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IKEAデンマークは、同社の人気商品「ミートボール」をもじった、昆虫のための「シードボール」の提供を開始した。土、粘土、野花の種子でできたシードボールは、裏庭や植木鉢に植えるだけで在来植物が育ち、絶滅危機にある昆虫などに役立つ。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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IKEAデンマークは世界自然保護基金と協力して、昆虫などの生育場所となる植物を簡単に育てられる「seedball(シードボール)」の販売を開始した。
世界各地で都市化が進み、植物が減るなか、それをエサにする昆虫などには絶滅の危機に追い込まれている種もある。そこで、失われつつある生物多様性や昆虫の野生生息地への理解を深める目的で、この商品がつくられた。
シードボールは、同社の定番人気商品であるミートボールを彷彿させる丸い形が特徴。絶滅の危機にある昆虫のエサとなる、カモミールやポピーなどその地に古来から生息している花の種子が、土と粘土にすでにまかれている。
一般的にこれらの植物を種から栽培するには、ガーデニングの知識や技術が必要だが、シードボールなら庭や植木鉢に植えるだけで簡単に育てられるという。
このシードボールは、同社の会員にデンマーク国内で7,500キット限定で販売される。またIKEAデンマークのサイトでシードボールのつくり方を公開しており、それを参考にシードボールを手づくりして、生物たちのサポートもできるという。
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IKEAデンマークで紹介する「シードボールの作り方」。
デンマークでは2016年時点で60%以上の土地が耕作地で、手つかずの自然はほとんど残っていない。WWFによれば、デンマークにある野生地はわずか1〜2%であり、何千種もの生物が絶滅の危機に瀕しているという。
今回IKEAが開発したシードボールは、2030年までにクライメートポジティブを目指す同社の幅広い取り組みの一環だ。IKEAの会員がシードボールを植えるだけでは、野生生物の保護に大きくつながるとは考えにくいが、野生生物の生育環境を守ることや自然に意識を向ける大切さなどを呼びかけることにつながるだろう。
IKEAデンマークでは、店舗周辺の芝生に野生植物や花を植え、昆虫が飛びまわれる空間になる取り組みを開始している。
またIKEAではデンマークに限らず、世界各地で自然環境に関する取り組みを開始している。例えば、2021年にスウェーデンで再生可能エネルギーの販売を開始。さらにアメリカなど各国で、家具の再販プログラムの提供をスタートしている。
さらに、森林保護の目的でアメリカジョージア州の1,100エーカーの森林を取得。2023年にオープン予定のデンマーク・コペンハーゲン店では緑豊かな屋上庭園を整備するなど、クライメートポジティブ達成を目指す同社の強い野心が伺える。
植物や昆虫などの生物は身近に存在するのに、ふだんの生活ではあまり意識を向けないものかもしれない。しかし人間の暮らしによって、そのような生物に確実に影響を及ぼしている。
IKEAのようなグローバルな企業が、そんな身近な生き物に目を向けるきっかけを私たちに提供していることは、自然保護の取り組みのひとつと言えるのではないだろうか。
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