもの。オーライトが進める「グリーン革命」の柱として、ゼロカーボンCO2排出量ゼロ)を大きな目標として掲げているのは、そんな理由がある。

「エネルギーの低炭素化に向けた取り組みだけではなく、CO2ゼロの“環境ショウゲキゼロ”に達することができれば、自然生態系のバランスを保ちながら永久に生存できると考えています」(酒井氏、以下同じ)

では、オーライトが行っている「グリーン革命」の具体的な取り組みを紹介しよう。

グリーン革命1 グリーンなプロダクト「ゼロカーボンシャンプー」の開発

台湾発のヘアケアブランド「O’rigt(オーライト)」のシャンプー

ゼロカーボンシャンプーを含むカフェインシリーズは、オーライトを代表するライン。

オーライトが注目されるきっかけとなったのが、2011年に発表した世界初のゼロカーボンシャンプーだ。これは、原料の調達から製造、輸送、販売、廃棄のすべての工程において、CO2排出量ゼロを実現した革命的な製品だ。

着目したのは、コーヒーのかすや殻。

「台湾ではコーヒーがよく飲まれています。オーライトのオフィスでもコーヒーかすがたくさん捨てられていることに気づき、それがきっかけとなって、廃棄物をゼロにするコンセプトのもと、この製品の開発が行われました」

シリーズ内の一部で使われている「ツリーインザボトル」は、コーヒーの殻にポリ乳酸(PLA)を混ぜ合わせたもので、100%生分解性染料を加えていないため、ボトルの茶色は100%コーヒーの色だという。

使用済みのボトルを土に埋めると、約1年間で分解される。ボトルの底にはコーヒーの種が入れられているため、ボトルが分解したら、コーヒーの木が育つという楽しみもある。

キャップには台湾で伐採された竹をリサイクルして使用し、コーヒーの殻から抽出したカフェインエキス※をシャンプーの成分として配合。コーヒーの廃棄物をあますところなく使い、使い終わったら再び新たな製品の生産に活用する「ゆりかごからゆりかごまで(Cradle to Cradle)を完全に再現するシャンプーが生まれた。

※アラビアコーヒーノキ殻エキス:コーヒー豆の殻から抽出したカフェインエキスで、毛髪にハリ、コシを与え、ダメージヘアをやさしく整える。

日本では、地域の自治体のルールに沿ってリサイクルする必要があるが、台湾では使用後も繰り返し製品として生まれ変わっていく。

世界初ゼロカーボンシャンプーの使い心地は? 環境にも髪にもやさしい「O’right(オーライト)」

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100%リサイクルできるボトルも開発

台湾発のヘアケアブランド「O’rigt(オーライト)」の100%リサイクルできるシャンプーボトル

より耐久性を求めて生まれた100%リサイクル可能なシャンプーボトル。リサイクル化が難しいポンプヘッドも妥協せず、リサイクル可能なものを開発した。

また、2016年には100%リサイクル可能なシャンプーボトルの開発にも成功している。原料は、再生プラスティック(PCR)だ。

また、シャンプーボトルに欠かせないポンプヘッドは、力が加わることから耐久性が求められるのだが、素材を単一化してリサイクルを可能にするのがなかなか難しいという実情があった。

しかし、そんなポンプヘッドについてもパッケージ会社に呼びかけて、PCRプラスティックを使用したポンプヘッドの実現にこぎつけたという。これにより、従来の製品に比べて約80%もCO2排出量を削減できたそうだ。

このほか、生態系に影響を与えない自然由来の原料、本来なら捨てられていた農業廃棄物を積極的に使用し、100%現地調達を行うなど、製品の製造を通して、CO2削減と廃棄物削減のさまざまな取り組みを行っている。

グリーン革命2 環境に配慮した台湾本社「グリーンビル」

台湾発のヘアケアブランド「O’rigt(オーライト)」の本社ビル

グリーンビルのなかには、削減できたCO2量を数値として表示するパネルが設置されていて、環境について意識できる工夫があちこちにある。

オーライトのモットーは、徹底した環境貢献活動を行うこと。原料やパッケージが環境にいいものを選ぶことはもちろん、それらを考案して製造する過程、つまり社員のいるオフィスや工場などでも、環境に貢献できるような仕組みや設備が整えられている。これを象徴するのが、台湾本社の通称「グリーンビル」だ。

ビルが建てられる前と同じように、動植物が生息できる環境づくりに細心の注意を払い、土壌、自然環境、気候条件、朝晩の日照角度や風向きなど、ありとあらゆるものを観察・調査。約60本以上の樹木と約10,000本以上の植物に囲まれたグリーンビルは、オーライトの企業ビジョンをそのまま形にした建物と言える。

オーライトの環境保全への意識をよく表したユニークなエピソードがある。「グリーンビルを施工した当初、現地で1匹のカエルを見つけました。そのカエルは、おそらくビルを建設する前からそこに生息していたのでしょう。そこで、ビルができた後も、このカエルが以前と変わらずに生きていけるような環境づくりに配慮していきました」

ビルの周辺に植えられている植物はもともと生息していたものを活かし、自然と共存する環境ができあがった。そんなグリーンビルや工場での細部にわたる特長をいくつか紹介しよう。

風力・太陽光での自家発電

台湾発ヘアケアブランド「O’rigt(オーライト)」の本社ビルにある太陽光パネル

グリーンビルの屋上には、風力発電の風車と太陽光発電のパネルが設置されている。

グリーンビルの屋上には、風力発電の風車と太陽光パネルを設置。グリーンビルと工場で使用するエネルギーは、すべて自家発電を行っている。また停電した際は、周辺の地域にその電力を供給してサポートしているという。

