クライメートポジティブとは? 温室効果ガス吸収量を排出量より多くするための取り組み

陽光が差し込む木立

温室効果ガスの削減(吸収)量が、排出される量より上回ることを指す「クライメートポジティブ」。世界の平均気温上昇を抑え、地球環境にポジティブなインパクトをもたらす取り組みとして注目されはじめている。詳しい言葉の意味や具体的な取り組みを紹介する。

2020.12.22

クライメートポジティブとは

「クライメートポジティブ」とは、温室効果ガスの排出量より、削減する量を多くすること。二酸化炭素の排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにする取り組みをカーボンニュートラルと言うが、クライメートポジティブはメタンやフロンなども含む温室効果ガスを、拮抗にとどまらず「排出<吸収」となる状態を目指す概念だ。

「クライメート(Climate)」は英語で「気候」を意味し、温室効果ガスを積極的に除去し、地球環境にポジティブなインパクトをもたらすような取り組みを指す。同様の意味で「カーボンネガティブ」という言葉も使われている。

クライメートポジティブの背景と考え方

工場から排出される煙

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世界気象機関(WMO)によると、2019年に世界の平均気温は産業革命前から1.1度上昇した。2015年に採択されたパリ協定では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度以内」に抑える目標が定められているが、カーボンニュートラルの考え方では、もはや気温上昇を抑えられないという危機感が広がっている。

また、2019年12月にEUの執行機関である欧州委員会は、気候変動対策のひとつとして「欧州グリーンディール」を発表。2050年までにEUからの温室効果ガス排出をゼロにし、「気候中立」(climate neutrality)の実現を目標として掲げた。翌年3月に欧州委員会は「新気候法案」を提示している。

こうしたこと各国機関の取り組みもあり、環境問題に目を向けてクライメートポジティブを宣言する企業が増加した。炭素の排出と吸収量のバランスをとるだけでなく、さらに多くの炭素を大気中から除去し、地球への負荷を減らしていく必要がある。

クライメートポジティブ実現に向けた取り組み事例

クライメートポジティブに向けて、世界ではどのような取り組みがなされているのだろうか。事例を紹介する。

IKEA

スウェーデンに本社を構える家具大手のイケアは、2030年までにクライメートポジティブの実現を目指すと発表。同社のバリューチェーンで排出される温室効果ガスを森林再生・保護を通じて大気中から排除いくことに加え、商品はすべて再生可能、またはリサイクル素材製に切り替える。

2020年11月のブラックフライデーには、サーキュラーエコノミーに貢献するため、「バイバックフライデー」と称する家具買取キャンペーンを実施した。買い取った家具は必要があればリサイクルを施し、次の顧客の再利用へとつなげていく。

H&M

アパレルのH&M(エイチ・アンド・エム)グループは、2030年までに温室効果ガス排出量を半減させ、2040年までにバリューチェーン全体でのクライメート・ポジティブを目指している。

アパレル製品は、製造段階で全体の約70%のエネルギーが消費されるため、サプライヤーへの再生可能エネルギー使用を支援。同社が2016年に使用した電力は、96%がすでに再生可能エネルギーに由来したものだ。

イギリス・リバプール市

リバプール市はポセイドン財団と提携し、2020年末までに世界初のクライメートポジティブな都市を目指すことを発表した。

同財団が提供するブロックチェーンプラットフォームを活用した試験を1年間行い、市内で排出される炭素量の相殺を狙う。地元の学校、大学、企業と協力して、気候問題に関する教育プログラムを通して、市民への啓蒙活動も行われた。

※掲載している情報は、2020年12月22日時点のものです。

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