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環境にやさしい服にはどんなブランドがあるだろう。アパレル&シューズでおすすめの11ブランドについて、それぞれの取り組みと合わせて紹介。また、ファッション業界が抱える問題と、環境にやさしい服を選ぶ際に覚えておきたい7つのポイントについても解説する。
ELEMINIST Editor
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知識をもって体験することで地球を変える|ELEMINIST Followersのビーチクリーンレポート
まずはじめに、環境にやさしい服とは、どんな服だろう。「環境にやさしい」といっても、その言葉からイメージするものは人それぞれで異なるはずだ。それに環境問題は数多くの事柄が複雑に絡みあっているため、画一的に「やさしい」を定義することは難しい。
だが、それぞれ異なるアプローチで「実際に環境にやさしい服をつくっている」ブランドを知ることは、自分の判断基準をつくるうえで一つの参考になるだろう。
各ブランドを、それぞれの「環境へのやさしさ」を込めた取り組みとともに紹介しよう。なおここで紹介するブランドは、後述する「環境にやさしい服の選び方」のポイントをおさえたものを選んでいる。
土に還るTシャツを目指し、すべてのアイテムに竹100%のTAKEFU(竹布)を使用する「takes.(テイクス)」。竹布のほかに使う素材もオーガニックを厳選。縫い糸も綿糸にこだわっている。製造工程でプラスチック素材をなるべく使わないというのも特徴だ。
竹布は、もともと竹が持つ抗菌作用に着目し、医療用ガーゼのために開発されたもの。オーガニックというだけでなく、竹ならではの柔らかさで心地よく、身体にもやさしい。
同ブランドのアイテムは、Tシャツをはじめとしたシンプルで、世界中の誰にでも似合うようなベーシックなデザインが多い。だからこそシルエットの美しさや、竹布ならではのなめらかな素材感を楽しめるはずだ。
takes.
長袖カットソー - ウィメンズ
10,450円
※2022.09.29現在の価格です。
肌触り、形、洗濯しても崩れない、環境にやさしいどこを取っても良い!形が綺麗なのでかっこよく着れるし、生地がしっかりしているので透けません。1枚でサラッと着れます。半袖やワンピースも欲しい!
takes.
半袖カットソー - ウィメンズ
9,900円
※2023.12.18現在の価格です。
肌触りの良さがとにかく素晴らしくて今までのTシャツの中で1番のお気に入りになりました。厚みも厚すぎず薄すぎずちょうど良く、なんだか上品さがあります。とにかく着心地が最高です。
「環境配慮型のファッションは、色・柄・デザインの楽しさに欠けている」と感じたことから、2006年に生産をスタートしたスウェーデンの「DEDICATED.(デディケイテッド)」。
「〜に身を捧げた、専門の」という意味をブランド名に掲げ、地球や産業の持続可能性に身を捧げて注力するという誓いを表している。そんなところからも、ブランドの強い意思が感じられる。
GOTS認証のオーガニックコットンやGRS認証のリサイクルポリエステルなど、環境に配慮した素材の使用を徹底している。また、アイテムごとにサプライヤー(工場)を公開し、トレーサビリティを確保。工場が合法的な社会基準を満たしているかどうかを確認するため、定期的な監査を行っている。
日本ラインは2021年からスタート。スウェーデン規格と同様のサステナブルな生産方法を採用している。
DEDICATED.
プレーンスウェットパーカ
12,100円
※2022.09.29現在の価格です。
他のオーガニックコットンに比べて、気持ちいい〜っていう感じでは無く、普通のコットンの手触りに近いです。フワフワ感があまりないです。洗濯しても色落ちしないのは嬉しいです。サイズはデカいのでゆったり着たい人にオススメ。何回も洗濯していますが型崩れしてません。パーカーとして重すぎて着ずらい事はないですが、しっかりタイプのパーカーなので、フワッとカジュアルに着たいと言うよりは、防寒だったりしっかりパーカーとして着たい時におススメです。
DEDICATED.
