ESGとSDGsの違いとは? それぞれの特徴と関係性を知る

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ESGとSDGsは共通点も多く、意味を混同しやすい言葉だ。それぞれの特徴とともに、ふたつの言葉の違いについていま一度学んでおこう。ESG経営とSDGs、それぞれの行動に伴うメリットについても解説する。今後の行動の指針にしよう。

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2022.10.06
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ESGとSDGsの違い

ESGとは

ESGとは、以下3つの英単語の、頭文字を組み合わせてつくられた言葉である。

・E: Environment → 環境
・S: Social → 社会
・G: Governance → ガバナンス

気候変動や急激に変化する社会構造、そして各種人権問題など、現代社会にはさまざまな問題が山積している。企業経営においても、今後これらの問題が「リスク」となる可能性は高いだろう。

だからこそ新たに注目されるようになったのが、環境・社会・ガバナンスという3つの視点である。これからの社会の中で、企業を中長期的に成長させていくために、欠かせない要素とされている。

ESGが注目されるきっかけになったのは、2006年に国連が提唱した責任投資原則(PRI)である。当時の国連事務総長であったコフィー・アナン氏が、「投資判断の新たな視点」として発表したのだ。以降、世界中の投資家たちはもちろん、企業活動を進める経営陣にとっても行動を決定するための指針として機能している。

それまでの企業経営や投資活動は、業績や財務状況をもとに行われるのが一般的であった。もちろん現在においても、財務状況が重要な点に変わりはないが、さらに新たな3つの視点が加わったと捉えればいいだろう。

ESGの視点が欠けている企業は、投資家たちから「非常に大きなリスクを抱えている」と判断されがちだ。敬遠されてしまう恐れも十分にあるだろう。だからこそ、企業が中長期的に成長を続けていくために、重要な項目と捉えられている。

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SDGsとは

一方SDGsとは、「持続可能な開発目標」を指す。正式名称は「Sustainable Development Goals」である。2015年9月に開催された国連サミットにて、国連加盟193か国による全会一致で採択された。

SDGsがスタートしたのは、2016年1月1日である。2030年12月31日までの15年間で、17の目標と169のターゲットの達成を目指す。17の目標とそれぞれの具体的な定義・ターゲットについては、特集ページで解説している。

SDGsの原則は、世界中の「誰一人取り残さない」ことである。そのために、先進国を含めたすべての国が具体的な行動をとり、すべてのステークホルダーがそれぞれの役割を果たすよう求められている。社会・経済・環境のどれか一つだけではなく、統合的に取り組むという点も、SDGsの特徴である。

その他の類似語との違い

CSRとは

CSRは「企業の社会的責任」を示す言葉である。正式名称は「Corporate Social Responsibility」で、3つの単語の頭文字を合わせてCSRと言う。

CSRが広まった背景には、度重なる企業の不祥事があった。また企業の無責任な経営による環境破壊にも世界全体から厳しい目が向けられている。CSRについてしっかりと認識し、積極的な取り組みを行い、その事実を公表していくことが企業価値の向上につながる。CSRをきっかけにステークホルダーからの信頼を獲得できれば、経営全体にもいい影響をもたらすだろう。

実際に、日本の企業の多くが取り組んでいるCSR活動としては、以下のようなものが挙げられる。

・環境保護
・人権支援
・ジェンダー平等
・文化継承のための各種支援

サステナビリティを重視した経営方針をとる企業も多く、その詳細はサステナビリティレポートにて公表されている。

「ステークホルダーエンゲージメント」とは? CSR上の目的と取り組みの具体例

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SRIとは

SRIは「Socially Responsible Investment」の頭文字からつくられた言葉で、「社会的責任投資」を意味する。投資先を決定する際に、「企業が社会的責任を果たしているかどうか」を加味する手法のこと。企業の財務情報や今後の成長性を見越して投資先を決定する従来の手法とは、まったく異なる投資スタイルと言える。

SRIと深く関わっているのが、CSRである。企業としての社会的責任を果たしているか、つまり「CSRに注目して投資先を決定する」のがSRIなのだ。以下の記事では、SRIの歴史やESG投資との違いについても詳しく解説している。

3分でわかる「SRI(社会的責任投資)」とは? サステナブルな投資の歴史と従来型との違い

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SDGsとESGの関係性

SDGsとESGは、それぞれがまったく異なるものを対象としている。SDGsが対象としているのは、「国」という大きなものから「個人」という小さなものまで、非常に幅広い。これは「誰一人取り残さない」という原則のためだ。一方でESGは、企業や投資家を対象にした言葉である。企業がESGを意識した経営を行い、それを投資家がどう判断するのかがポイントになる。

とはいえ実際には、両者は密接に関わってもいる。企業がESG、つまり環境・社会・ガバナンスを意識した経営を行えば、結果としてSDGs達成のための企業活動につながるだろう。このため、企業はESGとSDGsをセットで捉え、同時に対策を進めていくケースが一般的だ。

