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GDPは世界各国の経済状況を把握する指標のひとつである。本記事では2022年の世界GDPランキングを1位から191位まで紹介するとともに、順位より推察できる国際社会からの日本への視線や、世界各国の動き、今後のGDPに関しての予測を解説する。
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2022年、世界経済の一部では近年にない特異な動きが見られている。ランキング上位に位置する先進国も例外ではないようだ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって長引く経済停滞とウクライナ侵攻の影響により、食糧や飼料・肥料の急激な高騰が起きている。食糧不安や貧困の拡大につながる可能性が否定できない。ことに高騰以前から経済的に困難な状況にある地域では影響が大きいと見られている。
各国によるロシアへの経済制裁は市場に混乱を招いている。とくにロシアが大きなシェアを持っていた原油や天然ガス、半導体の原料となる希ガスへの影響が著しい。穀物や飼料も同様であり、ウクライナ侵攻がいかに世界への悪影響をもたらしたかを実感する。
世界GDPランキング1位と2位にランクインしているアメリカや中国においても、経済的な冷え込みが見えつつある。
景気回復のため金融緩和を続けてきたアメリカは、ここにきて金融引き締めの路線へと転換をはじめた。消費が落ち込む可能性がある。中国においてはGDPの30%を占める不動産セクターが冷え込み、経済成長の減速から逃れられないという見方だ。
先進国の経済の落ち込みは、めぐりめぐって途上国の経済にも大きな影響を与えることになる。IMFは2021年から2022年の間に経済成長率が5.9%から4.4%にまで減速すると見込んでいる(※3)。GDPランキング上位にランクインする先進国の動きから目が離せないだろう。
今後のGDPはどうなっていくのだろうか。OECDによると2060年までには世界経済のパワーバランスが大幅に変わるという予想(※4)である。中国、インドがG7、ひいてはOECD加盟国全体の経済力を追い越すという。
人口に若年層が多いブラジルやインドネシアが新興経済を発展させ、少子高齢化が著しいユーロ圏や日本をGDPにおいて圧倒するという見方もある。
気候変動もGDPに大きく影響する要素だ。かつてはGDPの成長とCO2排出量は比例すると言われていた。実際、2022年のランキングで1位であるアメリカ、2位の中国はCO2排出量においても1、2位の座を競う状況である。
しかし昨今はカーボンニュートラルをはじめとした環境への対策が求められているのも事実だ。今後のGDPの成長はCO2排出量の削減とともにおこなわれる必要がある。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって長引く経済停滞、ウクライナ侵攻に対するロシアへの経済制裁が大きく影響した2022年の世界GDP。そのランキングに見える経済の動きからすると、各国の経済状況は安定しているとは言い難い。新たな成長のため、現在の問題を解決する努力が必要だろう。
※1 公表資料・広報活動|日本銀行
※2 GDP, current prices|IMF(国際通貨基金)
※3 感染件数の増加、景気回復の停滞、そしてインフレ率の上昇|IMF(国際通貨基金)
※4 今後50年で世界経済のパワーバランスは劇的に変わる|OECD(経済協力開発機構)
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