プリント スウェットパーカ
13,200円
※2022.08.02現在の価格です。
Photo by THE NORTH FACE
「THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」は、1966年の創業当初から自然環境保全に取り組んでいるスポーツアパレルブランドだ。
1999年には、ISO14001(環境マネジメントシステム)の認証を取得。サステナブルな社会の実現のために、生産プロセスの見直しや先端技術を用いた素材開発のほか、より多くの人に環境について考えるきっかけを持ってもらうためのプロジェクトを積極的に行っている。
例えば、楽しみながら緑の地球を守る「GREEN IS GOOD」プログラム。繰り返し使う、選んで使う、大切に使うという3つのキーワードを設け、スポーツアパレルとしてできるアプローチを行っている。
究極のエコはプロダクトを長く使ってもらうこととして、同ブランドのすべての商品に対応したリペアサービスを実施しているのも具体的な取り組みのひとつだ。
上記のブランド以外に、環境や人に配慮した服を提案しているブランドに以下のようなものがある。詳しくは下記のページを参照してほしい。
・CFCL
・Frank&Eileen(フランク&アイリーン)
・パタゴニア
天然素材やリサイクル素材・繊維を使用し、エシカルな視点でつくられているシューズもある。例えば下記のようなブランドが挙げられる。
・Relier81(ルリエ エイトワン)
・Öffen(オッフェン)
・Allbirds(オールバーズ)
・adidas(アディダス)
・KEEN(キーン)
Photo by Joyce Romero on Unsplash
環境にやさしい服を探すとき、ファッション産業の問題について知っておくべきだろう。例えば、大量生産・大量消費型のファッションは、農薬や廃棄物といった環境負荷や労働問題など、さまざまな問題と共に拡大してきた。
1つ目は、環境負荷の問題だ。一着の服がつくられて私たちの手元に届くまで、紡績、染色、縫製など、さまざまな工場での分業によって作業が進められている。それぞれの過程において、費やすエネルギーは異なるが、そのいずれもが大きなインパクトとなっている。ここでは原材料調達段階の資源に注目してみよう。
コットンなどの天然繊維は栽培時に大量の水を消費する。また、化学肥料を使用することによって土壌汚染を引き起こす。一方で、ポリエステルなどの合成繊維は石油からつくられており、工場ではCO2を排出する。
環境省によると、原材料調達から製造段階までに排出される環境負荷を服一着あたりに換算すると、CO2排出量は約25.5kgで500mlペットボトル約255本製造分に相当する。また、水消費量に関しては約2,300Lで、これは浴槽約11杯分にあたる。日本全体におけるCO2排出量は年間約9万kt、水消費量は約83億立方メートルにもなる。(※1)
このように、服を一着つくるためには多様な資源・エネルギーが活用されている。そのことをしっかりと理解し、次の問題を見てみよう。
2つ目は、服が大量に生産され、大量に消費されている問題。服が大量に生産されることは、つまり大量の資源が活用されていることになると前述した。そのようにしてつくられた服が、使い捨てられたり、あるいは一度も袖を通すことなく捨てられたりして、大量の廃棄が出ていることも大きな問題のひとつだ。
ファッショントレンドを追うあまり、次から次に新しい服を買っていないだろうか。総務省の「家計調査」によると、日本国内では1990年以降、衣服一着あたりの価格が年々安くなっている。供給数は増加傾向にあり、これは大量生産・大量消費の拡大を示しているだろう。
環境省の資料によると、1人あたりが年間で購入する服の枚数は約18枚に対して、手放す服は約12枚。手放す枚数よりも購入枚数のほうが上回る。しかも購入したのに1年間で一度も着用されない服は、1人あたり年間平均25枚もあるという。(※1)
「安いから買う」「シーズンが終わったら処分する」などのサイクルを見直すことが、大量生産・大量消費問題の解決につながるだろう。
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3つ目は、服の製造にあたる人の労働や人権の問題。日本の市場で売られている衣料品の約98%が海外から輸入されている。衣料品が消費国に到着するまでには多くの工程を経ており、工場で劣悪な環境のもと働いている人も多い。
ファッション産業で働く人の過酷な労働環境が露呈したのが、2013年4月24日にバングラデシュのサバールで起きた、商業ビル「ラナプラザ」が崩壊し多数の犠牲者が出た事故だ。
ラナプラザには、多数の有名アパレルメーカーの縫製工場が入っていた。事故前日にはビルに亀裂が見つかり、ビル使用中止の警告が出ていたにも関わらず、オーナーは操業を続け、縫製工場の経営者は従業員を働かせ続けたのだ。翌朝ビルが崩壊した要因は、大型の発電機と数千台にもおよぶミシンの振動だったという。
