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スウェーデン発の家具ブランド「IKEA(イケア)」が、中古品の買取・再販を行う「Buy Back&Resell」プログラムの展開を米国内の37店舗で開始した。IKEAが買い取った中古品は、店頭の一画で販売される。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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家具ブランドとしてグローバルに展開する「IKEA(イケア)」は、アメリカで中古家具の販売と再販サービスを実施する。2021年夏よりアメリカで先行実施していた「Buy Back & Resell(買取と再販)」プログラムを、全米37店舗で常設化する。
同プログラムを実施する店舗に中古のIKEA製品を持っていくと、IKEAで使えるストアクレジットに交換できるシステム。すでにこのプログラムを導入しているイギリスとアイルランドでは、中古品の状態によって元値の最大50%のクレジットを受け取れるという。
対象となるのは、本棚、テーブル、ダイニングテーブル、机と椅子、スツール、オフィス用キャビネットなど。いずれも、組み立てて使用できる状態のIKEA製品のみで、ベッドやソファ、マットレス、革製品、照明器具などは含まれない。リコール製品や、商業用途で使用されたアイテムも対象外だ。IKEAが買い取った中古家具は、店頭の一画に設けられた「As Isコーナー」で、生産終了品などとあわせて販売される。
IKEAは2030年までにクライメートポジティブになるいう目標を掲げており、今回の中古品買取・再販サービスはその一環だ。最終的には、リサイクル、再製造、再生および再利用された原材料100%による製品づくりを目指している。
世界の人口増加に伴い、さまざまな製品の需要が高まっている。しかし新品の家具をつくり出すには、エネルギーと資源が必要となり、結果的に樹木の伐採や熱帯雨林の破壊、多くの種の絶滅を招く可能性が高い。そうした背景から、家具を含むリサイクルは温室効果ガスの削減や環境負荷の抑制に効果的だ。
中古家具のリサイクルという選択肢が普及すると、廃棄物の処理にかかる多くのエネルギーの節約につながる。また焼却時に空気中へ放出される有害物質を減らせるので、環境保全にも貢献できるだろう。
すでに欧米諸国では、リセール商品の購入が「持続可能でポジティブな購入方法」と位置付けられている。企業側にとっても、再販は新規顧客を獲得するための入口であり、ロイヤルカスタマーにつながりビジネス商機となる可能性が高い。環境配慮型の商流は、企業価値の押し上げにも役立つ。
またファッション業界でもリセールを開始するブランドが数多く、再販という選択肢が広まってきている。IKEAのように中古品の販売や再販サービスは、今後のサステナブル消費のひとつの選択肢となっていくだろう。
※参考
IKEA Sees Sustainable Plan In Secondhand Furniture|Forbes
Ikea stores to pay customers for used furniture|The mercury news
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