投資家にとっても、ESGとSDGsは密接に関わっていると言えるだろう。ESGを意識した経営を行う企業に投資をすれば、それはそのまま、SDGs達成のための行動支援につながるはずだ。投資家の行動は、企業活動の方向性を決定づける、重要な要素になり得るだろう。両者の関係性を把握し、具体的な行動につなげていくことが重要だ。

SDGsに取り組む4つのメリット

ESGとSDGsの違いを理解したところで、それぞれに取り組むメリットについてチェックしていこう。まずは企業がSDGsに取り組むメリットについて、4つのポイントを解説する。

企業の国際的な価値が高まる

ここまでに解説してきたとおり、SDGsは全世界が共通で取り組む課題である。2030年の目標達成に向けて努力を重ねているのは、日本だけではない。だからこそ、SDGsに積極的に取り組むことが、国際的な視点における企業価値の向上につながるだろう。

日本の中小企業のなかには、海外進出を狙う企業も多い。新たな市場の開拓は、非常に大きなビジネスチャンスにつながる可能性がある。SDGsに積極的に取り組む姿勢が評価されれば、海外での事業展開の足掛かりになるだろう。自社の取り組みを知ってもらい、興味を持ってもらうためのきっかけにもなり得る。

新規事業や新製品開発の可能性が広がる

近年、SDGs達成に向けた取り組みを、新たなビジネスチャンスと捉える企業が増えている。17の目標達成は、決して簡単ではない。ときには既存の技術や仕組みから脱却し、まったく新しいものを一からつくり上げていく必要があるだろう。

また環境問題や社会問題に対する関心が高まっているいま、そうした分野の新規事業や新製品が、世界的にヒットする可能性は高い。売上や利益の拡大につながる、大きなチャンスと言えそうだ。

事業活動にかかるコストを削減できる

SDGs達成のために積極的に取り組むべき内容が、環境負荷の低減である。資源やエネルギーを限りあるものと捉え、節約に努める姿勢が主流となっている。企業全体での節約意識が高まれば、事業活動に伴うコストの削減につながるだろう。経済面においても、より効率的なスタイルを追求できる。

社員のやる気の向上につながる

社員のモチベーションを高めるために効果的なのが、「共通の目標を持つ」という手法である。誰にとってもわかりやすく、またそのメリットを実感しやすい目標であれば、よりいっそうの効果が見込めるだろう。

SDGs達成に向けて社員が一丸となって具体的な取り組みを行えば、確かな結果につながるはずだ。努力が結果につながれば、仕事に対するやりがいや達成感を抱く社員も増えていく。社員同士の一体感が高まれば、事業活動そのものにもいい影響を与えるだろう。また離職率の低下につなげられる可能性もある。

ESG経営を取り入れる3つのメリット

次はESG経営を取り入れるメリットについて見ていこう。SDGsとあわせてチェックしてみてほしい。

企業価値を向上させられる

ESG経営を行う最大のメリットは、企業価値の向上にある。環境・社会・ガバナンスに関する視点を取り入れ、それぞれが抱える問題の解決に向けて動くことは、社会全体からの評価につながる。「信頼できる企業」というイメージが広がれば、事業活動にいい影響をもたらすだろう。

ESGは企業を成長させるために欠かせない視点であり、無視したまま経営を続けていくことは、非常に大きなリスクである。ESG経営でさまざまなリスクを回避できれば、不透明な世の中においても、企業の成長はストップしにくくなるはずだ。

市場での競争力を強化できる

ESG経営で環境・社会・ガバナンスを意識した新たな取り組み、サービスを開発することは、自社の製品・サービスに付加価値をもたらす。他社製品とのあいだで価格競争をせずとも、自社製品を選んでもらえる可能性が高まるだろう。

価格競争の回避は、多くの企業にとっての課題である。ESG経営が、解決のためのヒントになってくれるだろう。

優秀な人材を確保しやすくなる

ESG経営においては、ダイバーシティに対する取り組みも重要視されている。多様な人材が、それぞれの希望や理念に沿った働き方を選べる環境が整備できれば、「この企業で働きたい」と思う人も増えるだろう。結果として、優秀な人材を確保しやすくなるというメリットが生まれる。

人口減少の時代に、よりいい人材をどのようにして確保するかは、避けて通れない課題である。ESG経営で社員が生き生きと働ける環境が生まれれば、採用活動時にも有利に働くはずだ。

ESGとSDGsの違いと共通点を知り、具体的な行動を

ESGとSDGsの間には、共通点も多いが決定的な違いも存在している。それぞれの特徴を知った上で、今後の行動につなげていこう。事業活動を行う際や、投資先を決定する際には、ESG経営やSDGsに対する取り組み内容が、鍵となるケースも多い。それぞれに関する知識を、あらためて確認しておこう。

※掲載している情報は、2022年10月6日時点のものです。

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