オーライトでは、環境保護とゼロカーボン社会を実現するために、2025年までに100%再生可能エネルギーで全製品の製造を行う目標を掲げている。

グリーンビルとは別の「グリーンエネルギー製造センター」には、再生可能エネルギー生産のための部屋も設け、工場ではCO2の使用量を大幅に削減できる「PCW冷却装置」を設置するなど、新たな取り組みができないか日々研究が行われている。

雨水・排水の再利用

台湾発ヘアケアブランド「O’rigt(オーライト)」の本社ビル

グリーンビルには、カエルなどの生物が生息できるように池が設けられている。敷地内には600匹近くのカエルが生息しているのだそう。

多方面から環境保護を行うにあたり、水資源保護も忘れてはいけない。オーライトでは水資源を最大限に活用するために「循環型再生利用システム」を構築。山から水を引き、雨水を集め、浄化後に製品製造のために使用し、その後に排出される水は再び回収して再利用している。

また社内にある水道には足踏み式で開閉する仕組みを採用。蛇口をひねる間に流れるわずかな水も極力セーブできるよう、社員から生まれたアイデアを取り入れている。

冷房をほとんど使わない低炭素オフィス

台湾発ヘアケアブランド「O’rigt(オーライト)」の低炭素ビル

ガラス張りの窓は、直射日光が差し込みにくい窪んだ形にデザインしている。

熱帯から亜熱帯気候の台湾では、年間を通して暑い日が続く。そこでグリーンビルを建設する際、1年をかけて朝晩の日照角度と風向きを観察。さらに周辺地域のことなども考慮し、土地選びだけに2年の歳月をかけ、ようやく完成したという。

「グリーンビルには植物でできた“緑のカーテン”があり、直接太陽の光が差し込まないように窓ガラスの形にまでこだわりました。その甲斐があって、冷房を使うのは年に20日程度。暑い台湾でこれだけ冷房を使わずに済むのは、かなり奇跡的なことと言われています」

年間を通して涼しく快適な環境にあるため、電気の使用量が少なく、CO2の排出を最小限に抑えている。

建物の温度を下げるスカイ農場

台湾発ヘアケアブランド「O’rigt(オーライト)」の本社ビル屋上の太陽光パネル

玉石と植栽が行われた屋上。

グリーンビルの屋上には、玉石が敷き詰められ緑が植えられている。自然降温設計によって、効率的に建物の温度を下げ、室内温度を一定に保ち、冷房使用によるエネルギー消費を減らしている。

オーライトでは、企業で使用するエネルギー使用を管理し、継続的な改善を図ることを目的とした国際認証「ISO50001」をはじめ、イギリスのカーボンニュートラル認証、カーボンフットプリント認証など、自然環境に関する数多くの認証を取得している。

グリーン革命3 ゼロカーボンを美容業界に広げる取り組み

ヘアケアブランドのオーライト(O’right )が進める「グリーンプロジェクト」

私たちがいますぐに取り組むべき課題である気候変動に対して、「グリーン革命」を目指すオーライト。その強い信念は、美容業界にもグリーンイノベーションをもたらすという大きなビジョンにつながっている。

この信念に共感したのがロレッタなどのヘアケアブランドを多数展開し、クリーンビューティーカンパニーを目指す日本の「b-ex」だ。オーライトとb-exは2021年に資本業務提携。ヘアサロンのゼロカーボンを目標とする「グリーンプロジェクト」に取り組んでいる。

これは、オーライトの考えに共感・賛同するヘアサロンに、ゼロカーボンを推進するものだ。ヘアサロンが取り組むべき24の項目を「グリーンスコア」として定め、積極的な活動を促している。

「ヘアサロンに行った調査で、多くの美容師の方が環境への意識を持っているものの、『何をしたらいいかわからない』と答えていることがわかりました。それに、ケミカルな薬剤を多く扱うサロンでは、環境問題に対する自らの矛盾を感じ、環境活動に積極的な取り組みができない傾向があります」

そんなヘアサロンならではの課題が見えたことから、できることをスコアとして見える化する本プロジェクトが生まれた。「このグリーンプロジェクトを通して、業界の“ゼロカーボン化”を目標に、1店舗でも多くのサロンが最初の一歩を踏みだせるよう後押ししたい」と、酒井氏は話している。

このほか、グリーンセミナーなどの啓もう活動を通じて、ヘアサロンを起点に顧客までグリーン革命の浸透を図っている。

ヘアサロンからゼロカーボンを目指す O’right(オーライト)が仕掛ける「グリーンプロジェクト」とは

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世界初のゼロカーボンシャンプーを生み出したオーライトは、モノづくりに限らず、徹底した環境活動を行うことで、自社だけでなく美容業界全体にグリーン革命を起こそうとしている。

「台湾の小さな企業でも、ゼロカーボンのような取り組みができるのだから、世界の多くの企業がこれに続いてほしい」と、スティーブン氏は語っているそうだ。

オーライトの試みは世界規模で見ればまだ小さなものかもしれない。しかし、ここから美容業界にゼロカーボンのうねりが生まれていくかもしれない。

取材・執筆/夏目円 企画・編集/佐藤まきこ(ELEMINIST編集部)

※掲載している情報は、2023年1月31日時点のものです。

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