ファッション業界の構造的な闇が浮き彫りになったこの事故の後、安全監視機関「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(The Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh)」や「バングラデシュ労働者安全連合(Alliance for Bangladesh Worker Safety)」が設置され、バングラデシュの労働者の環境が改善にむけて進んだといえる。
しかし、低価格で流通するファストファッションの裏側には、強制的な労働や低賃金での就労のリスクがあるということを頭に入れておきたい。
4つ目は、大量廃棄の部分を掘り下げる形になるが、服を処分する際の環境負荷である。手放された服がリサイクルやリユースを通して再活用される割合は約34%。一方で、66%と半分以上は処分され・埋め立てられている。ごみとして出され、焼却・埋め立て処分される服は年間約48万t。大型トラック約130万台分が毎日処分されていることになる。
大量に廃棄されている服を焼却するのにも、埋め立てるのにも、環境へ負荷がかかっている。「手間がかからないから」という理由でごみに出すのではなく、リサイクルやリユースなど、再利用や資源化できる方法を利用しよう。
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循環型モデルとは、「適量生産・適量購入・循環利用」を実現するための取り組みだ。上述したような、大量生産・大量消費・大量廃棄を見直すための取り組みであり、服をつくる企業側と服を買う消費者側両方がともに意識し、行動することが重要になる。
企業側の具体的な取り組みとしては、環境に配慮した設計をする、着る人により長く着てもらう工夫をする、単一素材での開発を目指す。そして、回収までをデザインしたプロダクトづくりなどが挙げられる。
一方で、消費者側は、必要な分だけ購入する、リサイクルやリユース商品を購入時の選択肢に入れる、一着を長く愛用するなど、できることが多数ある。
循環型モデルを実現するために、私たちにできることは何なのか。まずは無理なくできることからはじめよう。
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「環境にやさしい服を選ぶ」ということは、循環型モデルの取り組みに加わること。一見難しそうに思えるかもしれないが、まずは次の7つのポイントをチェックしてみよう。今日からできることもあるはずだ。
まずは購入時に、本当に必要かを考えることが重要だ。買ってみたものの、一度も着ずに眠っている服はないだろうか。リペアやリメイクしてもう一度着れる服はないだろうか。自分がいま持っている服をチェックして、本当に必要なものか見極めよう。
いま持っている一着を、できるだけ長く大切に、1回でも多く着る。目の前の服を大事にするという当たり前の行動が環境負荷を減らすことにつながる。サステナブルなファッションのために一番実践しやすいのが、服を大事にすることだ。
服は直接肌に触れるもの。オーガニックコットンやリネンなどの厳選された天然素材は、大量生産が可能な化学繊維に比べて調達に時間がかかるが、エシカルに調達されていて肌にも心地いいケースが多い。実際に、エシカルファッションブランドの多くは天然素材を使っている。自分の肌に合った素材を、長く愛用しよう。
トレーサビリティの確保とは、“製造過程を見える化する”こと。いつ、どこで、誰が、どのようにつくったかなどの情報を追跡可能にすることは、品質向上に不可欠なだけではなく、環境や人にやさしい環境でつくられているかを判断するための手段になる。一着の服が自分の手元に届くまで、どのような背景をたどったかを確認することは、愛着の形成にもつながるだろう。
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ブランドや企業の姿勢をチェックすることは、環境にやさしい服かどうかを見極める上で重要だ。ブランドのコンセプトはもちろんだが、企業として環境問題や人権問題にどう向き合っているかを確認してみるのもいいだろう。ブランドのウェブサイトやSNSを見ると、実は環境への取り組みを真摯に行っていたり、新たな魅力を発見することにつながるかもしれない。
一着を長く使うために、リペアやお直しを施すのもいいだろう。自社製品のリペアを行っているブランドの場合は、元の状態への修繕やメンテナンスをまかせることができる。また、洋服のお直しを専門とするお店を頼る方法もある。裁縫が得意な人は、自分で手を加えることで、さらに愛着が沸くのではないだろうか。
不要になった服は、ごみに出すのではなくて再利用する方法を考えよう。家族や友人に譲る、古着店やフリマアプリの力を借りて再流通させるなど、方法はさまざまだ。
かつて手に入らなかった廃番品に出合えたり、憧れのハイブランドが中古品として手が届く価格になっていたり……。セカンドハンドならではの楽しみを見出すと、ファッションの幅がより広がるのかもしれない。
環境にやさしい服を選ぶこと。一人ひとりのその行動が、環境負荷を減らし、過酷な状況にさらされている人に平和な日常をもたらすかもしれない。闇といわれる部分から決して目を背けず、持続可能なファッションをみんなで考えていきたい。ファッションを心から楽しむために、洋服との向き合い方を改めて考えよう。
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